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最悪人生→?  作者: 紫乃
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プロローグ

あ、くるかな。


そう思った次の瞬間。


左頬にはしった痛みと、結構ないいオト。


予想はしてたけど、予想より痛かった…。


ゆっくり顔を上げれば、目の前にはさっきと変わらず、怒りの形相で右手を震わせてる女の人。


私と目があったら、一瞬びくりと震えて、今度は涙目になっていく。


「あ、わ…わたし…」


泣く…な。


思わずため息。


それをきっかけにしてか、彼女の目から大粒の涙が流れる。


「流華!」


さっきまであたしの彼氏だった男が彼女に走りよる。


「ごめん、俺はやっぱりこの子を放っておけない!別れてくれ…」


やっぱりこうなるのか……


展開はちがくても、最後は同じ結末。


結局はあたしが悪役になって終わり。


ある種の諦めに似た感情が生まれて、あたしは踵を返した。







「彼女いるくせに、なんで寄ってくんのかな」


一度は遊んでみたいって周りに言われてる事は知ってる。


そんな中でも、もしかしたら真剣にあたしを思ってくれてる人がいるかもしれないって思っちゃうから、毎回失敗するんだろうな。


今日はあたしの25歳の誕生日だった。


本当なら今頃は、二人でお祝いしてる筈だったのに。


「あー、もう、しんじらんない!っと」

ていっ!


足元に転がっていた空き缶を蹴っ飛ばす。


「っと、っと、んきゃあ!」


無理して履いてた7センチヒールがバランスを崩した。


後ろ向きに倒れそうになって傍の手すりに手を伸ばすけど、あとちょっと届かない。


「ええええええ~!」


後ろ、階段だったみたいです。


そういえば、今結構長い階段登ってきたんです。


頭から落ちていく浮遊感。


死んだな。





あれ、なかなか衝撃来ない。


ってか身体動かない。


周りの音もしない。


どうなってんの?


死ぬ前に走馬灯が見えるっていうじゃない?


あんな感じなのかな?


ハア……


んじゃ、ちょっと振り返ってみたりしましょうか。


あたし、杉崎笙子、今日で25歳

父は外交官で、海外赴任。母は、そんな父にくっついて行ったっきり家には帰ってきません。

兄弟はなし。

郊外にちょっと大きめの一軒家あり。

今はそこに一人暮らし。

週一で家政婦さんが通ってくれる。

父と母は基本あたしが何やってても気に留めない、干渉しない。

連絡だってほとんどしない。

面倒臭くて、厄介で可愛げのない娘って思ってる。実際言われて泣いたわ。

金銭面では不自由なく育ててくれたことに恩義を感じてる。

でも、容姿は不満だらけ。

ううん、容姿に付随する出来事が不満。

10人中10人が可愛いって、美人って言ってくれる顔。

大きな目にピンクの唇。

スタイルだってその辺のモデルには負けないんだから!

でも、そんな容姿のせいで女友達はできないし、男には本命扱いされないし、陰でいじめだってあった。

そんで、友達もいないから変にねじまがった性格になっちゃって、より一層周りに人が寄り付かない悪循環。

彼氏って呼べる人ができても、結局あたしが浮気相手だったり、奪われたって騒がれたりする。

で、今回みたいに泣かれて、悪役になって終わり。

良いとこないでしょ?

ついでに言ってしまおうか。

もっと不幸で不平等で、悔しくて…

憎らしいあいつのこと!!

そう、隣に住む同じ歳の幼馴染、紺野優太!

お隣の温かい家庭でぬくぬくと育ち、周りからも慕われて、すごく頭いいわけじゃ無いのに高校で生徒会長なんかになっちゃって、男友達も女友達もたくさんいて、国立大卒業後は有名企業にさくっと入って!!ついでに侍らしてる歴代彼女は綺麗な人ばっかり。やつの顔は可愛い系だ。わんこみたいな。

なんか幸せすぎませんか?!

年末ジャンボの当たりくじを自慢げに見せに来たあいつに殺意を抱いたわ!

そんな幸運も持って生まれて来てんの!

絶対不公平!

何回も何回も、それこそ数えきれないくらい考えた。

もし、生まれてくる家がお隣だったらって。



思い返せばいいとこなんて一個もないつまんない最悪な人生だったけど、今度生まれ変わったらその分良いことがあるって祈ろう。


あ、今から死ぬっていうのに、涙出てきた。







「っク……あんまりにもかわいそうで涙出てきた……」


どちらさん?


声はすれども姿は見えません。

なに、幽霊?

今からお仲間に入りますのでどうぞよろしくお願いします。


「どうせなら死んで記憶がなくなる前に、君の望む世界体験してから死んだら?」


え?

……もしお隣に生まれてたらって?


「リミットは…出血大サービスだよ!ひ孫まで見せてあげる!!」


いや、特別体験したくないんですけど。


早く生まれ変わって、今度はファンタジーな世界に行きたいんですけど。

家の飼い猫になりたいです。


「それは希望として受け取っておくよ。おばあちゃんになっても同じこと言えたらかなえてあげる!」


あ、ちょっとまって!

なんか周り…白…く……








「しょーこちゃん、あそぼ」

目を覚ませば、どっかで見た顔が私を覗き込んでる。

遥か昔に来た幼稚園のスモック!

クリクリの大きな眼!

「……こんの?」

あたしの口から出たと思われる高い声。

びっくりしたのか大きな眼をさらに大きくした紺野優太。

返事はないけど間違ってないはずだ、この顔は絶対そう!

「こんのはしょーこちゃんだよ」

は?

……確かにあたしの胸のネームバッチはこんのしょーこって書いてある。

いや、あたし杉崎ですけど。

まさか、本当に入れ替わった?

不思議そうにあたしを見つめる紺野、じゃなかった杉崎雄太(ちゃんとネームに書いてあった)の前で、あたしは二度寝という現実逃避を行った。

しばらくしょーこちゃん、しょーこちゃん煩かったけど、マジでちょっと考えたいからほっといて!!




連載始めます。でも見切り発車で更新ゆっくりになるかと……。一応ハッピーエンド目指そうと思います。

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