43章 偽証宰歸のゼラディウス・ウィング
スターの刺客である存在は、そんな3人に向かって電撃を迸らせた。
無差別に襲い掛かってくる電流は焼けつくような様相を呈しており、何をも絶望の深淵に陥れんとするものであった。そんな存在に、3人はすぐさま攻撃を見切っては回避を試みる。
大きな翼を纏う存在は逃げる3人のうちのサニーに狙いを定め、一気に電流放射を行ったのであった。
「そんな攻撃、食らうと思わないでね!!」
彼女はすらりと華麗な動きで迸る電流を避けてしまう。
そのまま隙を窺ったレイラはブレードフォースの真後ろから何発かの銃弾を撃ちこむと、ブレードフォースを動かしているエンジン部分が露呈し、緻密な設計ながらもしっかりと動く原初歸の全てが見えた。
サニーはレイラにウインクをするや、彼女は一気に斬りかかった。
彼女が原初歸に蒙らせた一撃は、見事に機械を壊滅させるものであった。
原初歸はもろに受けた攻撃で電流発生装置を壊されてしまい、そのまま機能停止に至ったのだ。
しかし、置き土産かと思う皮肉さの如し、ブレードフォースが地に堕ちた時に新たに機械がやってきたのだ。
此れが仲間呼び、であろうか。ブレードフォースと打って変わって、新しく出現したのは頑強な機械の腕がしっかりと取り付けられた、緻密に出来上がった機械の翼を靡かせて飛ぶ機械龍であった。
その様相を見た時、続けざまに反応したのは社長であった。
「偽証宰歸マキナ・グェルジオス……かつてゼラディウス工廠側とプロメテイア・エレクトロニクス社側で共同開発されたが、余りの性能にレイスヴィンさえも凌駕し、ゼラディウス工廠に封印された兵器―――。
……もしグェルジオスがブレードフォースの破壊によって呼ばれたのなら、スターは工廠にいるはずだ!!」
社長はそんな推測を立てるや、目の前の存在に向けて武器を構えた。
サニーも、レイラも社長の言う事には何一つ抗いを立てなかった。と言うのも、グェルジオスの計画・製作に携わったのだから。
言わずもがな、グェルジオスの恐ろしさを知っていた。だからこそ、最後まで戦って見せるのだ。
封印された兵器をも簡単に操り人形にしてしまう、スターに対して。
「―――なら、早くコイツをやっつけるよ!!」
◆◆◆
開始早々、ホーミングミサイル8発を空中に射出したグェルジオス。
機械龍から一旦離れ、近くの瓦礫に隠れては盾にし、何とか攻撃を避け切る3人。
隠れた3人の中で機械龍が攻撃対象として検出したのはサニーであった。サニーの隠れる瓦礫に対し、更に何発ものホーミングミサイルを発射させた。
彼女は自身に対して飛んでくるホーミングミサイルから、自分が囮に為った事を悟るや、全速力で疾走した。其れはレイラや社長のいる方向とは真逆の方である。
彼女をホーミングミサイルが追跡している間、隙を垣間見た社長が重たい一撃を蒙らせようとする。
鈍い音と同時に、ガンハンマーはグェルジオスの装甲の一部を凹ませた。
同時にホーミングミサイルに追われていたサニーはグェルジオスのいる方に方向転換しては走ったのだ。
そのまま機械龍の下をくぐった時、彼女を追跡していたホーミングミサイルは全てマキナ・グェルジオスが蒙ったのである。要するに自爆である。
「よし、後は簡単なハズだよ!!」
レイラはホーミングミサイルを受け、煙の中に存在する機械龍を穿った。
銃弾は装甲が溶けつつある機械龍の中心部を狙う事など容易いものであり、何発かの銃声の後にグェルジオスは大暴発を遂げたのであった。
◆◆◆
「―――意外と、弱かったね」
サニーは礎の翼を納刀するや、目の前で燃え上がる2つの兵器を見て淡々と述べた。
具に述べた社長の発言を全て水に流したかのような虚しさが、其処にはしっかりと存在していた。
空では紅霧に覆われており、寧ろ先程よりも深々としていっていた。
「しかし、紅霧がネットワークの遮蔽材なのならば、ブレードフォースやグェルジオスはどうやって来たのだろうか?
呼ばれ方的にはGPS機能が怪しいかと見積もったけど、紅霧が防ぐはずだし」
「……紅霧の無い地点を経由してGPSを繋げたんだと思う。
―――そう考えれば、あの紅霧を発生させたのはスターってことになる」
サニーはそう言うや、機械龍の背に乗った。
続いて2人も乗り込み、最終決戦の地へと向かわんとする―――。
全てがスターの画策なのならば、神父が言った通りなのならば―――彼女は、否、彼女らは。
「―――行くよ、スター!!」




