20話 どうするかは決まっている
俺は手紙に書かれていたことに驚きを隠せなかった。
「何て書いてあるんだ?」
「え、俺の秘書にならないかって、ディアから・・・」
これにはプロテアも驚いていた。
「そ、それで、ディアはどうするんだ?」
「俺は・・・行きたいと思っている」
今、俺がこの国に居ても出来ることが少なすぎる。なら、少しでも多くのことが出来る所へ行きたい。
秘書の心得は前世で脳に叩きこんだから大丈夫だが、この世界は魔法や魔物など、前世にはなかった要素がたくさんあるので、今回の秘書体験で今の俺の秘書の心得をこの世界の心得に更新しないといけない。
シュラスト家に伝わる秘書の心得はあって一度読んでみたら、秘書レベルが低いことが分かった。だから、俺は、俺の秘書の心得とシュラスト家の秘書の心得の更新するためにルニアの所へ行きたい。
「ディアがそう言うなら俺は良いよ。返事はいつにするんだい?」
「行けるなら、今行きたい」
「分かった。今二人とも(俺の両親)書類仕事をしているからこの部屋に来たらディアのことを言っておくよ」
「ありがとう」
俺はそう言って王の間から出て、王宮を出て、家に帰ってルニアの所へ行く準備をする。
クルミナでも使っていたカバンに服だけ入れた。もし、足りなかったら後で取りに来よう。
服を入れたカバンを持ち、目をつぶりながら俺はある魔法を使った。
「『空間転移』」
「空間転移」とは俺が5年の時に創った俺専用の魔法だ。この魔法はまず、使用する魔力が常人では全然足りない。って言うか水目を持つ超人でも足りない。
なんと一回使用するために掛かる魔力量は200。
そして、例え200以上の魔力を保持していても「空間転移」を使用するのは難しい。
「空間転移」は200以上の魔力が要り、「空間転移」で行きたい所を『1ミリのくるいもなく』思い出さないといけない。
扉に線が一本多いとか、ドアノブの色が少し薄いとか、部屋が少し大きいなどが「空間転移」を使用するときに起こると「空間転移」は使えない。
これが「空間転移」の欠陥。そもそも、魔力量が200掛かる時点で凄い欠陥だが、その場所がどんな所だったかをちゃんと覚えておかないといけないと言う物凄い欠陥がある。
だから、この「空間転移」と言う魔法は、青目と水目を持つオッドアイの持ち主しか使えない。そして、その中でも魔力量に才能があり、物凄い記憶力がある者でないといけない。
そしてこの全てを持っているのが俺と言うことだ。
俺は前に行ったルニアの部屋を思い出す。
部屋の大きさ、扉の大きさ、色、壁の色、家具などの位置、順番に思い出していく。
そして、「空間転移」に必要な情報を全て思い出すと「空間転移」が発動される。
俺は「空間転移」を使うためにつぶっていた目を開けるとそこは、俺が思い出していたルニアの部屋だった。
「ふぅ。疲れるな、この魔法は」
邪魔の情報が一つでも入るとこの魔法は使えないから、この魔法を使うときは必ず、静かで邪魔が入らない所で使う。
「ルニアは居ないか・・・」
部屋を見渡す限りルニアの姿はなく・・・
『ヒッツ』
俺はその言葉が聞こえてくると同時に魔法障壁を使った。そして、『ヒッツ』と言う魔法は俺の魔法障壁に当たり消えた。
「やっぱり、隠れていたか、ルニア」
「あぁ、3日ぶりだな、ディア!!」
明日は「僕の夢は笑って死ぬことです」の最新話を投稿します。




