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8章 ヴェルサスの翼

ユウゲンマガンさんはただの良い人。

「あー、ルナサ。久しぶりに声を聞いたような気がするな。

―――今からそっちに向かう。サニーミルク、いるんだろう?……ああ、分かった。頼む」


ユウゲンマガンはスマホの通話アプリを消すと、静かに椅子を立ち上がった。

彼女の安息を聞いてホッとしたのか、机の上に置いてある缶コーヒーを一口啜った。

これから自分も危険な目に遭うのだ。そう考えるとやはり怖い感情が芽生えてしまうが、今までアルカナ党の後ろ盾として生きてきて、今更泣き言は許されないだろうとある程度は自覚していた。


「……行くんですか、取締役」


「当たり前だ。無論、お前も来るだろうな?……レイラ」


すると、取締役の前でニコニコ笑顔を見せる彼女は首を縦に振った。

ガラス窓を隔て、太陽が彼女の笑顔を更に輝かせる。頬に塗れた赤が一層目立っている。

ユウゲンマガンも、口元に笑みを浮かべていた。


「全く、呆れる奴だな。逮捕されるなんてな」


「……あはは、そうですね。何時もはお世話になってましたけどね」


◆◆◆


「はい、何でしょう」


取締役はアルカナ党へ行く前に、とある人物の元に訪れていた。

サニーミルクと同じインジケーター専攻科に勤める、スターサファイアであった。

彼女はインジケーター専攻科を纏める専攻科担任の職に就いていたが、技巧力は今やサニーミルクに一歩負け下がっている状況であった。

逮捕された存在に、やはり心配はしていたものの何処かつまらなそうであった。


「……スターサファイア。インジケーターへの運用資金を全て兵器に回してくれ。

嫌な予感がする。インジケーター開発至近はいずれ必ず出す。だが、今はサニーミルクの件でどうも大変らしい」


取締役は運用資金の件をスターサファイアに述べた。

彼女はその言葉を聞いた時、絶望したかのように眼を引き攣らせては、唖然としていた。

今までの自分自身の研究が全て無駄になったかのような感覚であった。


身体が震えた。今、目の前でサニーミルク捜しに夢中になっている取締役の眼を見据えては、抗えない何かを感じ取れた。心が揺らいだ。

確かにインジケーター専攻科として最前線に立っていた彼女は素晴らしい存在であった。3Dモデルの作成など、プラグラミング能力に長けている彼女は凄い。称賛に値する程である。

そう落ち着けない自分自身の心に何度も言い聞かせると、渋々首を縦に振った。


「―――分かりました。ご無事を、お祈り申し上げます」


「有難いこと、言ってくれるね。まあ、これが終わったら適当に何処か、パーッと食べに行こうな。

辛い思いだけさせちゃ、取締役の名も廃る」


◆◆◆


レイラとユウゲンマガンは、一応襲ってくるであろう国の派遣隊の為にも、武器を用意していた。

黄色の髪を風に靡かせ、背中に機械で出来たハンマーを背負っているユウゲンマガンは先の見える暗闇にどうしてこうなった、と言わんばかりの溜息を吐いていた。

機械で出来たハンマーはトリガーを引くことで内部の爆薬が衝撃を起こし攻撃を強力にする、所謂ガンブレードのような仕組みであった。


レイラはそんな彼女を仕方ないような眼で見つめていた。二丁銃を鞘に入れては、重たそうな感情を引きずっていた彼女に声を掛ける。


「ユウゲンマガンさんが頑張らないと、サニーミルクさんは捕まっちゃいますよ!

此処は私も全力で手伝いますから、お互い気を引き締めて頑張りましょう!」


「……そ、そうだな。大人数を引っ張る存在が挫けちゃ駄目だよな………」


ユウゲンマガンは改心し、国への抗いを決心した。

何度も決心しては心が揺らいできたが、もう揺らぐことは無さそうであった。

事前に会社が用意していたバイク2台に2人は乗り込んでは、一気にアクセルを踏み込んだ。


「行くぞ、レイラ」


「……はい、社長」

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