1 始まりの、後悔。
始まりましたねWW
第一章から、急展開なこの感じがねー・・・
田中さんクオリティーですねー^^;
次回でこの暗い場面は終わります。
次々回からは、明るくなるはずです!
「嘘だ・・・ 嘘だ・・・! 嘘だっ!!」
俺は、降りしきる雨の中、全速力で走っていた。
何かが焦げるにおいと、鉄の臭いで、鼻の奥がつんと痛んだ。ああ、人間の血には、鉄が含まれているんだっけ。
鬱陶しいくらいの量の雨粒が、顔に当たっては横に流れていく。目から溢れてくる「何か」が一緒に流れていったのは、気のせいだろうか?
何が起きている? 俺には理解のしようがない。
無くなっているんだ、何もかも、跡形もなく、すべて、きれいに。
さっきまでここに存在したはずの、建物が、植物が、動物が、そして人が、今ここに存在していない。
あるのは、廃墟、ただの「ニンギョウ」。魂も命も無くなった、いや、奪われたニンギョウ達が、無数に転げ落ちていた。
悲鳴、怒号、叫び声、鳴き声。
つい数時間までに挨拶してくれた、パン屋のおじさんが、八百屋のおばさんが、近所のガキが、居なくなった。奪われていた。
「どうなっているんだよ・・・!?」
弱々しく自問しても、誰も答えてくれない。答えてくれる、人がいない。
降りしきる雨の中を、とにかく走った。何かから逃げるように、何かを探すように。
精神が崩壊しそうで、とにかく走って、走って。
気がつくと、神殿に向かう階段の前にたどり着いていた。ここには、たくさんの思い出がある。よくイタズラして、怒られて。いっつも「アイツ」を巻き込んで。
そういやアイツは、生き残っているのか?
探せ、探すんだ。
走った。長い長い階段を、懸命に走った。白亜の大きな柱が、荘厳に立ち並んでいる。まるで大きな巨人のように、冷淡に見下ろしている気がして、少し舌打ちしたい気持ちになった。長い階段は、山の頂上まで続いている。
なにか、水を踏んだような音がした。
恐る恐る足下を見ると、血が、大量の血が水たまりのように溜まっていた。白い階段に赤黒い血が、そのハッキリとしたコントラストが、より一層心を不安にさせた。上を見ると、血が点々と続いている。
まさか。
違う、絶対に、違う。アイツは、こんな事が起きたら、真っ先に逃げるはずだ。
心臓が潰れそうだ。胃がキリキリと痛み出す。肺が上手く機能していないのか、呼吸ができず、苦しい。
「やめてくれよ・・・っ! バカがっ!」
恐い、恐い、恐い。でも、走る。だから、走る。
神殿まで、残り二十段ほどになった。
その時。
剣が地面に落ちる、鋭い音。武器職人だから分かる、その音。同時に、どさりと、何かが倒れる鈍い音。
痛い。心臓が、肺が、胃が、痛い。それに負けず、足を前へ進める。
一段飛ばしで疾走する。
最上階、神殿に着いた。
この時、俺は、人生最大の後悔をした。何で、生きているのか、疑問に思うほどに。