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第一章 第七葉 状況開始ッ!! SIDEワカバ

やっほー、こんにちわ。

日堂院若葉改めヒロインのワカバ・フォン・ティトゥスです。


この世界で生き抜くために私がすべきことは大きく3つ。

1つ。義父とそれ以上の仲になるフラグを折りまくる。

2つ。危険に巻き込まれない程度で出来る限り強くなれるように自分を鍛える。

3つ。イースのフラグを建てまくる。

この3つね。




1つ目に関しては時折私の方をじーっと見ている時があるけれど、

恐らく婚約者を私越しに見ているんだと思う。

今は未だあくまで婚約者を見る為に私を通してる状態だと思うから、

ルートに入らない本来のゲームなら間違いの選択肢、


『私は貴方の婚約者には変われない。

だけど貴方達の娘だと思って貰えたら嬉しいかな、お父さん。』


これを暗にそして積極的にプッシュしていけば恐らくルートから外れる筈。ここがゲームの中なら。



2つ目に関しては何か私引き継ぎ状態の特典モードみたいだし、何とかなると思う。

習熟度の上がり方が通常状態とは違うし、初期ステータス高いし、結構使える魔法最初から多いし、

いつの間にか使役モンスターの一種の『彷徨う向日葵』が住み着いてるし、

しかも初期状態じゃなくて普通ではありえない闇・土の複合属性のある特殊ルートでしか進化しない『潜み寄る向日葵』だ。

このレア向日葵の発生条件は特定のルートの中でステータスのバランスと基準値を達成した上で、

トレーニングをしていると低確率で進化する出現難易度が下手な攻略キャラよりも難しいので私も苦労した記憶がある。


問題は、成長させるトレーニング画面でどう見ても暗に人間を食べて来たような描写があったり、

影の無い所では地面に潜っては、潜った後の地表に緑色と赤の混じった何かが時折浮かんでいる曰く付きのおともだ。


『混沌の向日葵』や『煩わしき向日葵』程ステータスは高くないし、回復もしてくれないけれど、

本来性能を発揮できない筈の昼にバグ染みた性能を発揮する壊れ仕様で、

日光を避ける為に地中に潜っていて壁にはなってくれない代わりにほぼ無敵で、

地中から上段ガード不可の多段HITの触手拘束攻撃ができる優れもの。特殊ルート専用だけはあるわよね。



ん? 確かその特殊ルートってクロールートじゃなかったっけ?

……これは引き継ぎ特典みたいだから今のルートとは関係ないよねっ。うんそうだ、きっとそうだ。



気を取り直して3つ目。これが一番の問題で、

イースはストーリー序盤では全くと言っていい程主人公とは直接の絡みが無い。

だから積極的に仕掛けていくしかない。

前世の私ならともかく、今生の私の可愛さなら余裕でしょ。

それに彼のルートに入る必要要素も殆ど忘れたけれど、ポイントだけは何となくは、

う~んそれとなくは、………いや少しぐらいは覚えてる。

まあ、やってるうちに思い出すでしょ。多分。クラーネが不幸になりまくる流れと関連してたのは間違いないんだけどね。


そうなると出てくるお邪魔虫(クラーネ)を何とかしないと。

一応私は引き継ぎ特典の大概なチートキャラだけれど、クラーネは地でチートだし、

そもそも火属性の怖いのは一発当たったらそのダメージがしっかり残る事よね。

HP残り1で踏みとどまる装備使っても、火傷の追加ダメージで終わりだし、

そもそも火傷っていうのが怖い。だって女の子だもの。


「大丈夫ですわ。火傷なんてさせません。

―――――――――一瞬で灰にしてあげますから。」っていう開幕時の台詞があるから直撃すれば火傷にはならない可能性も大いにあるんだろうけど、

でもそれって一撃で女としてじゃなくて生き物として終ってしまうってことだよね。リアルで襲われる危険性を考えると恐ろしい。

ゲームだとHPゲージが減るだけで四肢欠損なんて無かったけれど、この世界だと実際にイースの回復でどこまで治せるんだろう?

いや、そもそもイースをゲットするための思考でイースをゲットした前提で考えちゃだめなのか。

でも、大体ゲームするときに攻略本やネットの攻略サイトを見てやるタイプは完成図から先に作っておくよね。

私もそうなんだ。


それでもって、動かねば話にならない。

それに家に引きこもってばかりでは義父以外に好感度が変化しない。

うん、それヤバい。

だから私は前世で出不精だったけれど今生では積極的に外出する事にした。



そして色々な人と出会って、色んな話を聞いて思ったんだけれど、

この世界、私以外にも転生者っぽいのいる気がするんだよね。

っていうか絶対いる。

『コウジョウ』っていう凄く近代的な施設の話とか、

輪作だとか、肥料の改良だとか、千歯扱きだとか、画期的な携帯食料だとか絶対内政チートで俺SUGEEEEした奴いるでしょ。

しかも多分日本人。


そういう人たちと接触を取るのがいいのか取らないのがいいのかは解からないけれど、

そもそもその人たちの中にここがゲームの世界だと知っている人は居るんだろうか?

もし接触したらそれを伝えた方が良いのかどうかは判らないけれど、

私の選択肢次第でこの世界の文化や魔法の有無が大きく動いてしまう訳で、

それが彼らの利益になるのか不利益になるのかはわからない。

現状私が目指すのはイースルートなので魔法の存続となる訳で、

そして公爵家の2家に大問題が起きるわけで、

その影響下にある人が私にどういう価値を、危険性を見出すのかはわからない。


同じ同郷の者だからと言って無条件で味方とは限らない。

だって私はクラスの一番地味なグループだったから解る。

何時だって不満ばかりを浮かべて、底辺グループの中でも互いに自分がこの中では一番マシ、

もし上のグループに入れるなら同じグループの人を軽くいじる(・・・)位なら許される。

そう考えているから同じチームであっても、同じ立ち位置であっても、

いや、同じだからこそ競争相手になりうるから弱みは見せられない。


取り敢えずは開明的なやり口に理解を示す巫女様というスタンスで少しずつ接していこう。

巫女の立場が確立すれば彼等だって同郷から来た若輩者と言う目線で対応する事はできなくなるはずだから。

後の問題はもっぱら悪役令嬢(クラーネ)よね。




そういえばクラーネにこっちに来てから2度もあった。

…やっぱり美少女の主人公(わたし)敵対者(ライバル)

特にイースルートでは恋敵(ライバル)になるだけあってすっごい美人な上にスタイルが良い。

そして美人でスタイルが良くないと切られないような服を平然と着こなすところには憬れなくもない。

でもゲームのキャラだと思わないと凄くムカつく。

あくまでゲームのキャラで画面越しに見るからこその此方側の余裕から生まれる微笑ましさだから、

前世の私のスペックのまま此方に来ていたら嫉妬の余りブチ切れていたわね。

まあ、前世の私のスペックのままだったら相手にもされないでしょうけど。クラーネの性格的に。

唯一、実際この世界に来て赦せると思ったところはキリッとしてるんだけれど微妙に可愛い声かな。


本当はもう少しだけ後で接触する際に聞くであろう、

「公爵令嬢が進む道を下々の者達は率先して開けるべきものなのよ。

知らなかったのなら以後覚えておきなさい。」の台詞を早々に聞いてしまった。

元の声優が有名な人だけあって流石な声だった。

本来その声優さんって天然で空耳できる電波系ボイスで売っている歌手さんだからこんな声もできるんだと感心していたけれど、

家の安いテレビのスピーカーじゃなくてこの360°全方位サラウンドな音響で聞くとゲームの時以上に感心した。

声でお仕事する人ってスゴイよねって。


それにしても声はともかく言っていることはやっぱり結構ムカつく。

頭が高い、控えおろう、この御方を何方と心得る、ってやつかしら?

何様かしら、ああ公爵令嬢様だった。

それにしても時代錯誤も甚だしいわ。

あれっ? でもこの世界の基準だと多分江戸時代より文化は未開だから時代的には問題は無いのかな?



そして二回目にあった時はやたら貴族貴族という事と、

暗に私の方がイースとは昔からの知り合いなんですが~的な文面を牽制球に油性ペンで書いたデッドボールで投げてきたので、

大根下し打法で1塁ゴロへ持っていかせてもらいました。


今はお互いに素直じゃない状態みたいだけれど、

貴族政の守護者状態の皇帝イースだったら、

現王朝打倒後は公爵家なんかよりも遥に偉くなってしまう訳で、

公的権力大好きなイメージを自認しているお嬢様には堂々と此方から折れていく理由ができるわけで、関係が加速するのは間違いない。

即ち、もう完全にクラーネホイホイになっちゃうから絶対に前王朝イベントは潰さないと。

その為にもできる限りイースの周りにいて覚醒フラグを潰しつつ、好感度上げまくらないとね。

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