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20章 崩壊のゼラディウス・ウィング

彼女は勇ましくも、目の前にいた存在に突撃を図ったのだ。

礎の翼を羽ばたかせながら、彼女に向かって斬りかかんと―――。

しかし、ロリスはその攻撃を既に見切っていたのだろうか、二丁銃を重ねては剣を受け止めたのだ。

衝撃が彼女に走った。電流が身体に迸ったが身に染みて感じる。

すぐさまサニーミルクは反応しては彼女から離れ、追撃を試みる。一度攻撃を受け止めたロリスの隙を窺っては、僅か一瞬を貫いた。


しかし、彼女の攻撃は物質的な何かで受け流されること無く、何かによって塞がれた。

前を見据えれば、堂々と描かれたロリスの顔があった。二丁銃を交差させるように重ねては、ゼラディウス・ウィングを再び受け止めたのだ。

だが、此処で動いたのはユウゲンマガンであった。


「そうはさせるか!」


彼女の勇ましき一撃は大地震を起こすが如く、ガンハンマーを叩きつけた。

叩きつけた瞬間に引き金を引くと同時に振動が発生し、更なる痛みを伴わせた。

しかし、ロリスは俊敏な動きを披露するように華麗に攻撃を躱したのだ。

サニーの視界には、彼女の一つ一つの動きがとてもゆっくりとした―――所謂スローモーションのような感触で彼女はガンハンマーを避けたのであった。其れほどまでサニーを釘付けにさせた訳である。


「―――私はこれでも国防大臣。単身でも不審者とは戦える技能ぐらい無いと、職務失格だからね」


ロリスは華麗な手裁きで二丁銃を構え、一気に放射してきたのだ。

気づいた3人は簡易的に武器などを盾にしながら、壁の陰に隠れる。

銃弾が横殴りの猛吹雪のように吹き荒れては、世界が歪んで見えるようになっていた。


「―――私が何とかします!」


2人にそう言うや、レイラは銃を構えた。

銃弾が飛び交う世界の中、壁の外にこっそりと銃口を忍ばせては一気に引き金を連続的に引いた。

行き交う姿はまるで大通りに交錯する車のようであった。ロリスはレイラが撃つ銃弾を見切っているのか、銃声の中で静かに足音を響かせていたのだ。


「レイラ!其処を退いて!」


サニーミルクの声が世界を引き裂いた時、彼女は陰から飛び出した。

片手に持ったゼラディウス・ウィングを構えては、自分を貫かんとする銃弾を俊敏に躱していきながら。

鋼鉄を煌かせながら、去りゆく銃弾を過去の残照と見立てて―――。


「―――喰らえ!ロリス!」


サニーミルクの一撃は、猛攻を仕掛けていた彼女を正面から叩き切った。

何をも一刀両断するかのような勢いは、彼女の左肩から右腋までかけて直線の傷を作らせた。

赤く滲むスーツ服。ロリスはすぐさま銃で反撃を試みるも、負った傷の痛みで集中出来ずに乱射し、サニーミルクに悉く避けられてしまったのである。

彼女は再び陰へと隠れたものの、血が嫌でも滲んでくるロリスはまともに戦える状況では無かった。

すぐさま懐からスマホを取り出しては、通話アプリを開いて救援を要請しようとした。


「―――私はロリス。傷を負った、救援を頼むよ」


しかし、彼女の声も天に届くわけでは無かったのだ。

その瞬間に狙いを定めたレイラが引き金を引いたのだ。銃弾は空中で静かに弧を描きながら、進んでいった。ひどく冷血にも、銃弾は腹部を透き抜けるかのような滑らかさを伴って……。


彼女はその瞬間、全ての記憶が消えたような気がした。海馬が焼け付くように熱くなり、何処となく空を泳いでいるような幻覚に囚われていた。

何をも考えよう、脳がぼやけては麻痺しているようであった。視界が朧げになっていき、今までの記憶が走馬燈と為って蘇って―――。


……嗚呼、此処で私は死ぬんだ。


彼女がそう思った時、何処か笑えた。不思議にも、笑える要素は何一つ無い。

だが壊れた笑みは彼女の何かを象徴し、金甌きんおう無欠な彼女の「何か」を具現化させて―――。


「……私と一緒に、お前らも地獄へ引き込んでやる!」

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