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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
秘書体験

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67話 ディア、敗北!?

 強兵を吹き飛ばし、ステナリアに傷を治してもらってから2週間が経った。


 あれから、富豪たちに動きはない。動きがなさ過ぎて怖いくらいだと皆は言っていた。偵察兵からの知らせでは、モデラの家が破壊していたそうだ。


 富豪たちに動きがないのなら、俺のするべきことは何だろう?


 富豪たちの町に攻めて、アキレア王国を富豪たちから守ること。それとも、攻めて来た富豪たちを迎え撃つこと。


 そんなことを考えながら、晴天の青空の下、王宮のベランダで新しくなった椅子にもたれ掛けて、アキレア王国特有の涼しい服を着て、アキレア王国で有名なドリンクを飲んでいる。


 今は昼を過ぎた辺り。


 「ディア!大変だ!ナノハ王女が富豪たちに攫われた!!」


 ドリンクを飲んでいると、ルニアがそう叫びながらこちらに走って来た。


 「はぁ?それ、本当か?」


 「嘘なんて付くわけないだろ!?」


 そう言って、さらにルニアは俺に近づいて来る。いつものルニアとは思えないほど迫力がある顔をして。


 ルニアは近づいてくると俺に手を伸ばしてきた。そして、俺は顔付近まで来たルニアの手を掴んだ。


 「・・・何の真似だ?」


 「それは、こちらのセリフだ。ルニアの皮をかぶった誰かさん?」


 「俺はルニア・メアロノロスだ」


 「惜しい。ルニアは俺と二人だけの時は、そんな真剣な顔はしないんだ。情報不足だったな」


 俺が笑いながらそう言うと、ルニアの皮をかぶった誰かさんは、掴まれている手を力尽くで抜き、俺の横を通ってベランダから逃げようとした。


 「『拘束』」


 柵を飛び越えて、下に落ちている誰かさんを俺は『拘束』で捕らえた。


 捕らえられた誰かさんは、地面に背中から着地した。俺も柵を飛び越えて、地面に着くギリギリで『ウィルド』を使い、華麗に着地した。


 縛られて動けない誰かさんは俺を見て睨んでいる。


 「それで、お前は誰だ?」


 富豪たちとの会議で居た強兵たちの気配でもない。俺とは初対面の敵。


 「・・・」


 う~ん。これ以上何か言っても全部無視されるだろうな。なら、無理やりにでも正体を明かすまで。


 「『クリア』」


 この誰かさんがどうやってルニアの顔にしているのか。それは、『変身魔法』と、いう名前の通り変身出来る魔法。


 この『変身魔法』は顔だけでなく、声や身長、体系や気配、ましては性別を超えて変身できるというすごい魔法だ。


 その人の特徴をちゃんと捉えていたら、国王に変身して、国の乗っ取りがとても簡単に出来るだろう。


 だが、気配はその変身している人の気配にはなれないし、魔力もかなり使うので使える人は少ない。


 『クリア』を使って変身魔法を解くと、その正体は・・・


 「マジかいな・・・」


 変身魔法の正体は水目の女性だった。俺は今、縄で縛られている女性にまたがっているという、見る人から見れば変態と勘違いされる状態。


 俺は急いで女性から離れようとしたら、女性が急に大きな声を出した。


 「キャァァァ!!襲われる!!!」


 お、おい!何てこと言ってんだ!!


 すると、誰かが走って来る音がしてきた。だが、この女性は敵。ちゃんと、説明すれば分かってくれるだろう。


 俺はその場で待った。


 「大丈夫ですか?!」


 走って来たのは王宮の門番をしていた一人の男性。男性はこちらに来ると、俺のことを睨んだ。


 「この女性は、変身魔法でルニアに変身して俺を襲おうとしてきたんです。門番さん、この女性は富豪たちと絶対仲間ですよ!!」


 俺は、焦ることなく、いつもと同じようにそう門番の男性に言った。すると、門番が近づいて来た。


 「本当ですか?」


 「本当です!」


 俺はそう言うと、門番の男性は笑った。そして、笑った門番は俺の腕に腕輪のような物を付けてきた。すると、何故か魔力がなくなる感覚があった。それも、全て。


 「・・・これは、いったい?」


 俺は門番の男性を睨みながらそう言った。


 「ふふっ。これは、魔力を使えなくする魔道具ですよ!」


 門番の男性はそう言うと、縛られている女性の縄を切って女性を解放した。まさか、この門番も!?


 俺は王城に行こうと、走り出したら身体に痺れが走って倒れた。


 「ア"ア"ァァァ!!」


 俺は倒れたが、這いつくばりながら王城に向かおうとしたが、今度は俺が『拘束』で縛られてしまった。


 これで、俺はもうどこに行くことも出来なくなってしまった。


 やばい、本当にやばい…


 縛られて動けない俺に近づいてくる二人。


 「これも付けるか?」


 「いや、それはもったいないだろう。こいつには魔法しかないんだ」


 そんな会話をしながら近づいてくる二人は、俺の前に着くと女性が俺のことを踏みつけた。


 「ア"ア"ァ"ァァ!!!」


 踏みつけられた瞬間、俺は大きな声で叫んだ。


 女性が踏んでいる所は・・・心臓。


 「おぉ!言い叫びっぷりだな!さっきのお返しだ!!」


 女性はそう笑いながら言うと、何度も何度も俺のことを踏みつけた。しかも、全て心臓部分を。


 俺は踏まれ続けるうちに、意識を失った。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 『ア"ア”ァ”ァァ!!!』


 ・・・さっきからベランダの方から聞こえるこの叫び声は誰の声だ?確か、ベランダにはディアが居たはず。


 !もしかして・・・いや、ディアに限ってそういうことはないだろう。っていうか、逆にディアが叫ばせているんだろうな。あいつはかなりのSだと俺は思っている。


 「ルニア君、先ほどからの叫び声、ディア君に似ていると思わないか?」


 「ディアに?でも、あいつがあんなに声を荒げることなんて・・・」


 「行ってみるか」


 「はい」


 俺は陛下の後ろを着いて行く。ベランダへ進んでいると叫び声が聞こえなくなった。


 そして、ベランダに着くと、そこにはディアの姿はなかった。だが、近くから女性の声と男性の声が聞こえて来た。


 俺と陛下は柵越しから話している女性と男性を探していると、すごいものを見つけてしまった。


 「ディア!!」


 男性がディアを縛っている縄を持って、どこかへ向かっている。俺がディアの名前を叫ぶと、女性と男性はこちらに振り向いた。


 そして、こちらを見た女性と男性は、ディアを引きずってどこかへ走って行った。


 俺は柵を飛び越えようとしたら陛下に止められた。


 「放してください!!」


 俺が陛下にそう言うと、陛下は俺を片腕で持って、柵を飛び越えた。そして、男性と女性が走って行った方へ陛下が俺を持って走ると、二頭の馬が富豪町の方へ走っているのが見えた。


 その二頭の馬には、先ほど見た女性と男性、そしてディアが乗っていた。


 陛下はさらにスピードを上げて走ったが、二頭の馬が下り道に入ったのを見て、陛下は走るのを止めた。


 そして、陛下は俺を放した。


 「・・・ルニア君、すまない」


 「い、いえ。俺の方こそ・・・」


 こんなこと想像できなかった。いや、想像できるわけないだろ!あのディアだぞ!?あの最強の!


 常に「俺は負けない」と、言っていたディアが!!


 すると、俺の目から温かい水が流れてきた。俺は涙を拭った。


 「ルニア君、緊急会議だ!皆をすぐに呼んでくれ!」


 「は、はい!」


 ・・・そうだ。いつも、俺はディアに救われっぱなしだった・・・


 部下を救うのもまた上司の役割!待ってろ、ディア!!今度は俺がお前を絶対に助けてやる!!

 

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