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第2話、巫女様とお風呂。

「お風呂に入りたいです」


 巫女様にこの世界の風俗を教えてもらっていると、この世界にも風呂というものが存在することが分かった。これまでは部屋に湯を張ったたらいを持ってきて、それでタオルを濡らして体を拭いていたのだ。でも、あると分かったら入らざるを得ない。


「お風呂ですか?」

「はい。あるんですよね」

「……分かりました。案内します」


 久しぶりにお風呂に入れると、僕はうきうきした気持ちで案内役を買って出てくれた巫女様の後をついていった。


「こちらです」

「うぁお」


 それはこれまた総檜造りの豪華なお風呂だった。この神殿はどこもかしこも総檜造りですごく豪華だ。そのくせ内装にはキャンドルやシャンデリアやベッドやらと洋風な調度品が並んでいるのだが、慣れるとだんだん違和感もなくなってくる。


 ただ、流石にお風呂はそういうものは混じっておらず、純和風のようだ。


「失礼いたします」

「み、巫女様!?」


 お風呂に感動を覚えていると、後ろに気配がして、振り返るとタオルを手に持った巫女様が恥ずかしそうに入ってきた。全裸で!


「あ、あの、お体、洗わせていただきます」

「いや、大丈夫っ! 自分で洗えるから!!」

「そうはいきません! お風呂に入って一人で洗わせたなんてことになれば、私の立場がありません!!」

「あ、はいぃっ」


 巫女様は興奮したのか、隠すところを隠さないで両手に力を入れたので、大事なところが見えてしまって、思わず生返事を返してしまった。巫女様、グラマーじゃないかと思っていたんですが、服の下は想像を遥かに超えてすごいんですね。


 おっぱいはぼいんぼいんで「SUGOI DEKAI」と書いたTシャツを着せたいくらい。そのくせブラもしてないのに重力にはきっちり逆らっているという奇跡の造形。腰のところは柳腰にくびれていて、その下は……


「きゃっ。そんな、見ないでくださいっ!」


 僕の視線に気づいた巫女様は慌てて両手とタオルで隠してしまった。でも、忍者レベル90台まで鍛えた動体視力を持つ僕にはしっかり見えていた。そこは完全な無毛地帯だったのだ!!


「いつまで見てるんですかぁ」

「ごめんなさい」


 しまった。思わずスキル「千里眼」まで発動して凝視してしまっていた。これはさすがにやりすぎだった。もう呆れて出て行ってしまうんじゃないだろうか。


「あの、恥ずかしいので、向こうを向いて座ってください」

「はい」


 巫女様はまだ出ていくつもりはないらしい。なんとなく、なし崩し的に僕は巫女様の言う通りに後ろを向いて檜のお風呂椅子に座った。後ろの方でお湯の音がちゃぷちゃぷとしていているけれど、一体何をしているんだろう?


「失礼します」

「!!!?」


 巫女様はタオルを石鹸で泡立てて、僕の背中を擦り始めたみたいだ。一生懸命背中を流しているのか、はっはっという息遣いがすぐ後ろから聞こえてきてヤバい。鎮まれ、俺のコスモ。


「一旦、流しますね」


 背中にお湯を掛けてこれで終わりかと思ったら、今度は僕の手を取って腕を洗い始めた。タオルを片手に持ち、もう片手は素手で僕の手首を握っているので、背中の時と違って巫女様の柔肌の感触がダイレクトに伝わってくる。


 逆の手も同じように洗って、これでさすがに終わりだろうと思ったら、今度は背中側から腕を回して胸の方まで洗い始めた。


「ま、前は自分でできるから」

「勇者様は動かないで」

「でも」

「は、恥ずかしいんですから……」

「……あ、はい……」


 そう言われると急に何も言い返せなくなって、僕はただ黙って洗われるのみだった。


 巫女様は最初は腕を伸ばして僕との肌の接触がないように気を付けていたけれど、洗い進むにつれて熱が入ってきたせいか、だんだん体が近づいてきて肌が接触するようになってきた。


 背中に柔らかいものが押し当てられた時は、僕も巫女様も双方びっくりして気まずい空気になってしまった。けれど、すぐに巫女様は洗うのを再開して、その後、腕は何度か接触はあったけど、背中は当たらないように気を付けていたみたいだった。


「え、えっと……」

「み、巫女様、これ以上は……」

「はうぅ」


 その後、どうにか足の方まで後ろ向きのまま洗って、後残すところはあそこだけということになって、巫女様も僕も固まってしまった。


「し、失礼しますっ」

「うっ」

「ぁ、かたい……」


 タオル越しではあったけど、巫女様の手は確かに僕に触れた。すぐに背中越しにお湯を掛けられ、あっという間に特別な時間は過ぎ去った。でも、僕はまだその感触を覚えている。


「では、後はごゆっくり。……あの、後ろは振り向かないで頂けると……」


 そう言って巫女様はお風呂から先に出ていった。僕は湯船に浸かってしばらくはさっきの出来事を反芻していたせいで危うくのぼせるところだった。


「すみません、勇者様。私の手際が悪かったばかりに」

「いや、これはどちらかというと僕が勝手にのぼせただけで」


 前言撤回。僕はお風呂でしっかりのぼせてしまって、今はソファーに座って巫女様に扇子で扇いでもらっていた。あんなサービスがついているのなら毎日でもお風呂に入りたいけれど、そんなことをしているとそのうち本当にショック死しそうな気がする。


 ぜひ、次までにはコスモのコントロールを完璧にしておかなければ。

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