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5話 大国「メアロノロス」

 俺たちがこれから向かうところは大陸で最も大きい国、大国「メアロノロス」。なぜなら「メアロノロス」の王都にある大陸最上級の学園「クルミナ」に俺たちはこれから通うからだ。


 俺はこの時を楽しみにしていた。この世界には魔法があるが、魔法は学園で習うまで使うなと言われていたので、これから魔法を使えると考えるとテンションが上がる。


 「メアロノロス」は馬車で2日の距離にある。自分は「近いな!」と思った。大国だからと大陸の中央に位置するわけではなく、地図で見ると「メアロノロス」はスカシユリの下にある。


 普通の貴族ならば護衛など5、6人だろうが、今俺の目の前に居るのは1国の王女である。護衛が倍の10人以上と、とても安心感がある。まぁ、オッドアイの持ち主と言う理由もあるだろうが。


 こうして馬車がメアロノロスに向けて進んで行くと、日はもう沈んでいた。


 「今日はここで休みましょうか」


 「あぁ、そうだな」


 俺がステナリアにそう答えると、ステナリアは窓を開けて馬車を引いている人と、護衛の人たちにここで休みましょうと言った。


 ステナリアがそう言うと馬車は止まった。そして馬車の扉が開いたので俺たちは馬車から降りた。


 落ちてある枝を集めて焚火を炊き、ご飯は持ってきていた干し肉を食べる。こういう遠出の時は干し肉にかぎる。


 俺は干し肉を食べているステナリアを見ている。こんなにおいしそうに干し肉を食べている王女はこいつだけだろうと思いながら。


 「・・・何ですか?人の顔をそんなに見て・・・」


 ステナリアはそう言うと顔を少し隠した。


 「いや、おいしそうに食べるなって思って」


 「この世界には干し肉だって食べられない人も居るんですから、1つ、1つの食べ物に感謝して食べるんですよ」


 ステナリアはそう言ってまた干し肉を1口食べる。俺は良いこと言うな~と思った。


 「そうだな...」


 「ええ、そうです」


 そして俺も干し肉を食べる。うん、うまい。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 「ん」


 「起きましたか!ディア様!」


 俺が太陽の光を感じて目を覚ますと護衛の人から声をかけられた。


 「うん、おはよう」


 「おはようございます!」


 「ステナリアは?」


 「王女様なら先ほど起きられて、馬車で着替えています」


 護衛の人からそのことを聞いて馬車を見ると、中のカーテンが閉まっていた。そこで俺は良いことを考えた。


 「なぁ、ロアノ。男の夢を叶えたくないか?」


 ロアノとは俺と話している護衛の名前である。


 「男の夢って...まさか!?」


 「あぁ、そのまさかだ。任せておけ、俺に」


 俺はそう言ってステナリアが着替えている馬車の前まで向かった。そして俺がロアノに作戦を伝えた。ロアノは最初は嫌がっていたが、俺の押しに負けて作戦を実行することにした。


 作戦は単純。俺を馬車に乗せるためロアノは馬車の扉を開ける、そこに俺が入り何も聞かされていない俺は着替え中のステナリアとばったり会う。これの責任は俺ではなく、俺に着替え中と教えなかったロアノのせい。漢は時に、同志を見捨てるのも、また漢なり。


 「こ、こちら...です、でぃ...あ、さま」


 ロアノはそう言って馬車の扉を開ける。


 「ありがとう。ロアノ」


 俺はそう言ってカーテンをどけて入る。


 「おはよう、ステナリア。いい朝だな」


 俺は馬車に入り手を腰に当てながら言った。


 「ええ、いい朝ですね。ディア」


 「・・・」


 目の前には、着替えている途中のステナリアではなく、着替え終わりのステナリアの姿があった。


 「ふふっ、全部聞こえてましたよ」


 ステナリアは自分の耳を指しながらそう言った。そこで俺は思い出した。身体能力の強化には、五感も含まれていおることを。五感が強化されていることは、聴覚が優れていると言うこと。だとしたら、馬車の外での会話は全て筒抜けだと言うことになる・・・


 「ロアノ」


 「ガチャッ」


 ステナリアがロアノに言葉の圧をかけるとロアノは馬車の扉をものすごい勢いで閉めた。俺は扉を開けようとしたが微動だにしなかった。くそっ、俺が子供なばかりに・・・


 俺が扉を開けようとして後ろを向いていると、ステナリアが俺の後ろに忍び込んでいた。そして俺がステナリアに気付き後ろを向くと、右手をグーにして俺の溝内を捉えていた。そしてその右手は俺の溝内にクリーンヒットして俺はその場で気絶した。


 

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