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祈り
初恋は十五の夏。年上の人だった。長い亜麻色の髪のおしとやかな外見とは裏腹に自由奔放で破天荒でとにかくめちゃくちゃな人。
どうやって知りあったとか、なんで好きになったかなんて忘れた。けど、その人を取り合って友人と喧嘩したのは覚えてる。青春というか、若気の至りというやつか、結構盛大にやらかした。そのせいで俺は右目の視力を失った。
たぶん、俺たちの卒業式の日のことだったと思う。彼女は唐突に姿を消した。だから、彼女が今、遠くにいるのか近くにいるのか、はたまた生きているのか死んでいるのかすら分からない。
何も告げずに去ってしまった彼女だが、一つだけ、遺していったものがある。
それは笑顔とか大切な時間とか青臭いものではなく、
――にらにゃん――
可愛らしい響きのそれが、こんなにも残酷だとは思わなかった。
それは俺が好きだったあの人が遺した悪魔の呪。
今の俺のすべてで。
俺のすべてを狂わせたすべて。




