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第四話目『魔法学院』

勇者、伝説、妖精、魔法、異世界、憑依、色々と意味が不明だ。

だけど、これはきっと希望なのだろう。

生きて帰る手だて、肉体をそのままもっていって、さゆりに言えば信じてくれるかもしれない。

だけど、それでいいのか?


この体は別の人のもの、俺がそこに存在しているのだから理由があるはず。

それをみつけなければ、帰れない。

みつけてもかえれないかもしれない。


それでも、俺は――奇跡に頼るしかない。

もう一度あって、あの箱と、俺の言葉をプレゼントするために。

魔法、そういったものの存在を理解し、展開することもできる。

体が覚えているからだ。


だが――知識がない。


どうすれば、いい?




魔法をいざというとき展開しても知識なければ自殺行為かもしれない。

そういった恐怖というものがある。


さて、どうする?






「魔法学院か。」


「魔法学院ですか?」


俺がボソリと言い放った言葉を、ルビーが聞き返してくる。


「あぁ、そういうものがこの国にはあるらしいんだ。」


おそらく城のような場所がそうなのだろう。ここは記念都市のうえ中立国家だから王という存在はいない。三つの国によって中立的に会議をなされ、ここの国は決まっている。


それゆえにこの国には知識が集まりやすい、ならば集まる場所にはいるべきだろう。

ここの魔法学院は王族もはいるし、平民という部類も入れる。

そのうえにこの世界に戸籍というものは意味はなく、たぶんだが入れるのではないか?と考えてみる。


―――ファイに質問してくるか。


知らなければ聞けばいい。十分に考えた。


「よっ、と。」


ベッドの弾力を反動にして、後ろに力をかけた後立ち上がる。置いてある荷物は全部もって、歩きだす。チャックアウトをすませ、門番だから門らへんにいるだろうか?なんて思いながら外にでると、学生のような格好をした人たちがいた。


「――魔法学院生徒ってところか。」


黒が主で、銀と黄色の装飾を施してある上着。内部にはYシャツと赤いネクタイをしている。

女学生と、男子学生、それは三名ずつ。雰囲気はカップルというか仲のよい友達といった感じ。


『ああああのさぁ!あ、あそこのレストランで――』


前言撤回、ひとり、とある女生徒にとてつもなく惚れているようなやつがいる。

顔を真っ赤にして声をかけていて、もういっぽうの二名の男子生徒は苦笑いをしている。


微笑ましい光景だ。学生に話を聞いてもいいが、邪魔しては悪い。すぐに視線を外し、ファイに会いにいこうと歩きだす。


「イリス様?聞かないんですかぁ?」


「邪魔しちゃわるいだろ、微笑ましいじゃないか。」


「でも――あの人たち嫌な予感がするんです。」


「嫌な予感?」


「はい――いえ、きのせいかもしれません。」


野生の勘みたいなものなのだろうか、ルビーからは野生というワイルドさなんて微塵も感じられないが、今は聞きに行ったほうがいいかもしれない。

危ない目にあってたら助けよう。


いや、あの男子生徒が活躍して気を引けるかもしれない。がんばれよ!


ダメだったら助けるだけだ。ま、俺がいて大丈夫かなんてわからないけど。


俺はファイのいるであろう門へむかってあるきだした。









―門前


「へぇ、魔法学院か、イリスのレベルじゃ必要ないんじゃないか?」


「知識が必要なんだ。」


やはり門前にいたファイは、買ってきた菓子を受け取るとボリボリと食い始める。

その容赦の無さには驚くばかりだ。どんどんと菓子が消える。――まぁいいけど、菓子は食べるものだ。


「ふーん、試験申込の日はいまでも可能だよ。試験日は一週間後だけどね。名前と金で十分らしいよ、どっかの王子様とかが偽名使ってはいってこられるようにだって。」


「――あれ、結構近いんだな?」


「魔法学、歴史、数学、理学、魔法薬学、昔は入学に憧れたからね。」


「生徒だったのか?」


「憧れた、だよ?入れてないよ、お金が足りない。」


「うぁっ、お金の問題があった!」


「ハハハ、君の腕前なら稼げるんじゃないかな?入学金80万、一年で40万の授業料。試験費用は

2万だったかな」


俺の生きてた世界の大学ぐらいなものじゃないか?それは。


そう簡単にできるものか、Aランクで20万だったんだよな?Aランクなんて早々でるわけないし。

じゃあどうしようか。


「それで、何年で卒業?」


「4年、そのうえに3年の学習が可能だね。その上の3年をとったら、自分のとった専門学科というものがあって、そういう役職になれる。」


うん、それなんて大学?


「80+40×4=240、なんてこったい。」


「うお、そう聞くとAランクの化物12体分ってことになるわけだな…。」


ハァ、とふたりしてため息をつく。


「ま、とりあえず考えておくよ。」


「おう、がんばれよ。」


そういって俺は歩きだす。












街へと戻ると、なにか騒がしいことに気づいた。


「イリス様、なにか騒がしいですね。」


「そうだな、とりあえずいってみるか。」


野生の勘と言うものが当たったといえばいいのだろうか。

黒い顔の隠れた鎧をかぶった人たちに、案の定囲まれている魔法学院生徒。

なんだあれは、新興宗教とかそういうものだろうか。


「なんなんだよ、オマエラァ!」


男子生徒のひとりが叫ぶ、先ほどの微笑ましい光景をつくりだした男子生徒は――気絶している。

ゲットアップハーリー!


『我らは魔王様の配下。』


『我らは魔王様のために動く』


『我らは魔王様をあがめたてまつる。』


『魔王がでれば勇者がでるだろう、光と闇、それがあるのが当たり前。』


『ならば学院の連中を皆殺しにするだけだ、勇者のでる可能性がある学院を』


『そう、これは余興』


魔王、魔王、魔王、やはり宗教にしかみえない。それも狂信者だ。

嫌な予感しかしない、ルビーもそのようで顔をシカめている。


「魔王…魔王、魔王…」


なんどものその言葉を繰り返す、記憶になにか手がかりが――グッ!?







『■■―――!お前は許さない!絶対にだ!』


『こい!■■よ、アァやってみろぉおおおおおお』






「ガッ――ふぅ、はぁ――」


息を整える、一瞬のことだったのだろう、目の前の光景はいっさい変化しなかった。

魔王の配下とやらは、ナイフをもって女生徒の首につきつけている。


足は震えていない。いつでも飛び出せるだろう、だが――人質がいる。

どうすればいい?

どうすれば―――。


そう考えていると、肩になにかが当たっていることに気づく。

見てみると、いい笑顔をした妖精、ルビーがいた。

その笑顔の意味を理解して、俺も笑う。


「じゃ、いってきます。」


そう告げたルビーは上へと登っていき、ちょうど人質の上に登ったところで、急降下した。


「凍れ、砕けろ」


一気に二つの魔方陣を構成した。水と風のコンビネーション。

ナイフを完全に凍らせたかと思うと、風を操り凍ったナイフをバラバラにする。

俺は瞬時に近づくと、人質をとっていたやつの顔面を思い切り殴りつける。


ッ!」


「ギャッ」


短い叫び声をあげて、吹き飛ばされるやつをみながら、人質を後ろへと押す。

そのまま剣を引き抜くと、かかってくる黒い鎧たちを一瞥する。

魔法は未だ心もとない、だがやるべき理由はある。


「吹き飛ばせ。」


二名を指し、示す。

構成完了は一秒もかからない。


黒い鎧連中は吹き飛ばされ、近くにあった店の壁へと叩きつけられうめき声をあげる。

黒い鎧連中は吹き飛ばされても起き上がり、剣を引き抜きかかってくる。

一撃をはじき飛ばし、風の魔法を構成、そして剣をもっていないほうの腕にまとわせ、叩きつける。


「ガァァッ!」


風をもって、小さな竜巻、それでもそれは最強の一撃である力を直撃させられ、回転しながら吹き飛んでいく。

二人目の攻撃を回転しながらよけ、遠心力をもって加速し剣を思い切り叩きつける。

二人目も動かない、完了。


三人目は魔法を構成していた。

ここまで8秒はかかっているだろうに、まだ完成しない、それほど強い魔法なのかもしれない。

知らずのうちに冷や汗が流れる。

8秒もかけているんだ、構成はもうすぐ終わるだろう。魔法を構成し吹き飛ばすか?

そう考えてみると、頭上から隕石のような赤い塊が降ってきた。


そして、構成している奴は構成を終え、上に気づき発射。だが発生した竜巻は瞬時に消え、炎のカタマリに内消された。


そして直撃。

黒い鎧の連中はみんなのみこまれ吹き飛んでいく。






そして、戦いは終結。






ゆっくりとその場にたっていると、ルビーがやってきたのでハイタッチしておく。

魔法学院生徒は呆然としている。


周りからは歓声が巻きおこる。


ちょっと照れくさかったので、すぐにでていこうとすると、こちらをよぶ声がする。

後ろをみてみると、さっき捕まっていた女子生徒だった。つまりはあの微笑ましい空気をだしていた男子の好きな人。


「助けてくれてありがとうございます。」


凛とした声で言い放つその女性をじっとみつめ、コクンとうなづく。

凛とした雰囲気の上、魔法学院の生徒――なんだかえらい人かもしれないために、あまり近付きたくない。


偉い人のうえ、王様や貴族がいる中世ヨーロッパを考えてみると、自分視点にいくと無礼者ーザクーッって感じだ。なにか無礼なことをやったらさくっと刺される。


「どういたしまして、で「まってください」…はい。」


いっても無礼者ー

関わってしまったら無礼者ー

そんな情景が頭に浮かぶ。


「なにかお礼をしたいのですが…申し送れました、私の名前はセレミアと申します。」


「イ、イリスといいます。」


「イリス様ですね。」


イリス、様…だと…?

なんだこの怖い感じは、なんか怖い!

偉い人に様付けってとてつもなく怖い!


「なにかお礼を―――」


「要りません、俺が勝手にやったことですから、…ではッ!」


全力逃走、関わったら『無礼者ーズバァッ』って切り裂かれる光景が頭のなかに何回も再生されているために恐怖心からくるものだ。

颯爽とかけていく、ルビーが「まってイリス様ァァ」と追いかけてくるのを背後に聴きながら俺は全力逃走を開始した。






―side セレミア


彼が颯爽と走っていき、それをずっとみてしまう。

風と共に現れ、風のように去っていく、そんな彼の去った方向をじっとみつめながら、人ごみの中から声がするのでそちらをみる。


中年の門番が現れた。


「イリス?あれ、こっちに向かったと思うんだけどな――ってセレミア様!?」


「あら、どうかしましたか?イリス様とお知り合いで?」


「イリス様ァ!?いやえっと、あいつのために申込書を――あっ」


門番から瞬時に奪い取る。自分でも驚きの速さ。


「どれどれ…まぁ私のお爺様が長をしているところじゃありませんか。」


「あ、そ、そうですね。」


「まぁまぁなんてこと、これは運命というものでしょうか。」


クルクルと回りながらその申込書をもって演技がかっている言葉を言い放つ。

門番の顔がひきつっていたがなにもみていないことにした。




-side end






-side 主人公


その後宿の部屋にファイが申込書をもってきてくれた。

すげぇいいやつ。


でも、わたした後、肩を叩かれたのでみてみると、ものすっごい哀れみの視線を向けられ。


「がんばれよ。」


と言われた。



















なんだったんだ?


ルビーがいきなり立ち上がったかと思うと


「嫌な予感がします」


そう言い放ったおかげで申込書を書きたくなくなった。だが、とりあえず書いて出してみると、受付の人が


「おおおおおおおお金をいただくなんてめめめめめっそうもありませええええん!」


そう言葉をカミカミになりながら叫んで受け取って奥にひっこんでいった。








なん…だったんだ…

僕⇒俺

気づいた人もいるかもしれませんが、気持ちの変化を感じさせるため――したかったんですが…うん誤字っぽい

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