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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
竜消滅未懸大戦

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166話 神は役立たず

 『だからさ、こんなこともうやめない?』


 『やめる?我ら最強種であるドラゴンを千年も縛っていたお前が言うか?』


 ファスターと会話をしているのは、かつてファイアドラゴンを統べていた族長。

 

 ファイアドラゴン、スノードラゴン、ストームドラゴンの三体には、それぞれ特殊な特性を持っている。

 ファイアドラゴンは、力を追い求める種族。

 スノードラゴンは、戦いを好まない種族。

 ストームドラゴンは、孤が大好きで人前には滅多に現れない種族。


 ドラゴンの寿命は平均三千年。

 他の二種のドラゴンには、あまり関係ない話だが、力を追い求めるファイアドラゴンにとって、三千年の内の三分の一を無駄にしたことは許しておけないこと。


 しかも、その千年間。戦いという戦いはせず、ずっと人の手から抵抗する日々を送っていた。誇り高いファイアドラゴンにとって、ゴミとしか考えていない人間に抵抗するしかできないことはとても屈辱的なことだ。


 『いや、はい。その件については、大変申し訳ないと思っています』


 『ふん。今更遅い。・・・別に、我々ドラゴンたちはお前を恨んでいないわけではないが、我らの怒りの原因のこのザコ共だ』


 『それは・・・雑な扱いをされたからか?』


 『ふっ、逆だ。こいつらは、我らを従えたが扱うことが出来なかった。扱うことができても、それは弱って抵抗力がなくなった奴らのみ。そのせいで千年という貴重な時間を棒に振ったのだ』


 ファイアドラゴンは声を荒らげながら続けて言った。


 『我らを扱えたなら、姑息な真似をせずとも世界征服など容易かったはずだ!力だけ持ってもそれを使いこなせなければ、意味はなし!!』


 『じゃあ、ストームドラゴンはともかく、スノードラゴンがあそこまで怒ってるのはなぜだ?』


 『お前も知ってるだろ。千年前、あいつらにどんなことが起こったか』


 スノードラゴンは戦いを好まない。それなにこれだけ怒り、戦っているのは単純。戦わないと自分たちの仲間が死んでいくことを痛感したから。


 スノードラゴンは戦いを好まない。だから戦いが下手。契約されないと一生懸命戦ったが、ワーダストの人間、そして虹目の力の前にたくさんの同族を殺された。

 この件のことはファスターもよく覚えている。だが、あの時のファスターは虹目である自分とセトラが生き残るには従うしかなかった。そして、従った結果がこの有様。


 これにはファスターも罪悪感を覚えている。だが、先ほどのファイアドラゴンが言っていた言葉通りなら、スノードラゴンはファスターのことを恨んでいない。ということは、共にスノードラゴンを殺したワーダストの人間を恨んでいるということ。


 『・・・じゃあ、ワーダストを滅ぼせばその怒りは収まるのか?』


 『そんなわけないだろう。・・・ファスター、虹目の赤子はオスか?それともメスか?』


 『?・・・オスだが』


 『ッチ。もし、メスなら我らドラゴンの貴重な種を植え付けてやったのに』


 このファイアドラゴンの言葉に背筋が凍った。


 ドラゴンの種付けは特殊で、種付けしたいメスに懇親のブレスを吐く。そのブレスに耐えることが出来れば種付け完了。

 そして、この虹目の体はドラゴンのブレスに耐えることが出来る。


 出産時には生命の力のほとんどを赤子託すので、出産した瞬間に息絶えるのがほとんどだが、光目を持っているならその失った生命力を補うことができる。でも、それは一回分だけ。だが、虹目ならば通常の光目以上の回復力を持っているため、何回でも新たな小竜を生むことができる。それが虹目の力。


 ファスターが背筋を凍らせた理由。それはファイアドラゴンは、いくら産んでも死なない自分を出産道具として死ぬまで使い、神の因子を持った最強の軍団を作ろうとしていたから。


 『もういいか?お前と話しているこの間にも、時間は過ぎていくんだ』


 『じゃあ、お前らはドラゴンたちの目的は征服であってるか?』


 『あぁ、そうだ』


 『そうか・・・なら、再び虹目の力を見せつけてやろう』


 『ふっ、望むところだ。今度こそ殺してやる』


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 スマトからの情報によれば、今は魔法師団しか居ないが、後から騎士団たちが来るらしい。

この戦闘狂女が率いてるから、絶対にめんどうな奴らの集まりなのは分かる。


 俺は今トゥルホープを物理障壁の中に入れている。三~四千キログラムを持つことはできるけど、それを長時間ずっと持っていられるかは別問題。しかも、ただ持つだけじゃなくて、トゥルホープを持ちながら激しい運動をしたりした。


 俺が騎士とか普段から筋肉を使っているなら疲れないんだろうけど、俺は魔法師で筋肉など使わない。というか、俺は魔法師なんだから、最初から物理障壁の中に入れておけば、ステナリアの拳にビビることなんてなかった。


 クソッ。やっぱり、この状況だからか脳が正常に働いていない。

ファスター様、お願いします。もう、この意味のない戦いを終わらせてください!


 そう祈っていると、脳にファスターの声が聞こえてきた。


 『ディア、ごめん!説得どころか、逆にその気にさせちゃった』


 『ファスター様・・・いや、おいファスター。どれだけ俺を悩ませるつもりだ』


 ファスターがなぜ神と呼ばれているのか分からなくなってきた。神ならどんな生物でも言うこと聞くはずじゃない?


 ヤマモエッジ魔法師団とこれから合流するヤマモエッジ騎士団のことでも大変だというのに、さらに大きな問題を持ってくる。

・・・この神、役に立たねぇ。


 『いや、安心してくれ。・・・僕も本気を出すよ』


 『はい・・・じゃあ、まずは俺の悩みを膨らませた責任として、ドラゴン全頭を殲滅してください』


 『まずはの使い方合ってる?まぁ、任せろ。・・・と言いたいけど、今の位置じゃ攻撃が届かないから近づいてくれない?』


 『どこまで?』


 『ドラゴンたちの真下まで行ってくれればいいんだけど、出来るならドラゴンたちの真正面に行ってくれる方がありがたいかな?』


 『真正面・・・?』


 もう一度言う。この神、役に立たねぇ。






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