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そうそう簡単にはいかない

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「……ちょっと性急すぎたかな」


慧を呼んだ校舎裏で猛烈反省中デス。

京が慧であることに疑いはないのだが、流石にいきなりすぎたもしれん。

来るかどうかも怪しい。

それにあいつ校舎裏なんてわかるのか?

ちょっと浮かれすぎたか。


「ん?空が暗くなってきたか……?」


見上げた空には暗雲が立ちこめていた。


「これは一雨来そうだな」


憂鬱だ。この場所は天井なんてものは当然ない寂れた場所だから雨ざらしになる。


早く来てくれればいいんだが…


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


しかしそれは杞憂となった。

慧はその後すぐに現れた。

さも不機嫌ですと言わんばかりの雰囲気を携えながら。


互いに幾秒か見つめあった後、ややあって慧が口を開く。


「……何ですか?私は慧なんて名前じゃありませんよ」


じゃあ何で来たんだよ!という俺の内心の突っ込みを押さえつつ、努めて冷静に言葉を紡ぐ。


「嘘をつくな慧……。ネタが割れた嘘ほど滑稽なものはないぞ」


それでも慧は表情を崩さない。


「だから私は慧なんて男じゃありません。私は……東雲京です。……立派な女です」


どもりつつもそう俺に慧はきっぱりと言い放った。

――スカートを力一杯握りしめながら。

あぁこいつは本物の馬鹿だ。

気づかれないとでも思っているのか?


「ああ。お前が自分を女と言うならそれでいい。だがな一つ言わせろ。じゃあ何でお前はそんな辛そうなんだよ」


顔をそんなに歪めておいて、絞り出すように女です、はないだろ。

そこで初めて慧に動揺がみられた。

後一押しだ。


「ち、違う!私は辛そうになんか……」

「違うもんか。何年お前の隣にいたと思ってる。……一年も空いてしまったけどその癖が直ってなくてよかった」


その言葉を聞いた慧は素早くスカートを掴んでいた右手を離した。

慧はすぐにしまった、と言う顔になったがもう遅い。

ばっちりと焦った顔を見させてもらった。それはもう言い訳できなくなる程に。



だが俺はまだ気づいていなかった。

「で、だ。何か言い訳あるか?」

この一年が変えたのは、なにも慧の性別だけじゃない。

「……さい」

慧と俺の関係性、

「何だ?」

そこには大きな、

「うるさいんだよ!裏切り者のくせに!」


――――大きな溝があることに。



…………ポツッ……ポツッ…ポツッポツッ…………ザァァーーー


雨が降り始めた。

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