表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

ep1 彼女

19XX年 12月26日 AM10:03

彼女は生まれた。


 ◇ ◆ ◇


「初めまして!私は…そう!澪っていうの!!

 ―――――あなたは?」

もう何度目か分からない答えを、僕は彼女に返す。

「初めまして…。

 ―――――僕は『太陽』って書いて、『うずひ』」

「うずひ…。『太陽』って書いて、『うずひ』…」

彼女は覚えこむように、確かめるように、僕の名前を舌で転がす。

「良い名前ね!」

僕はそう言う彼女に微笑む。

彼女は、会うたびにそう言った。


「笑った顔は、名前の通り『太陽』みたいね」

そう言い微笑む彼女の顔の方が、僕には太陽のように見えた。


「太陽は、誕生日いつなの?」

「12月26日…」

「え!そうなの!?

 ―――――じゃあ、私と一緒だね!」

彼女はいつも元気いっぱいで、いつも明るかった。

「そうだね」

半ば機械的に、僕は答える。


「じゃあ、一緒にお祝いしよう!!」

「うん」

「盛大にね!!友達もたくさん呼んで!!」

「そうだね…」

そう言うと、彼女は右手の小指を、僕の右手の小指に絡めた。


「指きりげんまん嘘ついたら―――――」

この指切りも、もう何度目か分からない。

「指きった!!

 ―――――ぜぇ~ったいに、忘れないでね?太陽!!」

「…うん……」

微笑む彼女を前に、僕は喉まで来ていた言葉を飲み込んだ。



いつだって、忘れてしまうのは君の方なのに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ