5章 高速道路のゼラディウス・ウィング
高速道路上にて、サニーミルクの運転するバイクを取り押さえようと慧音は拳銃を取り出したのだ。
彼女の背中を穿つべく、片手でハンドルを切りながら拳銃の銃口の狙いを定める彼女。
サニーミルクはバックミラー越しで確認しながら、彼女の攻撃を避けていく。
高速道路上に響き渡る銃声。多くの車が疾走している中、彼女はハンドルを上手く操作して、車の海の中へと入っていった。
追いかけるように慧音も入っていき、遠慮なしに引き金を引いた。多くの車の窓ガラスに罅を入れて
も屈せず、罪なき人々を巻き込んでまでサニーミルクを捕らえたいという執念深さが、そこに存在していた。
「……どうして他の無辜の人々の車は容易く破壊するのよ」
「黙れ黙れ黙れェッ!!!」
彼女の発言さえも封じるかのような威勢で襲い掛かってくる彼女に、サニーミルクはうんざりした。
流れゆく風を受け流していた、片手で変形剣を銃に変形させては銃口を後ろに定める彼女。
無差別的に発砲し、何とか慧音とのリードの差を大きくしたいと彼女は考えていた。
「……私は何も悪い事なんかしてない!どうせ捕まって死ぬぐらいなら……最後まで生き延びて見せる!」
自身をスポットライトのように照らすヘリコプターに彼女は銃口を向けた。
天に向かって発砲した何発かの銃弾はヘリコプターのプロペラ部分に銃弾が当たり、エンジン部分が故障したのだ。やがてプロペラ部分は稼働が止まり、そのまま高速道路に向かって落ちていったのだ。
其れは大惨事そのものであった。多くの車がヘリコプター落下の犠牲となり、起きた大爆発は一部の高速道路を陥没させた。
しかし、慧音はそれでも尚、追ってきたのだ。彼女は諦める様子も見せず、ヘリコプターを落としたサニーミルクを睨み据えながら。
「貴様……多くの人々を犠牲にして、それでも自身が助かりたいのか!?」
「それってさ、私を捕まえるために多くの車に銃弾を入れ込む貴方と同じだよね」
「規模が違うだろ!」
彼女は銃弾を何発もサニーミルクに向かって穿とうとするが、彼女の運転は銃弾を容易く回避する。
サニーミルク自身もゼラディウス・ウィングを後ろに向けては銃弾を放つ。
銃弾の行き交いはまるで高速道路を駆け抜ける車のようであった。
「……規模が違っても、概念性は同じでしょ」
彼女は反対車線に入ったのだ。
反対方向に行く車の中を通り抜けて逆行する様子は一種の勇者のようにも捉えられた。
彼女は口元に笑みを浮かべながらも、ハンドルを握った。その笑みは余裕か?嘲笑か?
慧音も反対車線に入るものの、待っていたのは―――事故であった。
迫り来る、ハイスピードの車。バイクであった彼女は轢かれ、爆発と共に遠くへ飛ばされたのである。
其れを確認したサニーミルクは元の車線に入って、追手の回避に一先ずは安堵して見せた。
「―――終わり、だね」
アルカナ党への入り口は…すぐそこだ。