37話 ダンジョンって簡単?
「俺、オッドアイって初めて見ました」
俺は倒した熊を『魔法空間』に入れて、馬車に乗って、町まで向かっている。
俺の向かいに座っているホロストは俺の目を見てそう言った。まぁ、オッドアイは数少ない超人の1割しかいないからな。俺もステナリアと学園長しかオッドアイを持つ超人は見たことない。
目の前のホロストは黒目で超人ではない。
「オッドアイは超人の1割しかいない希少存在なんだ。ホロストの町には超人って居るのか?」
「居るは居るんですが、えーと・・・7、8人だったと思います。少ないでしょ?」
町ってどのくらいの人口なんだろう。1000~2000人くらいかな?だとしたら確かに少ないな。
「その超人の中に金目って居るのか?」
「金目は居ますよ!1人。その人のおかげで王熊との戦いで死者が出なかったんですよ!」
え、じゃあ、その金目の人は1人で140人死人を出さずに指揮していたのか。・・・バリ優秀じゃん。
俺はルニアに目を向けた。・・・こいつもその人くらいの指揮能力があるのだろうか?
「ディア様、どうしましたか?」
「・・・俺がここまで力を出したのは初めてだ。こんな言い方悪いと思うが、あんな熊程度の身体を貫けないとは本当にダンジョンでナノハさんを助けれるのかが不安になってきたんだ」
ルニアのことも不安なのだがやはり一番の不安は俺自身だ。ダンジョンは王熊より強い魔物なんてたくさんいるだろう。時には一斉にたくさん来る。攻撃範囲が大きい魔法を使えばいいのだが、ダンジョンの大きさやパーティーメンバーも居る中、俺の魔法の被害にあう人もいるかもしれない。
ダンジョンって難しいな…。クルミナで剣くらい真剣に授業を受けるべきだったな・・・。だとしたら、魔法と剣で近距離、遠距離を攻撃できる最強人間になれたのに・・・
俺が昔の自分に怒っているとカタリナが少し笑った。
「ディア様、これから行く町はあることで有名な町なんですよ」
「あること?」
「これから行く町「ウソギリ」はこの大陸で最強の戦闘民族「デイジー」で有名なんです」
大陸最強の戦闘民族・・・ってなんだ?
「・・・戦闘民族って、好戦的で戦う度に成長するみたいな?」
「大正解です。ただ後一つあります。戦闘民族は生まれた頃から戦闘に関する「筋力」「視野」「反射神経」などの能力が高いんです」
戦闘民族ってそんなにやばいんだ...。前世で呼んでいた漫画の戦闘民族よりもすごい能力を持っているらしい。っていうか「デイジー」っていう独自の戦闘民族名だからか。
!っていうことは・・・
「はい、ディア様の思った通りです。こんなに強い「デイジー」の大人140人が命がけで。長い時間を掛けてようやく王熊を1体倒せるんです。だから、そんな王熊を1人、かつ、短時間で倒したディア様は、すごく強いということです」
・・・やっぱり、俺って強いんだな~。ただ、王熊を倒したのはいいけど、この王熊レベルがダンジョンでどのくらいのレベルかが気になる。
もし、王熊レベルがダンジョンの一階層の実力なら・・・どうしよう…。俺はカタリナにゆっくり聴いた。
「カタリナ・・・ダンジョンって王熊レベルが初めから出てくるのか?」
「いやいや!王熊レベル初めから出てきたら、誰もダンジョン攻略なんてしませんよ!王熊は魔物の中でも最上級って言われるくらい強い魔物ですから、ダンジョン深層のボスくらいに居ると思います。誰も行ったことがないですから分かりませんが」
え・・・なら、ダンジョンでナノハさんを助けるの余裕じゃね?




