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第4話、朝のご奉仕とビキニ。

「はむ、ん、はぁ、勇者様の大きいですぅ」

「ほら、こっちにかけるよ」

「そんな、だめぇ」


 朝、僕は日頃の感謝を込めて巫女様に部屋でご奉仕をしていた。


「どうして勇者様、こんなにうまいんですか!?」

「毎日やってたからね」

「こんなことしてあげる人がいたんですね。うらやましいです」

「ほら、またいくよ」

「こんなたくさん、もう限界ですぅ」


 新しく焼きあがったパンケーキをさらによそってメープルシロップをたっぷり掛けてテーブルに出してあげると、巫女様はもう食べられないと言いながらぱくぱくとほおばっていた。


 僕は特に料理が得意なわけではないけれど、パンケーキは簡単で美味しいから毎日のように作っていた時があるのだ。別に誰かに食べさせるためではなく自分で食べるためだ。


 巫女様にこの世界のことを教えてもらっている中で、この世界に小麦粉やらメープルシロップやら、パンケーキの材料が普及していることが分かったので、せっかくだから作ってあげることにしたのだ。


「分かりました。勇者様の特殊能力はこれに違いないです!!」

「さすがにそれはしょぼすぎるよ!?」

「一生私にパンケーキを作ってください!」


 うっとりした表情で見つめられてそんなことを言われると、それはプロポーズということですかと一瞬勘違いしそうになるけど、そういう意図でないことは冷静に考えれば分かる。巫女様、そんな軽くていいんですか?


「ふぇぇ。う、ウェストがぁ」


 案の定、食事後に遠泳の試験をするため外出用の服に着替えようとして、巫女様のウェストか服に収まらなくなってしまっていることが発覚した。まあ、あれだけ食べればそんなこともあるかも。


「勇者様、今日は私も泳ぎます!」


 ということで、急遽、僕の試験は巫女様のダイエットエクササイズに変更になったのだった。


 海は神殿から竜車で2時間半くらいのところにあった。十分暖かかったにもかかわらず、現代日本とは違い、浜辺に海水浴客やサーファーの姿は見当たらなかった。代わりに、漁師の姿が多く見られた。砂を掘って貝を拾っている者もいる。


「お待たせしました」


 そう言って竜車から出てきた巫女様の姿はビキニだった。むちむちした肢体がパツパツのビキニから溢れ出しで眩しすぎる。


「勇者様、そんなに見ないで下さい。ちょっとこの水着、小さくて」


 もちろん、水着のせいではなくパンケーキを食べすぎたからなんだけど、個人的にはこのくらいむちむちしてるほうがいいと思う。特に下側のあたりがはみ出しているのが大変よろしい。どこのとは言わない。


 というか、その前に、この世界、基本和風なのにビキニなんてものが普通に存在してるんだ。世界観は一体どうなっているんだ、と思わなくもないが、そういう事を考えるのはきっと元の世界の考え方に毒されすぎているに違いない。きっと、この世界ではこれが普通なのだ。


「まずは準備体操からです。いちに、さんし」


 すると、巫女様はむちむちのビキニを着て豪快に手足を動かして体操を始めた。それと同時に巫女様の一部がすごい勢いで揺れ始めた。


「勇者様も私ばかり見てないで、準備体操をしてください。いちに、さんし」


 見てないで、と言われても、ぼいんぼいんと揺れまくるものが目の前にあって見ないなんて無理な相談だ。理性で目を反らそうとしても本能が許さない。仕方がないので形だけ体操をしているふりをすることにしでごまかすことにした。


「いちに、さんし」

「いちに、さんし」


 準備体操が終わればようやく遠泳だ。目指すのは沖に見える小島だ。あそこまで行って帰ってきて、大体片道1kmくらいだろうか。僕と巫女様は砂浜に入って行って、十分な深さのところまで来たら泳ぎ始めた。


 忍者になるには泳ぎの練習は欠かせない。水遁の術などあるように、水の中でも自由に動けるのは忍者としての基本なのだ。ただし、それはあくまで池や川のことで、そもそも忍者の里に海がないように海はそんなに得意ではないのだ。


 ただ、今回は隣に巫女様が一緒に泳いでいる。何かあったら僕が助けないと。しがみつかれたときに柔らかい感触を楽しむだけの心の余裕を残しておかないとなんのために海まで来たのか分からない!


 しかし、そんな僕の思いとは裏腹に巫女様はすごい勢いで先に泳いで行った。なんか巫女様、泳ぎめっちゃうまくない?


「勇者様、ここですよー」


 巫女様は、時々立ち泳ぎで止まって僕の方に手を振ってくれる。僕はそれを目安に泳いで行くことで海の上でも迷わずに済んだ。なんか、これは思っていたのと大分違う気がする。


「っ! きゃあ!!」


 と突然、巫女様が悲鳴を上げた。これは僕の出番だと、これまでに増して全力で巫女様の元に泳いで行った。


「どうしたんですか?」

「ゆ、勇者様、こっち来ないでぇ」

「何があったんですか!?」

「はぅぅ」


 巫女様は立ち泳ぎでこちらに背中を見せていた。後ろから近づいて見ても首を振るだけでこっちを向こうとしない。


 どうしたものかと巫女様の様子を見ていると、肩のところにあるはずの紐がない。まさかと思って背中をよく見ると、そこにも何もなく、さらに下の方もなくなっていた。つまり、巫女様は水着を上も下も流されてしまって、今は全裸で海に浮いているのだ。


 どの陸地からも離れた海の上。全裸のグラマー美人と二人きり。僕はこんなとき一体どうするのが人生の正解なんだ!??


「とにかく、岸まで泳ぎましょう」

「だめぇ、泳げないですぅ……」


 泣きそうな顔で巫女様がこっちを見つめてくるのを見て、理性を失わなかった僕を褒めてください。僕のコスモはすでに暴走寸前です。


「じゃあ、僕が泳ぐので巫女様は僕に捕まってください。それから、巫女様は僕の水着を着てください」


 立ち泳ぎをしたまま海水パンツを脱いで渡すと、巫女様は受け取って立ち泳ぎをしながら履いた。大きさが全然違うのは紐を縛ってなんとか合わせたけど、下の方から見たら角度によって見えてしまうかも。


 それから巫女様は僕の背中に胸を押し付けるように抱きついて、手をお腹の方に回してきた。この感触、やばい。しかも、巫女様、手を位置が下過ぎて僕の僕にあたってしまいそうなんですが。


「し、島の方に行きます。そっちの方が近いので」

「はい」


 ということで、僕たちは密着した態勢で沖の小島を目指すこととなったのだった。さすがに、巫女様を背負ったまま遠い浜辺の方まで泳ぎ切る自信はなかった。


「み、巫女様、それより下に手を下げると、やば……、あっ」

「きゃぅっ」

「あっ、巫女様、手を離さないで」

「はいっ」

「違いまs。そこは手を離して!」

「はぅぅ」

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