山の麓の家
童話練習作品
少年の家は山の麓にありました。
沢山の木々が元気よく育ち緑の美しい山でした。
少年は毎日、朝起きると歯を磨き顔を洗い朝ご飯を沢山食べます。
パンや野菜や果物は少年の大好物でした。
少年はご飯が終わると自分の机に置いてあるカバンを肩からかけ、出掛けて行きます。
「いってきまーす」
「気をつけるのよ」
「はーい」
少年はいつもの道を山に向け駆け出して行きました。
上を見たり、下を見たり
キョロキョロしながら進む少年。
あっあった。少年は大好物の果物を見つけその場所を地図に書き込みます。
少年の地図には山の色々な物が書き込まれています。
動物の巣に池や大きな蜂が居るところ。
毎日少年は山を探検しながら遊んでいました。
一度お昼に家に戻り、ご飯を食べてまた出掛ける。
しかし、少年の体ではそんなに遠くまでは行けません。
探検の場所はもうほとんどなくなっていました。
少年は最後の場所をゆっくり探検する事にしました。
その場所には小さな池が有り水鳥が浮かんでいました。
森の中は明るく陽に照らし出されとてもきれいにキラキラと輝いていました。
少年は時の過ぎるのも忘れぼんやりと眺めていました。
突然木がガサガサと揺れ、現実に戻った少年。
目の前に見たこともない大きな鳥が立っていました。
少年はビックリしてしりもちをついてしまいました。クワクワッカカッ
笑う様に鳥が鳴き羽根をバサバサと揺らしました。
ゆっくりと体を揺らしながら近ずく鳥。
少年は驚きで動けません。
食べられる…
誰か助けて!
心の中で叫ぶ少年。
しかし、声にはなりません。
クワクワッカカッ
クワクワッカカッ
大きな口をあけて鳥が迫ります。
目の前まで来た時少年は怖くて目を閉じました。
木の葉が揺れ、池も波打ち鳥達が飛び立って行きます。
クワクワッガガーッ
少年はちょっとだけ目を開けました。
「いってきまーす」
「気をつけてね」
「はーい」
○月○日 晴れ
今日は初めて池で泳いだ。毛もいっぱい生えてきてる。ご飯も虫や木の実をあげると喜んでたべます。
早く大きくなってねピーちゃん。
そして、僕を山の遠くまで連れていってね。
君の父さんの様に強くなるんだよ。
あの日、少年の前で野生の犬と闘い、結果少年と雛鳥を守った鳥。
怪我が治らずしばらくして死んでしまった親鳥。
少年の地図はその日でとまった。
その場所は地図に乗らない。少年の秘密の場所になった。
「いってきまーす」
「あなた、気をつけてね」「あぁ、」「今度は君も一緒に行くかい?」
「そうね、そのうちね」
彼は大きな足取りで今日も山に向かった。