17
ふくふくのほっぺた
小さな唇
真ん丸の瞳
小学校4年生にしては小さい身体が、ケーキを平らげていく。
すごい速さで。
晩御飯食べれないんじゃないかって心配はしない。
だって紘の胃袋はブラックホールだ。
でも体は小さい。
なんでだろうねえ……
分かってます、現実逃避だって。
いくら目の前に可愛い天使が可愛く笑いながらケーキを食べていようと、あたしが行かないと終わらないんだろう言い争いが聞こえてくるんだもん。
そろそろ近所迷惑でしょ。
なんでこうなったのかな〜って考えても、どこで間違ったのかなんて分からないんだよね。
強いて言えば、優太の幼馴染として生まれてきたことが敗因かしら?
最初からだね。
設定を間違えたとしか思えません。
でもね、前回の人生を生きてきて、これ以上ないって位考えた設定だったんだよ。
無い物ねだりだったってことかな。
「さて、行こうかね」
言って腰をあげたあたしを紘が不思議そうに見てる。
どこに行くの?
そんな声が聞こえた気がした。
「お兄ちゃんをいい加減止めないとね。紘、行こ」
差し出した手に紘が飛びついてきた。
「忘れてた?」
「うん、でもケーキ美味しかったよ」
「そう?ありがとう」
自分家の玄関をでて、門前でであたしは首を傾げた。
言い合いの内容がさっきと違う気がする。
お隣の門前で三人が顔を合わせてる。
さっきまでは自分の方が好かれてるとか、そんな内容だったのに、これは…
「ずっと見てても、全然気づいてくれないっていうか…」
「そうなんだよ、そういうところ鈍いんだよ周りの視線に無頓着っていうかさ…」
明らかにトーンダウン。
さっきまでの言い合いが嘘みたいですね。
あら、律子。
せっかく可愛いんだから、その可哀想なものをみるような顔はやめときなさい。
そんではやくこっちにおいで。
律子に手招きすれば、どこかホッとしたように駆け寄ってきた。
「ちょっとお姉ちゃん。あの人達なんなの?優太兄は元々変な人だと思ってたけど、あの女の人と話してたらもっと変になった」
戸惑い気味に話すあんたも可愛いわ。
ナチュラルに優太を変な人扱いするあんたは、素敵。かっこいい。
「もうね、あんまり関わらない方がいいかなって思ってるとこよ。律子、紘うちにおいで。あの二人は放って置いていいから」
そのまま二人で意気投合して、仲良くなってしまえ
あたしのことは放って置いてください。
これから先、あたしは幸せになりたいんです。
何となくだけど、このままだと一生付きまとわれる気がして怖い…
知らないうちに優太と結婚してそうで恐ろしい。
好きなのかなって思ってたけど、やっぱなんか違うかもしれない……
優太と凪の声を聞きながら、あたしは自分家の玄関をくぐった。
「古屋君とかさ……首藤でもいいや。とにかく幸せになりたい……」




