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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
竜消滅未懸大戦

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171/174

171話 ステナリアの行動

なんか……

 「光目様!どうかこの子にお恵みを!!」


 「光目様!こちらもお願いします!!」


 黒目の街を壊し回っているファイアドラゴンから被害を受けた直後の所では、まだ辛うじて生きている人が居る。

 炎もまだ全体に行き渡ってないから、救助がしやすい。


 「ステナリア!ここは私に任せて、あんたは先に行きな!!」

 

 そう言ったのは、ワーダストの人員がスカシユリ王国へ来た時、ワーダストの超人が斧で黒目親子の斬った腕を『回復魔法』で治したインポターナ。

 

 ワーダストでは黒目はただの労働力で、労働力を助けるなんて考えはなかった。それは、黒目の人たちにも同じで、自分たちがどれだけ助けを呼ぼうが助けてくれるはずがないのに、インポターナはそんな自分たちを助けてくれた。しかも無償で。

 そのことから、一時期、黒目の街ではインポターナが神として崇められたとか。


 「頼みましたよ。インポターナ!」

 

 同じ国の出身で築いてきた二人の絆が、この一つでも間違えれば全て終わりな場面でも任せれる。


 ファイアドラゴンに襲われてまだ間もないとはいえ、人間の脚力では到底ドラゴンの飛行スピードに付いていけない。まぁ、付いていける人間もいるにはいるが、そこには身体魔法での強化や風魔法でのスピードアップなど、魔法という強力なサポートがあるから。

 

 ステナリアは赤目で身体能力が常人より高く、そこに身体魔法が加われば常人では目で追うのが出来ないほどの速度が出る。

 だが、それではドラゴンには追い付けない。風魔法を使えばいいが、ステナリアはディアのようにパッと一瞬で魔法を使うことは出来ない。あれは、ディアの想像力と青目の知力上昇で成し得ること。


 想像力はステナリアも持っているけれど、知力が足りないから魔法を連続的に使うことが出来ない。

 

 「ステナリア!上!!」


 インポターナの言葉に、視野が狭まっていたステナリアはハッと目を覚ました。

 そして、インポターナが言う上を見る前に、自分から半径四メートルくらいが影で覆われているのが分かった。


 この大きさの影でステナリアは上からどんなものが来るか予想できた。それが、自分がずっと追いかけていたものなら尚更。


 ステナリアは索敵魔法で上から来るものが、もうすでに死んでいることを確認した。そして、その場に踏み込んで右拳に力を込める。

 索敵魔法なら上から来るものを簡単に察知出来るのだが、索敵魔法に能力を割くなら、自分が培ってきた気配察知能力を使って、今から放つ一発に全力を注ぎたい。


 「い"っ!・・・でも」


 ステナリアに殴られて、もう一度空へ高く舞ったドラゴン。ドラゴンは、殴られた頭部は体に埋まり、無いものになった。


 「・・・これが、ドラゴンを殴る感覚か」


 顔にドラゴンの返り血を浴びたステナリアは、自分の血も交じっているだろうが、ドラゴンの深紅色の血に覆われた右拳を見ながら笑い、そう語った。

 流石は、「暴力女」で知られているスカシユリ王国第一王女のステナリア・スカシユリである。


 そして、そう語るステナリアの後ろでは、頭部が無くなったドラゴンが空から落ちてきて、地面に倒れていた。

 

 ステナリアはドラゴンに近づいて、その姿を目に焼き付けた。これが、今の自分の実力。


 そして、この一頭のドラゴンを皮切りに、空から次々と頭を貫かれて死んだドラゴンが落ちてきた。


 この光景を見て、これから自分がすることが決まった。


 この光景を作っているのはディア。ディアしかドラゴン相手にこんな所業は出来ない。


 今のドラゴンの性質は、ヴァレルスから聞いていた。

 

 弱肉強食のドラゴン界では、昔は仲間が死んでも何もしない。敵もとらない。死んだら、死んだ奴が弱かっただけという冷たい種族。

 だが、千年という間縛られていたからか、ドラゴンの中でも協力という気持ちが芽生えたらしい。

 それが、ドラゴンには似合わない集団で行動するという行為をさせている。

 そして、その気持ちが芽生えると、自分たちの仲間がやられたら敵をとるという行為をするようになる。


 現に、黒目の街を襲っていたファイアドラゴンは、急に翼を羽ばたかせて、自分たちの仲間を殺しているディアの所へ飛んで行った。


 「ふぅ。ええと・・・あそこね」


 光目だけが使える浄化魔法で、自分の顔、服、手などに付着したドラゴンの血を落とす。そして、殴った時に怪我をした右拳を回復魔法で治す。

 

 普通の人が、傷口にドラゴンの血など浴びたら即死するが、ステナリアのような光目を持っている者は、光目が異物を見つけるとすぐ排除するオート排除設定があるため死ぬことはない。

 この設定のおかげで、ステナリアは人生で熱が出たこともなければ、風邪を引いたこともない。


 普通、回復魔法などを使ったら魔力が減るが、このオート排除設定では魔力消費がない。これは、ヒーラーは休まず働けという神からの命令だろう。


 ファイアドラゴンのおかげで十分過ぎる以上の準備運動が出来た。そして、ドラゴンを殴ったことで気分が高揚している。


 幸い、ドラゴンが落ちてくる周辺に居た人たちは避難しているので心配はない。


 これからの自分の役目は、ファイアドラゴンが飛んでいく前に襲っていた所に居る人たちの救出。

 まだ居るであろうワーダスト兵の捕縛。


 そう自分の中で決めて、ステナリアは走り出した。

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