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「笙子!!元気にしてたか!」
だれ?!
こんなテンションの父、初めて見た!!
玄関を開けるなりあたしを抱きしめた父に心の中で突っ込みを入れた。
少し長めの黒髪に切れ長の黒い瞳。
めっちゃかっこいいよ。
若いころもかっこいいね、お父さん……
「パパ、くるし」
ストップ、マジで苦しいっす。
「ああ、ごめん笙子。久しぶりだったから、思わず……」
あたしを軽々と抱き上げてリビングに移動する父。いや、直パパ。
こんなにぎゅってしてくれたこと今までなかったよね。
今までは頭を撫でてくれたことしかなかったのにね。
なんでこんなにも違うんだろう。
みんなが優しくて、不安になる。
奈津子ママが時間かけて作った夕飯がテーブルに並べられて、3人でご飯を食べた。
パパはいっぱいお話してくれた。
ママは美味しいご飯を作ってくれた。
元の世界と同じようで、やっぱり全然違う。
むしろ、元の記憶があるからこそ、やりにくいのかも。
今日は3人で寝るぞって、パパが言って、あたしが真ん中で広いベッドに横になった。
こんな優しい家族を、世界を夢見ていたのに、なんだか少し悲しかった。
25年間育ててくれた父母は全くの別人みたいだ。
嬉しくて、悲しい、寂しい。
なんだか、夢を見た。
大きな手、きゃしゃな手にそれぞれつながれてるあたしの手。
優太の自慢げな彼女話。
中学校時代のいじめ。
去っていく後姿。
その日、あたしは泣きながら寝ていたらしい。
真夜中に心配したパパ、ママに起こされた。
心配されたけど、すっきりして朝を迎えた。
なんか、少しだけ前向きに考えてみようと思う。
いってらっしゃいのキスを要求するパパに仕方なくほっぺにしてあげた。
今日は小学校見学に行って来るらしい。
あたしは行かない、だって幼稚園行かなきゃ。
優太も迎えに来るだろうし。
って、なんで不満そうなの。
ママ、笑ってないでなんか言って。
パパより優太君が良いのかって?
なんでそんな捨てられた犬みたいな顔してんの。
「パパがいちばんだいすき」
笑顔付きで言ってやった。
小躍りして出発した父の背中にお土産はケーキが良いなって声をかけといた。
絶対買ってきてくれるだろう。
ママ、爆笑。
奈津子ママの性格も微妙に違うよね。
まえはおっとり美人さんだったのに。
なんか、豪快な美人さんになってる。
面白がったママは迎えに来た優太に今朝の出来事を面白おかしく話したらしい。
らしいってのは、あたしが着替えをしてる最中のことだから。
「ぼくはしょーこちゃんがいちばんすきだよ!ね、きいてる?」
一日中付きまとわれた。
母たち爆笑。
まじ、何とかして。
自業自得っていえば、そうなんだけどさ。




