43話 お湯神
お湯の雨が想定していたよりも長く降り続いているので、デイジーたちが喜びの舞を踊っている。
その舞は、皆で真ん中に集まって円を描くように歩くというもの。
その舞に参加していないのは、俺とルニア、カタリナとクリスタの4人だけ。
参加していない俺とルニアとカタリナは物理障壁を張って、熱いお湯の雨を防いでいる。クリスタは張らずに熱いお湯の雨を受けている。
・・・本当に長いな。
適当に熱いお湯の雨と、想像してしまったせいだろう。
・・・『クリア』使っちゃおうかな?
だが、舞を踊っている皆の顔を見ると、中々その判断を決めるのが難しい。ここで『クリア』を使って、この熱いお湯の雨を消したら、デイジーの戦闘民族としての本能が発動して、俺を襲うかもしれない。
そんなことで襲われはしないのだろうが、戦闘民族というのは俺にとっては未知数なものだ。
「これって何時止むんですか?」
「・・・止ましていいんですか?」
何か、すごい言葉話したな俺・・・
「止ませれるんですか?魔法を消すことなんて出来ないと思っているんですけど・・」
「魔王を消すだけの魔法があるんですよ。俺しか使えない」
俺は右手を空に上げて、熱いお湯の雨が降っている所を『クリア』で範囲を設定して、『クリア』を使って熱いお湯の雨を止ませた。
何か、神になった気分だな・・・。もちろん、自然の雨を止ますことは出来ない。
熱いお湯の雨が止むと、デイジーたちの舞が終わった。
「どうして、止んだんだ!お湯!!」
「帰ってきて!お湯様ぁ~!!」
「やった!お湯の雨が止んだぞ!!」
「天よ!どうして、恵みのお湯を!!」
皆、空に手を合わせてそんなことを言っている。中には泣いている人もいる。
何か、すごい罪悪感が俺にぶつかってくる。これは、もう一度、降らせたほうがいいのだろうか?
俺はクリスタを見た。
「すごいですね!本当に魔法を消せるなんて」
違う!俺が求めている言葉はそれじゃない!
俺が心の中でそうクリスタに言っていると、クリスタは皆の所へ行った。そして、クリスタの初めの一言で、皆がクリスタの方を見た。
「皆!もし、このまま熱いお湯の雨を降らせると、鍋のお湯が溢れてしまって、王熊パーティーが出来なくなるぞ」
クリスタの言葉を聞いた皆は・・・
「確かに・・・」
「なるほどな・・・」
「出来なくなるんだったらな・・・」
と、クリスタの言葉に納得したようだった。そして、クリスタは皆に続けてこう言った。
「それに、これは自然に降ったものではない」
クリスタはそう言うと、俺の方を見た。それにつられて皆も俺の方を見た。
「これは、この、ディアが魔法で降らせたものだ」
クリスタがそう言うと、皆は一瞬の静寂の後、大歓声が上がった。そして、次々にこのような言葉が聞こえて来た。
「ディア様!!」
「お湯の使いて!!」
「お湯を作りしもの!!」
そして、最後に誰かが「お湯神様!!」と、言うと・・・
「確かに・・・」
「似合うな・・・」
「お湯神・・・」
そんな言葉が聞こえて来て、最終的に「お湯神」コールが町で鳴り響いた。
それを聞いていたカタリナは、顔は笑っていないが口元が笑らながら・・・
「流石です。デイジーたちから神扱いされるとは」
と、言った。
ルニアはカタリナと違い、隠すことを一切しないで横で笑い転げていた。・・・こいつには後で「お湯神」の制裁を与えないといけないな。




