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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
虹目赤子争奪戦争

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158話 怒りの矛先

 「男ではなく、女なら泣かない説」が立証したことで、トゥルホープをマリや他の女性兵士たちに任せて、俺は今すごい解放感に包まれている。


 解放された腕をブンブン振り回し、身軽さというものがいかに素晴らしいことかを再認識する。

 腕はまだ、トゥルホープを抱いていた時のぬくもりが冷めていない。


 「私たちなんかが、王族、しかも大国の赤子を抱いてもいいのでしょうか?」


 俺にそう聴いてきたのは、二分でギブアップしたマリの代わりに、魔法師団に所属しているリサ。

 

 「大丈夫大丈夫。あいつが俺に頼んだんだ。そして、その頼まれた俺が君たちに頼んだ。一つも問題はない。それに、あいつも俺がこうすることは分かっているだろうからな。」


 そう言っても、なかなか自分が抱く資格があるのかを悩んでいる。

 その光景を見て、俺は一息吐いて言った。


「それに、あいつは、このスカシユリ王国という国に頼んだんだ。少数精鋭と言われている我が国の軍に」


 俺がそう言うと、先ほどまで近寄っていいのか迷っていた女性兵士たちが、一気にトゥルホープの周りに集まって来た。

 そして、スカシユリ軍の男性兵士は、トゥルホープを幸せそうな顔で見ている女性兵士たちを見て、同じく幸せそうな顔をしている。


 「ディア、索敵魔法でワーダスト軍の状況は分かるか?」


 「いや、俺の索敵魔法でもここから迷界の森の向こう側までは分からない。でも、森にはいない」


 迷界の森は大きな森ではあるが、ドラゴンに乗って来ているなら絶対に感じ取れる自信がある。それだけ、ドラゴンの放っている魔力が濃い。

 

 迷界の森を通らないという選択肢もあるが、スカシユリ王国には今、数えるほどしか人が居ない。でも、ワーダスト軍がわざわざスカシユリ王国を通って来る理由はない。

 ワーダストは一秒でも早くトゥルホープを奪いたいだろうから、迷界の森を通る以外の近道はない。


 ・・・それにしても来ないな。ワーダストの行動力は目の当たりにしてるから、出来るだけ早く行動していたのに、今が戦争中だっていうことを忘れてしまいそうになるほど静か。

 

 『ディア!解除を出来たぞ!ようやく千年前の契約を解除することが出来た!』

 

 「おぉ!!ありがとう!」


 俺にしては珍しく素で喜んでしまったから、つい、声に出てしまった。

 周りの人たちは驚いているが、俺はそのままファスターと話を続けた。


 『いや、これから荒れることになるぞ。今まで縛られていたドラゴンたちが一斉に解き放たれたんだ。ドラゴンの二千の寿命の半分を縛られていたストレスを発散する』


 『ということは・・・ワーダストは今日でこの世界から無くなるのか。食糧問題だな確定だな・・・』


 『そして、ワーダストでストレスを発散したら、あいつらは再び最強種族であることを証明するために各国を滅亡寸前まで襲うだろう・・・行くか?戦場となるワーダストへ』


 『行く・・・しかないだろ。世界存続の危機だ。それに、向こうでの戦いなら、遠慮なく魔法をぶっぱ出来るからな』


 ここで待って、ドラゴンを迎え撃つには周りに気を使わないといけないけど、ワーダストならあまり気を遣わずに戦える。

 ただ、ワーダストに食糧がたくさんあるところが痛い。ワーダストの食糧は普通に美味い。いい土地で育てているとルニアが言っていた。

 この戦いで農地は無くなるだろうけど、保管している食糧はあるはずだから見つけ次第、俺の『魔法空間』に入れようとは思っている。


 俺はファスターと話したことを全員に話して、戦場となるワーダストに連れて行く人たちをスカシユリ王国に連れて行くことにした。

 理由は、スカシユリ王国でステナリアという最強人間を連れて行くため。


 『いや、スカシユリ王国に行くよりもアキレア王国に行く方がいいだろうな』


 『?そりゃあ、アキレア王国の方が強い人が居るけど、ステナリアだぞ?回復と武力を兼ね備えた人間だぞ?』


 『まぁまぁ、神ファスターのことを信じてアキレア王国に行ってみてくれ』


 う~ん。まぁ、アキレア王国に行く方が戦力増加するのは分かる。でも、回復できる人間がトゥルホープの一人だけはしんどい・・・


 『分かった』

 

 俺はファスターにそれだけ言って、スカシユリ王国に連れて行くつもりだった人たちに、スカシユリ王国からアキレア王国に変更と伝えた。


 ちなみに、連れて行く人はカリュウ、ロノル、スペルタ、ロアノのスカシユリ王国の人たち、クラノアのデイリーの計五人。あとトゥルホープ。

 ロノルは歳も歳だから連れて行かない選択肢もあったが、行きたいと言うので連れて行くことにした。戦力としては十分通用する。


 ここに残る兵士たちには、先程の魔物たちのような奴が出て来た時のための対処をお願いした。その指揮を執るためにクリスタはここに残る。


 「じゃあ、勝ってまた、ここで会おう」


 俺はそう言うと、『空間転移』を発動して、アキレア王国に向かった。


 

 

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