※食事中は絶対に読まないでください
ブリュブリュブリュウーッ!!
やぁ、隣の個室から大便の音が響き渡るなか悪いんだが俺の名前は山田太郎。
ブバッブバッブバーッ!
ところでみんなは便所飯って知っているかな?
そう、トイレで自分の弁当を食べるアレだ。
何故いきなりそんな話をするかって?
ブチュブチュブチューッ!
それは俺が今まさに便所で飯を食っているからだよ。
ブバーンッ! ブバーンッ! ドボボボボッ!
え?
正気じゃないって?
何を言ってるんだ、俺は正気さ。
一流の便所飯プレイヤーというのはどんな劣悪な環境にも適応しなければならないからね。
「うあぁあああああっ!」ドバババババッ!
そうそう、つまり俺はこの道7年のベテランというわけ。
そしてみんなに教えたかったのは他でもない。
この便所飯についてなんだ。
便所飯は俗にエクストリームスポーツとして数多くの主に学生によって行われているわけだけど、自由そうに見えて意外にもルールが存在する。
まず前提として俺達はブースと呼ばれる個室に入らなければならない。
これを「ブースイン」と呼ぶ。
ちなみにブースから出ることは「ブースアウト」だ。
このブースを出入りする際に注意すべきことがある。
それは絶対にブースインとブースアウトする姿を誰にも見られてはいけないということ。
見られたが最後、競技はその瞬間中止しなければならないからだ。
俺達は常に孤独でなければならない。
「お前便所で飯食うのかよ?」
なんて、尋ねられてはいけないのである。
次に、「トイレで飯を食っていることを悟られてはならない」だ。
仮にブースに入るところを見られなくても中で弁当を食っていることがバレたら本末転倒である。
俺達はそこで弁当を食べていたという事実さえも認知されてはならないのだ。
よって食べる時に音が出るようなビニール包装された食べ物や麺類は厳禁である。
そして最後、それは「技」を決めること。
便所でただ飯を食えばいいなんて思ったら大間違いだ。
便所飯にはさまざまな技が存在する。
ここではその一部を紹介しようと思う。
・ディープインパクトwithヴェントゥー
「大弁」とも呼ばれる。
ディープインパクトとは大便の事だが、これはつまり大便をしながら弁当を食べるということである。
用をたしながら食事もとれるということで一石二鳥の技だが、常人で実践する者はあまりいない。
ポイントは普通。
・アウトインパクトwithヴェントゥー
他のブースで他人が便所しているとき一緒に弁当を食べること。
俺達は常に一人なわけではない。
便所にいる以上、必ず人が訪れる。
そして隣のブースでディープインパクトすることもあるだろう。
だが隣のブースから音や匂いが漏れてきても食事を中止してはならない。
むしろそれをおかずに出来るようにならないと便所飯プレイヤーとしてはまだまだ半人前だ。
ポイントはまぁまぁ高め。
・ウォッチインパクトwithヴェントゥー
アウトインパクトwithヴェントゥーの派生系であり上位互換。
他のブースで大便している者の姿を見ながら弁当を食べる行為である。
もはやここまで来れば一人前になったも同然。
ただし注意しなければならないのがこちらの姿は見られてはいけないということ。
深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗いているとはいうが、覗かれたら即失格なのでこの技はかなり神経を使う。
ポイントはかなり高め
・デッド・オア・アライブ
便所飯最大ともいえる技。
異性の便所のブースで弁当を食べる行為。
説明するまでもなくこの技はバレれば即逮捕である。
よって良い子のみんなはやってはならない。
ポイントは一番高い。
ジャーッ!
おっと、隣の人がブースアウトするようだ。
俺もそろそろ行かなくては。
いいかい?
便所飯というのは半端な気持ちではやってはならない。
余計孤独になるということを忘れないでくれ。
では、またね。
「え? 何で山田君が……女子トイレから……?」
━━どうやら「また」はなくなったようだ。
便所飯について知ってほしくて書きました。
ルール等はすでに存在していますが技名は造語です。