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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
秘書体験

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40話 焚き火

 「『ウォル』」


 俺は『ウォル』を使って王熊が入りそうな大きい鍋に必要なだけの水を入れた。


 「ありがとう!ディアさん!」


 「このくらいお安い御用ですよ」


 俺はそう言って次なる仕事を探す。


 俺が仕事を探していると、パーティーのための荷物を運んでいるカタリナが目に入った。俺はカタリナと目が合ったので頷いた。


 ルニアもどっかでちゃんと仕事してんのかな?


 そんなことを考えていると、先ほどとは違うところでも、先ほどと同じ大きさの鍋の準備をし終わったらしい。俺は次にそこへ向かう。


 「俺が水入れますよ」


 「お、ディアさん!お願いします!」


 俺は台を上がり、『ウォル』の魔力を調節して魔法を放った。普通の『ウォル』じゃ、この大きい鍋に必要な分の水を溜めるのにかなりの時間が掛かる。


 どのくらいの量の水が必要なのかは先ほどの水入れで知っているので、俺はこの鍋に必要な分だけの水を入れて『ウォル』を止めた。


 「もう出来たんですか?」


 この鍋の準備をしていた一人に声をかけられた。


 「あぁ、俺は向こうに行っている」


 俺はそう言って、これから俺が向かおうとしている所に視線を向けた。


 「お、ヒノリの所ですか。確かに、苦戦しているそうですね」


 俺が目を向けた場所では、一人の女性が一生懸命『イグナス』を使って、火を点けようとしているのが分かる。だが、その火は一向に点く気配がない。


 「ヒノリってあの魔法を使っている女性のことか?」


 「はい、この町で唯一の水目なんですよ」


 ほう。俺は「教えてくれてありがとう」と、言ってその場を離れて、ヒノリの所まで向かう。


 ヒノリの点けた小さい炎を周りの大人たちが一生懸命に「ふぅー」と、息を吐いているがまたすぐに消えてしまって、またヒノリが火を点け直す。この繰り返しが繰り広げられている。


 俺がその場に着くと、周りの大人たちは俺に気付いたが、ヒノリだけは俺に気付かずにずっと『イグナス』を使っている。


 ヒノリを見るとかなりしんどそうな顔をしている。


 「ヒノリ、『ウィルド』使えるか?」


 「!は、はい!使えます!」


 俺の声が急に聞こえてきてヒノリは身体が「ビクッ」と、なって『イグナス』を止めてしまった。


 俺はヒノリの言葉を聞いて、ズボンのポケットから小さい紙を取り出して、火を点けようとしている所に入れた。


 「誰か枝とか持ってないか?」


 俺がそう聴くと周りの大人の一人が持っていた枝をくれた。俺は貰った枝と紙を鍋の下に入れた。


 そこには元から薪が入れてあったのでこの二つの材料で十分。


 「『イグルス』」


 普通の『イグルス』より少しだけ大きい『イグルス』は紙に直撃し紙を燃やした。そして、その火がだんだん全体を覆う。


 「ヒノリ、『ウィルド』だ」


 「は、はい!『ウィルド』」

 

 ヒノリの放った『ウィルド』は火をより活性化させた。火は「ヒリ、ヒリ」と、音を上げながら燃えている。


 「ヒリ、ヒリ」と、燃えている火を見たヒノリは『ウィルド』を止めた後、後ろへ倒れた。その顔には嬉しさが詰まっていた。


 「お疲れ様、流石は水目だな。『イグナス』をあれだけ使えるとは。魔力はどのくらいあるんだ?」


 「えーと、前に量った時は92でした」


 ほう。中々な量だな。見た目的にはもう15歳になっていると思うが、戦闘民族は育つのが早いとも言うしな。15歳じゃないかもしれない。


 「かなりの量だな。俺の周りにもそのくらいの魔力を持つ人はあまりいないぞ」


 「い、いや、ディア様の魔力量に比べたら全然少ないですよ・・・ディア様の魔力量はいくらなんですか?」


 「723」


 俺は『空間転移』から鍋分の紙を取り出そうとしながら簡潔にサラッと言った。そして、鍋分の紙を取り出して、火が点けれていない所に行こうと思う。


 「ヒノリ、俺は火を点けれていない所へ行ってくる」


 俺はヒノリを見ると、ヒノリは俺のことを口を開けて、目を丸くして見ていた。


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