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13件目 新特区建設予定地

内装は飴色の木材がふんだんに使われており、窓枠は焦げ茶色で統一されていて随分と綺麗であったがその風情とかを堪能することもなく、そのままこの車両から出ていくこととになった。

悲しみ半分の面持ちのまま駅に出れば、アスファルト舗装のホームが出迎えた。煙草でも吸おうかと迷ったが禁煙の張り紙が書いてあったので諦めた。

地図を買って駅を出る。今回の案件について既に自分の業務用携帯電話に連絡があるようなので確認する。

まず第一優先は特区の完成に向けての障壁となる存在の排除、その次に現場の状況についての詳しい記録を書類にまとめること、さらにその次にある組織についての情報の入手。

最初の二点はまだ面倒で済むのだが最後がよくわからんので、『ある組織ってどの組織だよ』と連絡を入れたが『いずれわかるそうなので気にしなくて結構でーす』という悲しい対応をされた。とりあえず、障壁となる存在の排除を念頭に一日ごとに記録を作成、緊急案件があればそれに順次対応という形で進めようと自分の中での優先順位をつけた。

指定された宿に向かう途中に双子を見かけた、白髪の元気いっぱいな双子だ。アイスクリームを買おうとしているらしいがどうやら困っているらしい、隠す必要も無いのでそのままいうと顔見知り、というかある意味で同僚と言ってもいい、翻訳機を使っているようなので助けは必要ないだろうと判断してそのまま通り過ぎる。

―――キュィィィィ―――

透き通りつつも甲高い鳴き声、間違いなくイルカの鳴き声だ。頭痛の元(ニャルラトホテプ)と比肩する神の加護を持ってるだけあって嗅覚も鋭くなっているのだろう、気配を消したつもりだったが認識されてしまった。

浅瀬に足を濡らした時のような海水のようにひんやりとした魔力、銀色にきらめく右腕が俺のズボンを引っ張った。あーあ、しくじったと思いながら空中に浮かぶ摩訶不思議なイルカを撫でまわした。


「水瀬だよね」

「キュイがなついてるからきっとそうだよお兄ちゃん」

このイルカ、そんな名前だったのか。

両手を上げて何もしませんよという意思表示をしておく。キュイと鳴きながら俺の手のひらに頭をこすりつけてくる、可愛いけどやめてくれ。

「お察しの通り正解ですよノーデンス兄妹のお二方。

序列第5位、銀の(かいな)のフィルハ様と

序列第3位、貝の戦車のフィオン様とお呼びした方がよろしかったですか?」

「あはは、水瀬が畏まってる。序列だったらそっちのが上なのに。変なの」

「大人の苦労ってものなのかな?」

痛い所を突く、まあいい適当に流してさっさとホテルで惰眠を謳歌してしまおう。

「もうすぐ仕事なので動いても構いませんか?お二方とて忙しいでしょう?」

「「いや全然」」

「ではなぜ俺を呼んだのですか?」

分かりきっているが一応聞いておこう、もしかしたら違うかもしれない。

アイスクリーム屋の方に指をさす、言語が通じているなら苦労する要素もないだろうが…さては

「お金がないのか」

「正確には両替せずに来ちゃった」

「窓口で両替しなかったのか?」

「海をそのまま渡って来たの」

なるほどここは内陸なのに結界をそのままぶち破ってきたわけだ。

アイスクリームを買って渡しながら、責任追及がこっちに来ないように願っていた。

もっと書きたかった。

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