53話 お前、帰宅部だろ
「な、何だったんだ今の魔法は?!」
『エクスレーション』とはいえ爆裂魔法を使ったなら、音も大きいし、爆裂魔法特有の爆風も受ける。しかし、その爆風はかなり強い。ルニアを見ると尻もちをついている
「今の魔法は爆裂魔法なんですよ。全方位からの攻撃なら全方位に攻撃を与えれる爆裂魔法の方がいいと思ったので」
「え?さっきの魔法は『エクスプロージョン』なのか?威力弱すぎないか?」
「はぁ。ここで『エクスプロージョン』なんて使えるわけないだろう。今使ったのは『エクスレーション』だ」
ルニア君。君もクルミナで爆裂魔法を習っただろ。しかも『エクスレーション』を見たことがあるだろ?
まぁ、確かに爆裂魔法は『エクスプロージョン』だけだと思っている人もいるだろう。それは、ここにも・・・
「ディ、ディア様、魔力は大丈夫なんですか?爆裂魔法は魔力消費200の魔法なんですよね?先ほど、魔力ポーションがいるとか言っていたと思うんですけど・・・」
「その200消費する魔法は『エクスプロージョン』の方だ。今回俺が使ったのは『エクスレーション』という魔力消費50の簡易爆裂魔法だ」
魔力消費50の時点で簡易ではないのだが、50なら水目を持っている超人なら誰でも使える魔法だ。『エクスプロージョン』はまぁ、水目を持っていて才能がある超人だけ。
「消費魔力50...簡易魔法ではないですね・・・ま、まぁ、消費魔力200を考えたら確かに簡易ですね・・・」
「いや、簡易ではないだろう。ディア君以外の我々三人は『エクスレーション』を使えないしな」
まぁ、水目を持っていなく才能を持っていても魔力が40だから、水目を持っていないこの三人は魔力が50もないだろうな。
そういえば、ヒノリはあれから魔力は増えたのだろうか?もし、増えているなら・・・いや、この三人はもう増えないんだった。
ナノハさんを助けたらデイジーの町に行ってヒノリに確認しよう。
「しかし、ディア君の魔力量はどのくらいなんだ?カタリナに言う通り魔力ポーションがいると言っていたのに、魔力消費50の魔法が使えるなんて」
あ、そういえば、カタリナとカランコエ陛下には俺の魔力量言ってなかったな。
でも、ここで俺の魔力量を言ったら、二人はここで固まってしまってダンジョンを進めないだろう。
「それは・・・ナノハさんを助けてから話しましょう。だから、早くダンジョンを進んでナノハさんを助けましょう」
俺は二人にそう言うと、カランコエ陛下は「ナノハを助けてディア君の魔力量を聴くぞ!!」と、言って3層に向けて走り出した。
・・・なんか、俺の魔力量を聴くためにナノハさんを助ける方向になってるんだけど。
・・・まぁ、それでやる気が出たならいいか。
俺たちはカランコエ陛下を追って走り出した。・・・速すぎない?カランコエ陛下・・・
・・・・・・
・・・・・・
「はぁ、はぁ」
3層へ続く道の前で俺は、膝に手を付いて息を荒くしている。それもこれも全てカランコエ陛下のせいだ。
俺たちはカランコエ陛下に追いつくために全力で走ったが、それでも追いつくことは出来なかった。無我夢中で走っていると、カランコエ陛下が立ち止まっていたので、それでようやく追いつけた。
俺はこんなに息を激しくしているのに、ルニアは全然息を荒くしていない。ルニアのくせになぜだ・・・
カタリナはアキレア人の血が流れているからこれだけ走っても息が激しくならないのは分かるけど。
「すまない、ディア君。つい、張り切ってしまって・・・」
「い…いえ…だい…じょう…ぶ…です」
俺は途切れ途切れでカランコエ陛下に言った。すると、ルニアが俺の肩に手を置いて言った。
「ま、これが、研究会の違いだな」
「は?…おまえ…うん…どうけ…いのけん…きゅうかい…だっけ?」
っていうか、そもそもこいつは研究会に入っていなかったはず。
「いや、違う。俺はそもそも研究会に入ってないが、指揮をするには体力がいるからな。毎日の運動は欠かせないんだ!」
・・・?じゃあ、なぜこいつは研究会というワードを出したんだ?っていうか、こいつ、いつものモードに戻ってるじゃん。だから、バカになってしまったのか。
「お前、そんなこと言って…この一週間運動なんか…してないだろ」
徐々に息が回復してきたので言葉も途切れずに言えるようになってきた。これでようやく3層へ進める。
「カランコエ陛下、もう大丈夫です。進みましょう」
「あぁ!行くぞ!!」
俺たちは3層へ続く道を歩き出した。




