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二件目 喫茶やゆよ

2話目です。

後日、午前6:00


かなり早い時間で、公安6課も今は二人しか来ていない。


課長席、名標には羽場、と書いてある。


水瀬は敵意というか怒気を纏いながら話す。


「今回の件は超大型のショゴスとショゴスロードによる犯行と調査により断定。被害者を雇用していた会社を軽く洗ってみたところ、違法な掃除屋と関係が深かったどころか会社自体がまっ黒けっけ、捜査2課と公安が朝の5時ぐらいからカチコミしてます、以上です」


「ご苦労、今頃何人か死んでるだろうねぇ」


「死んでるでしょうねぇ、じゃなくて!」


ダン、と机を大きな音を立てて叩く、怒気を隠さず言い放つ。

「いきなり出張ってどういうことだよ!前日に教えるもんじゃないだろそれ!」


「まあまあ落ち着いて聞いてくれよ、こっちだっていきなり聞かされたんだぜ?」


そう言って机の上に置いてある書類を見せつける。


どう書いてあったかは以下の通りだ。




―――緊急事態が発生した。専門家の君たちの協力を願いたい。場所はアメリカ、神話共存都市アーカムのミスカニック大学。諸君らの迅速な協力を求む。―――




随分簡潔な内容だ、相当切羽詰まっているのだろうか。


「そんで日本政府限定のお便り」


ピッと鋭い音を立てながら机から取り出す、もう1枚の書類を渡された。


―――なお、日本からは必ず謁見者を連れてくること―――


「そんなピンポイントでされるのかよ。拒否されるとは思わなかったのか?」


「気持ちはわかるよ。でもね、お金と借りの欲しいお偉方が、どうぞどうぞと即答しちゃったんだ、しなかったら君が世界各地に謝罪安行だ」


「殺したくなってきた、俺はとばっちりが嫌いなんだ」

浮き出る動脈の血に殺意が混ざっていくのを感じる。


「キミが言うとシャレにならないからやめてくれ」

冷や汗をかいている、ちょっと冗談きつかったか。


「安心しろ、そんな暇があるならとっくにしている。まあ、なんだ、受けるよ、それ」


「それなら契約は本当に成立だ、今回は特別に門の使用を許可するらしいよ」


「門を使っていいのか?」


「いや、場所は決められてるっぽいよ」


「公務用なら地下、それとも言ったら消されるあのやんごとなきとこか?あそこには俺は入れないんだが」


「いや、謁見者たる君が出張ってるとバレたら国内の治安が悪化するのよ。だから秘匿性が高くて、安全で、なにより信用できる門を使う」


「待て、その言い方は民間を使うってことだよな、民間で門を使うのは犯罪だ、それが認められているところなんて考えうる中で一軒しか」

そう、もう一人の謁見者の経営するあそこしか。


「そ、キミの同類の経営しているとこだよ」


不服な俺を見て、ニコっと笑う上司は俺を嘲笑っているようにしか見えなかった。



準備は済ませていたのですぐに出発できてしまう、いやいやながらも駅の近くの表通りの喫茶店に着いてしまった。


赤いレンガに色とりどりのステンドガラス、古風なフォントで珈琲とかオムライスとか書かれている、お手本のようなレトロ具合だ。OPENとドアに掛けられているので入る。中も以下同文というべきか、旧時代の物でもさらに古いものばかり。

水飲み鳥を選ぶセンスは認めるが、とか思いながら突っつく。

ああそういえば、奴の説明がまだだったか。


―――名工が黄金比を用いて掘った大理石の彫刻がそのまま生命を持ち出したかと疑う完璧に近い身体のバランス、黒瑪瑙(オニキス)のごとき奈落のようで底なしの漆黒に負けぬほどの深く煌めく白い円環を宿す瞳、瑞々しさと艶めかしさを共存させた唇、ホワイトシルバーの髪は周囲の景色を押しのけることなく調和しつつも隔絶したものを感じさせ、風に揺られる度に甘い花園の香りを漂わせている。それで胸は巨乳と言うまではいかないが美乳なのが服からでも伝わって―――


というのが我が楽しき同僚、渡辺押火(おしび)の総評だワンブレスで言いきりやがったのには感心している、断じて俺のものではないぞ、断じてな。

確かに顔はいいのは認めるが。


「なんか嫌なんだよな~って?そりゃ同族嫌悪だよ、ああ、水瀬君は謁見者とか人間とかの問題じゃなかったか?」

ハッとして振りかえる、喫茶店の中には既に奴がいた。正確には真後ろ。


スパイ活動がバレた諜報員の気持ちだ。

ここの店主、旧時代最後の謁見者、新時代最初の仲介者、収集家、人類愛者、人格破綻の愉快犯。

有名人ではある、悪い意味でだけど。


「なぜお前がここに居る?」


「なぜなら、ろくでもない案件だから!」


「元気いっぱいに言うな、まあ今回は単身で良いんだ。少しは気楽に」


「何を言ってるんだい、今回は相棒バディ付きだよ?」


「は?」


「聞いてないのか?」


「あのバカ上司は言ってなかったぞ」


「悪魔って契約の際に嘘は言わないけど誤魔化しはするらしいよ」


「ほう、でも肝心の相棒は?」


銀崎はテーブル席を指さす。一人、女性が座っていた。

髪色は明るい茶髪、歳は2つ下ぐらい、高校生か?コーヒーは冷めているが量を見る限り一口付けただけで、それ以降は飲んでいないらしい。すごい不機嫌そうな顔をしている、待たせすぎたのだろうか。


「おい、今になってなお、高校生を動員するほど、うちは人材不足なのか」


「いいや、彼女は別の方から来てる、それも有名どころからさ。戸神ちゃん、驚かせてやるといい」


「戸神家から来ました、戸神八千代といいます。この度は謁見者の水瀬様と相棒バディを組ませていただき光栄に存じます」


御三家の中でも権力の強い戸神家、その中でも俺と銀崎と同じ最高戦力の一人。主神レベルとも契約したことがあるとも聞いてはいたがここまで若いとは。


「会釈までしなくてもいいよ、フランクにやろう」


「で、では、ろくでなし、私と組めることを光栄に思え」


「すごい落差だね、誰の仕込みだい?」


「えっ、銀崎さん?水瀬さんは雑に扱われると喜ぶって」


分かり切ったことを聞いてしまったがやっぱりお前か。


「おい、もっとろくでなし?御三家の令嬢様に何を仕込んでんだ」


銀崎は腹を押さえて笑いをこらえている。涙を流すほどとは思わなかったが。

「いやまさか、こんなに言う通りに従ってくれるとは思わなくてね、そんなにこのろくでなしに入れ込むなんてまるで彼のことが…」


つい先ほどまで笑いをこらえていた銀崎が真顔になる、電流走った気がする。そして戸神からは雷光が物理的に走っていた、いや魔術的ともいえるけど。

消し飛ばす勢いだったが銀崎は風でつかみ取ると、雷光はカッと煌めいた。


(マズい、詠唱破棄、半径2mに範囲を狭め強度を増加!)

魔物捕えし見えざる球(ナーク=ティト)!」


予想通り爆発した。雷で移動、着弾と同時に爆発する二重魔術、殺意がだいぶ高いと感じた。

風に魔力を通し、開いてある窓から逃がす。それでも風で布などは飛んでいく。


「ああごめんね、そりゃそうなるよね、言わないよ。決してだ、約束してもいい」

「こ、こちらこそ、いきなり攻撃しちゃってすみません」

「いいよ、先に仕掛けちゃったのはこっちだから仕方ないさ。だからこそ、できるだけ尽力することも誓おう」


2人が固い握手を交わす。


―――なんだろう、喧嘩した後に親友になるとかいう一昔前に使い古されたであろう展開が繰り広げられているのだが…それで被害を被っている俺のことを忘れないでほしい―――

fgoの終章、無料でやって良いクオリティか疑いました。

面白かった内容を話したいですが話せないところがもどかしい、インド神話にもそんな奴がいた気がする。

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