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最悪人生→?  作者: 紫乃
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1

なんか、ちがくね?


「しょーこちゃんのママ、おりょうりじょうず!」


「ゆう君ありがと~、かわいいわ~、うちの子になって!!」


奈津子ママ(元、優太の母。現、あたしのお母さん)のすごく嬉しそうな顔。


出されたケーキを食べてニッコリ笑顔の優太は可愛い。


奈津子ママ、骨抜き。


「笙子はあんまり笑ってくれないからゆう君に癒されるわ~」


「いやされる~」


きゃーって二人で笑いあってる。


すごく疎外感を感じます。


そっかー、あたしこっちの家に生まれても疎まれてるってこと?


目の前のイチゴのショートケーキは奈津子ママが作ったのかな。


すごいなあ、うちのお母さんなんて料理全くしない人だった……


一口食べて甘い匂いに少し泣きそうになった。


「かなしいおかお!!」


「?!」


びしっとあたしの目の前に出てきた指先に驚いて息をのんだ。


「ケーキはうれしいおかおなの!」


めっ


怒ったような優太、困ったような顔の奈津子ママ。


「だめ、やりなおし」


その言葉が、なんだかガツンと来た。


何にも知らないはずなのに、全部知ってるみたい。


そういえば優太は昔からあたしに笑えって言ってた。


やり直しの人生。


自分から変わらないとだめってこと?


少しは、みんなに好かれる様なる?


「……うん」


優太が真剣に見つめる中、あたしは何とか笑って見せた。


多分ぎこちない笑顔だったんだろうな、優太があたしを見て笑った。


その能天気な笑顔になんだかちょっとだけ救われた気がした。



パシャ


「?」


「笙子の笑顔!レアものね」


うふふっと笑うママの手にはカメラ。


「はい、笙子~もう一回笑って~」


なんだか照れくさくなって、両手で顔を隠す。


「あら、恥ずかしがっちゃって」


ママの声は楽しそうで、余計に恥ずかしくなった。









ピンポーン


「はーい。ゆう君多分お迎え来たよ」


パタパタと走っていくママ。


優太は嬉しそうに笑って残りのケーキを食べている。


なんだか、胃のあたりが重い。


あたしはあの嫌な家を優太に押し付けたんだ……


そう気づいてしまったから。


お迎えに来るのはあのころは毎日来てくれてた家政婦さんだろう。


二人分の足音が近づいて、あたしはおそるおそる顔を上げた。


「優太、遅くなってごめんね」


母が、いた。


あたしのことは迎えに来たことなんてなかったのに。


あたしには向けなかった笑顔を浮かべて。


「ママ!おそいよ」


むくれる優太のほっぺたにキスをして、謝ってる光景を呆然と見てた。


あたしがいなければ、あたしじゃなければ、こんなにも優しい母だったの?

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