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最悪人生→?  作者: 紫乃
11/35

8

「笙子ちゃん、説明」


優太?

君の可愛いとこはクリクリの大きな眼だよ!

そんなに眼を細めてシワ寄せたら可愛くない!


「ね、なんで名前で呼んでるの」


なんか怖い。

目が笑ってないってこういうことなんだね。

「先週転校してきた……」


「知ってる」


僕が聞きたいのはなんで呼び捨てしてるかってことだよ。

って目が言ってる。

「あたし許可してない。勝手に呼んでる」


「ふーん」


納得はいってないみたいだけど、やっと目線が外された。


優太の膝でケーキを食べているあたしの妹、律子に袖を引かれたためだろう。


4歳になった律子は優太が大好きだ。


幼稚園から帰ってきたら、まず優太にくっ付くことを日課にしている。


そんな律子について回っているのが優太の弟、紘。こっちも4歳。


前回はいなかったあたし達の妹、弟。


生まれたときはホントにビックリした。


「しょうこねえちゃん」


律子に全く相手にされず、悲しそうに寄ってきた紘を抱き上げる。


4歳の身体はちょっと重いけど、膝に乗せて顔を覗き込めば、悲しそうな顔がにへらって笑顔になった。


優太にそっくりな大きな眼に、ふくふくのほっぺた。


可愛くてぎゅっと抱きしめた。


「ひろちゃん!」


みれば、可愛らしくほっぺたを膨らませた律子が紘を睨んでいる。


あたしのつり気味の目とは違う、大きなたれ気味の目が今は細められている。


律子は我が家のお姫様。


自分中心。あたしに親や優太、紘の関心が向けられると癇癪を起す。


「笙子、ごめんお使い行ってきてくれない?」


キッチンの奥から、母の申し訳なさそうな声が聞こえた。


律子の目から逃げられるのは嬉しいから、すぐに返事をした。


奈津子ママは原稿の締め切りが2日後という切羽詰まった状態なので、お使いはあたしの役目。


「悪いわね、ありがとう」


「大丈夫、ママは仕事だもん。頑張って」


紘を下ろして立ち上がる。


「優太、律子と紘、よろしくね」


「……僕も行く。律子、おりて」


「やだ」


「律子」


お?なんだか優太の声が不機嫌ですか?


えー、まだ何か怒るのかな。


しぶしぶながら膝を降りた律子は紘の隣に座った。


不服そうな顔も可愛いな、わが妹。


隣の紘は嬉しそうだけど。


「さ、笙子ちゃん行くよ」


何だろう、恐いです。笑顔が。







「なんでずっと一緒にいるの」

「……一緒にいるのは付いてくるからで……」

「今日の放課後、手、繋いでた!」

「すぐほどいたよ」

「僕はなんでクラス違うの?!」

「先生に聞いて」

「笙子ちゃーん!」


え?そりゃ、注目の的だよね。


恥ずかしいわ!










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