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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
秘書体験

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29話 俺は完璧人間じゃない

 「すみません、明日っていつですか?」


 俺は真面目な顔と真面目な声のトーンで陛下に聴いた。


 「ディア、すまない。カタリナがこの国に来たのが今日だったんだ。私もカタリナから聞いた時はそうなったが、ディア、明日はな、今沈んでいる太陽が昇ってきて明るくなった時のことなんだ」


 ・・・なるほど。明日...


 「ディア、許してくれ。そのぐらい急がないと危険ということなんだ」


 「分かりました。明日、明日ですね」


 俺がそう言うと、カタリナは「ありがとうございます」をずっと連呼して、頭を下げていた。


 急すぎるが、まぁ仕方ないということで自分を納得させた。


 「それと、メンバーとか決まってるんですか?」


 「あぁ、決まっている。メンバーは、ディア、カタリナ、そしてルニアの三人だ」


 「三人っすか...」


 やべっ、自分を出してしまった。俺は咳ばらいをした。


 「俺とカタリナは分かりますが、ルニアはなぜ?」


 「ルニアは、18歳になるとこの国の国王となる。今回、ルニアを行かせるのは、国王になるための訓練だな」


 訓練と称して一国の問題にルニアだけを放り込むのか?リスクが高すぎるだろ…


 「護衛は...俺が居るから要らないってことですか...?」


 陛下はサムズアップをして俺の質問に答えた。この人って、ふざけるキャラだっけ?


 「俺にルニアの面倒を見ろということですか?」


 俺は少し強く陛下に聴いた。陛下は「ビクッ」と身体を震わせた。


 「ま、まぁ、そういうことだな…ですっ」


 陛下はそう言うと、急ぎ足で部屋の扉の前で行った。


 「では、また後日」


 そう言って、無駄のない動きで扉を開けて、閉めて、出て行った。俺は物理障壁でも張ろうかなと思った。


 陛下が出て行った部屋では、俺とカタリナの気まずい空気が流れていた。


 「・・・では、明日に備えて早く寝ますか」


 「そうするか」


 俺たちは明日のため、それとカタリナが俺とのこの部屋の空気に耐えられなくなったため、早くにベッドに入り眠った。


 もちろん、部屋は別々で寝ました。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 俺たちは今、リビングで朝食を食べている。


 ご飯の時は全然話さないのが、このメアロノロス家の伝統らしい。だから、聞こえるものといったら、ナイフやフォークを置く音、そしてルニアの汚ない咀嚼音。


 祝い事などの席では話してもいいらしいから、昨日は食事中に話していたそうだ。これは、朝食を食べる前にルニアから聞かされた。


 朝食を食べ終わるといつも道理、食後の挨拶をしてそれぞれ自室に帰って行った。


 だが、俺とルニアは呼び止められた。


 「ディア、ルニア、準備は出来ているか?」


 「はい、カタリナが昨日の夜に準備してくれていたそうです」


 自室のベッドで目覚めると同時に、部屋の扉が叩かれたので「どうぞ」と言うと、入ってきたのは右手にカバンを持っているカタリナだった。


 そのカバンは昨日、カタリナが寝る前に用意したものらしい。俺は頭に全然準備というものが入っていなかったので助かった。流石、俺の専属メイドだ。


 俺の隣でルニアは深く、深く笑っていた。まぁ、ルニアなら準備とかしてないだろうな。それを隠すための笑いなのだろうな。


 「ルリイ、カモン!!」


 笑っていたルニアは突然そんなことを言いながら、手を2回叩いた。しかも、かなり大きい音で。


 すると、ルニアの前に急にルニア専属メイドのルリイが現れた。


 「はい、ルニア様、お荷物です」


 現れたルリイは手にかなり大きなカバンを持っていた。ルニアはルリイからカバンを貰い、陛下に見せつけた。


 「父さん!これが、俺の力だ!」


 何言ってんだこいつは。用意してもらった俺が言えることでもないが、俺の力とか言って、どうせルニアもルリイに用意してもらったんだろうな。


 「それは、ルリイにやってもらったのか?」


 陛下も俺と同じ考えらしい。だが、それを聞いたルニアはさらに笑って指を横に振った。


 「チッチッチ、これは俺がやったんだ」


 「はぁ、そんなことがお前に出来るわけないだろ?ルリイもかわいそうだな」


 俺はそう言いながら、右手をルニアの右肩に置いた。


 「あぁ、ディアの言う通りだ。ルニアにそんなことが出来るわけがない」


 陛下も俺に続いてそう言いながら、左手をルニアの左肩に置いた。俺と陛下は向かい合って頷いた。


 だが、ルニアはそんな俺たちにムカついたのか、肩に置いている俺たちの手を掴んでどかした。


 「ルリイ!言ってやれ!!」


 俺たちの手をどかしたルニアは俺たちの少し離れた後ろに居たルリイに言った。そして、それを聞いたルリイは俺たちにどんどん近づいて来て、最終的に身体が当たる位の距離になった。


 そして、ルリイは俺たちの目を見て言った。


 「ルニア様が用意しました」


 いつもと何も変わらない声色だが、俺たちを見ている目の奥は少し燃えている。これは、私が用意したのにという怒りなのか、ルニアが用意したのになんで信じないのかという怒りなのかどっちだ?


 この俺でも分からないとは、やるなぁ、ルリイ。


 ルリイのその目に負けたのか陛下は急にルニアを褒め出した。


 ルニアはそれを気持ちよさそうに受け止めていた。ルニアに移した目線をルリイに戻すと、ルリイの目の奥はもう燃えていなかった。


 俺がルリイの目を見ているとルリイは俺の目線に気付いた。

 

 「どうかしましたか?」


 「1つ、聴きたいことがある」


 「・・・なんでしょうか?」


 俺がいつもより低い声で言ったせいで大事な話だと思わせてしまったのだろう。ルリイは真剣な顔になった。いや、そんなに身構えるほどの質問じゃないんだけど…


 俺は少しでも大事な質問をする雰囲気を作ろうとして、俺はめっちゃ間を開けてルリイに言った。


 「・・・隠密行動を教えてほしい」


 「は?い、いい、ですよ...」


 すまないルリイ。これが俺にとっての大事な質問なんだ。ルリイが思っているほど俺は完璧人間じゃないんだよ。


 先ほどまで合っていた目が合わなくなった。


 うん、すごく気まずい…

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