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第六話目『落とし穴(製作者:■■■■(何者かに塗りつぶされている』前編

どうしてこうなった!どうしてこうなった!

合格通知が置いてあるのをみて、俺は柄にも無くはしゃいだことをここに記す。

だけどその瞬間寒気がしてバッと後ろを振り返ったこともここに記す。


ルビーとともに街へと豪勢にいこうと思った。


なに、金の問題というものがなくなったのだ。いつそんなものができたかはわからないが特待生制度というものだ。

ファイにそう話すと、いっしょになってはしゃぎ


「イリスのおごりだー!」と叫び始めたので、俺もノりにノって『イェーーーイ!』と叫んだ。

はしゃぎながら店にはいったら持ってる金ほとんど食われたのをここに記す。

そんなに食ってないはずなのにすごい金額を要求された。値段も見てなかった為にはらうしかなかったけど。






だから―――一ヶ月後の入学式までに、金を稼がなければいけない。というか宿代すらない。


だから今、俺はここにいる。






―魔獣対策部


土下座のような状態で俺はフィリーネさんに仕事をもらえないかと聞いている。

フィリーネさんは、隣にいる全部くっちまったファイをみて、ハァッとため息をついて、後の棚からバインダーを取り出しひとつの紙を俺に差し出す。


「これね。」


それをすがりつくかのように手に取ると、依頼名をみる。






『依頼:護衛任務』


ファルディアスにい

くのですが、最近、

途中にある街道で、

魔物がみられていま

す。誰か護衛を頼み

ます。


期間:1週間


達成金

3000000エリス






「高いッ!高いぞォッ!」


なんんだこの異常なほど高い金額は!?どこぞのお金持ちで?


「うわっこりゃぁ高いな、300万ってどんな金額だよ、えぇっと依頼主は―――あれ?書いてない」


「え?あ、たしかに、これじゃあだれだかわからないな。」


「いや、そ、そもそもイリスはここにきたの最近なんだから名前わかってもしょうがないじゃない」


それはそうなのだが、ムムム…嫌な予感しかしない。だが背に腹は変えられないのだ。

――しかし、なぜか寒気がする。


「ち、違う依頼はないんですか?」


「ないわ。」


この即答について問いたい。

ファイが周りをみて、なにをいっているんだコイツ、みたいな目でフィリーネさんをみる。


「あのなぁ、横にあるじゃな「あぁっこれはもう依頼完了だったわ!」…え?ちょ…」


横にあった掲示板のようなものをいっきに片付け始めるフィリーネさん。さらに嫌な予感がする。


「……どうするか。」


受ける⇒嫌な予感しかしない

受けない⇒最悪野垂れ死に


受けるしか…ない…ッ!


「ハッハッハ…ハァッハァッハッハッ」


「お、おい大丈夫か?」


「いいだろう受けてやる!じっちゃんの名にかけて!」


「だ、大丈夫かイリスゥッ!?」


そして半ば自棄糞に契約を交わした俺は、フィリーネさんの安堵した表情と、ファイのとてつもなく心配する顔をみながら、俺は意気揚々とあるきはじめた。








3分で後悔した。








金魚がエサをもらうがごとく口をパクパクしてその光景をみる。

馬車、女性たち、馬車を操る人であろう男性。


そのなかのひとりは――セレミアさん。






「(くぁwせdrftgyふじこlp)」


何語を話しているのだか自分でもわからない言語を心の中で叫ぶ。


「だ、だいじょうぶですかイリス様ァ!?」


俺の様子に心配したルビーが声をかけてきてハッとする。


「だ、大丈夫だルビー、ちょっと意識が天へ召されそうになっただけだ。」


「それ全く大丈夫じゃありませんから!?」


しかたがない、腹をくくれ俺、と心で自分に言い聞かせる。もう依頼を受けてしまったし、契約もした。金額も金額だ、ここでいやがってちゃ社会にでたときやってけない。

社会人は忍耐力と許容力と適応力と理解力がタメされる者の…はず。

これが社会人かときかれると疑問だが、気にしないことにする。


とりあえず馬車に近づこう。






「こんにちは、護衛のイリスです。」


「あぁっなんて偶然ッ!もう赤い糸でつながってるとしか考えられないわね!」


この人だんだん壊れてないか?


とりあえず依頼書をみる。

そして挙動不審なフィリーネさんを思い出す。

不自然な値段の料理を思い出す。


…もしかして嵌められた?

そう気づいたときにはもう逃げられない位置にいた。


とりあえず馬車にいる人々に声をかけようと思い、セレミアさんに促せるがままに馬車内部で一声かけることとする。内部には金髪で、漫画とかでしかみないようなツインロールをしているお嬢様ですといいた気な少女と、双子の少女だった。


「あ、はじめまして、今回護衛を務めさせていただきます、イリスと申します。」


とりあえず挨拶をして、さっさと抜け出そうと思うと、ガッと腕をつかまれる。セレミアさんだった。


「いっしょにいたほうがなにかと護衛は簡単でしょう?」


「し、しかし狭いと思います。見ての通り鎧装備ですし――」


「だったらイリス様が座った上に私が座ればいいんです♪」












What!?









「なにか幻聴が聞こえた気がします。」


「あら、それは大変ですわ。」


「では、私は「ではおすわりになってください」…外に「では、よろしくお願いしますね」えっと…」


困った、困ったぞ、いったいセレミアさんに何が起こった!っというかあのほのぼのとした空気を出していた男子生徒はどうした!(セレミアさんが3人ずつの男女で街に着ていた時にいた人)そう心の中で叫び続けても逃げられはしないとはわかっている。

さて、どうしたら――


「ちょっとセレミア!」


「…ナァニ…ミーナァ…」


救世主は、金髪ツインロールだった。

ミーナというらしい、なんていいお嬢様なんだ。

というか怖ッ、セレミアさん怖ッ!


「平民と私をいっしょにさせる気!?」


うん、この一言で俺の中でのミーナ株というものが最低を記録した。

世界恐慌が巻き起こるんじゃないかってくらいになった。


「チッ…あら、ミーナ、これでもイリスさんは今年入学するクラスメイトですよ?今まさに仲良くする機会じゃない。」


「それでも「え!?そうなの!?」ちょっと!こえをさえぎらないで下さいません!?」


「そうなんですかぁ…。」


おや、双子も会話にはいってきた。そんなに俺が学校にはいることがおかしいのだろうか?


「おっと、自己紹介だね、私の名前はルナ、苗字とか家柄とかどうでもいいからルナって呼んでくれ!」


「苗字とか家柄とかどうでもいいって「アリス…」あ、アリスさんまで…」


ふむ、ルナとアリスか。呼び捨てでいいといってくることから気さくな女性だと思う。先ほどから言葉をさえぎらせ続けられて怒りがたまり始めているミーナさんをみて、ヤバイと少し思ったので、フォローしようと思った。


「ええっと、ミーナさん…」


「私の名前は、ミーナ・ファルクス・フォン・フラウデリカですわ!」


ミーナ・ファルクス・フォン・フラウデリカ、やばい、この世界の貴族の名前ってどう呼べばいいのかわからない。そもそも前の世界でも知らない。

えっと、一番最後が苗字だったかな?


「で、ではミス・フラウデリカ」


「もういいですわ、ミーナで。」


「ひとりだけ苗字で呼ばれるのがさびしいのですね。」


「うるさいですわッ!」


なんだろう、この個性あふれる少女たちは。

だけど、わかった。この子たちはいい子なのだろう。


俺はゆっくりと息を吐き、吸う。


「では前のほうにいますね。」


「とりあえず座って下さい。」






逃げられなかった。














必死にお願いして、馬車の前の部分から話をすることに決定した。

はじめからそういっていればよかったんじゃないかと思って少し悲しくなったが、心の中で納めておく。


アリスがルビーを珍しそうにみていたので、ルビーに目を向けると、コクリとうなづいてアリスのほうへと向かって言った。


楽しそうな声がしていて、少し嬉しい。

ルビーが中にいれば後ろからの襲撃にも気付けるし。


馬車はガタガタと揺れながら走っている。道は舗装されていなく、たまにあるデコボコ道や、小石などで馬車が揺れる。


正直、はじめてのる馬車にはしゃいで俺はなにも感じてはいなかった。

腰の痛みとか







「では、イリス様は森の奥深い場所からきたのですか?」


「ん、そうだね。」


「へぇ、森の奥深い場所かぁ…」


セレミアとルナが興味深そうに聞いてくるので、ごまかすための嘘を言う。自分でもわからないなんていったら警戒心が高くなりそうだし、異世界からきました、なんていったら問答無用で魔法をはなたれるか、茫然とされるか、いたい子とみられるかだ。


「ふん、田舎者なんですのね。」


ミーナが憎まれ口を聞いてくるが、先ほどの会話を聞いてくると、思春期の妹にしかみえないために怒りとかイライラとかはない。


「たしかにそうだね。」


ニコニコとしながらそう返答すると、みんなが目を逸した。え?なにか悪いことをいっただろうか?


「でも、剣も魔法もすごかったです。」


「剣も魔法も、正直自分がどのくらいかわからないんだ。外界からの連絡手段はなかったし」


「魔法構成一秒以内、剣もAランクの魔獣とやり合えるって調べでありますわ。」


いつ調べたんだ。


「へぇ、それってすごいとかそういうレベルじゃないような気がするんだけど?」


「た、たしかに…そうですわね…」


若干引き気味のお嬢様方、何か変なのか?


「そうですよー、イリス様はすごいんです。」


そうルビーがくるくると回りながらいってくる。いや、魔法とかお前のほうがすごいのだけれど、…聞いてるとちょっと惨めになるくらいに。








そんな他愛のないことを話していると、本能が何かを感じ取り、いつでも迎撃できる体制をとって剣を引き抜く。


「な、なにかありましたか?」


俺の様子に馬車の手綱を握っている男性が聞いてくるが、俺は首を横に降った。

一連の動作は体が勝手に行ない、そのまま声をだす。


「視線はしたが、殺気というものではない。こちらをうかがっている状態だ。――いや殺気というよりも、意思が感じられない?」


何か、おかしい。だけど何も起こらないまま、このまま馬車はファルディアスへと走った。


学院編始まって早々に学院から離れる事態。

次の次くらいに学院編本格的に始動――かもしれません。


ついでに、学院編ってまだ始動編みたいなものになります。

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