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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
虹目赤子争奪戦争

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153話 新たな転移方法

 兵士たちの覚悟の声を聞いた俺は、ある人を頭の中で呼んだ。


 『分かってる。じゃあ、掛けるぞ』


 頭の中で呼んでいたファスターがそう言ってくれたので、俺は抱いているトゥルホープと目を向けあった。


 やはり、トゥルホープはただの赤ちゃんではないからか、今も目を覚ましている。


 俺の青目と水目の目を、トゥルホープの虹目が見つめている。


 先程もトゥルホープに回復魔法で魔力を回復してもらった。そして、トゥルホープの回復魔法の熟練度が高いので、回復魔法の持続効果で魔力が普段より回復するのが早い。


 だけど、『空間転移』を二回使うのには、かなり待たないといけない。それは面倒なので、トゥルホープに魔力上限まで回復してもらう。


 トゥルホープを見つめていると、トゥルホープが目をつぶった。そして、その時、一気に魔力が上限まで回復した。


 おぉ…気持ち良い!魔力が身体に流れ込んでくる。魔力ポーションでは感じることが出来ない気持ち良さ。一気に流れて来るからこそ。


 『どうだ?気持ち良いだろ?癖になるだろ?』


 『あぁ、気持ち良い。・・・そういえば、セトラさんの方は?』


 『もう少しだな。一体ずつ、契約を解除しないといけないから、時間が掛かるんだ。じゃ、僕はセトラを手伝ってくるよ』


 ファスターはそう言うと、俺の会話していた脳内から消えた。


 「・・・ディア。魔法の準備はもう出来たのか?」


 「はい。いつでも転移可能です」


 俺はプロテア陛下にそう言った。『空間転移』の準備を全然していないのに。


 横から「何もしてないくせに」という声が聞こえて来たが、今はスルー。反応したらバレる。


 プロテア陛下のことだから、兵士たちに最後の言葉を言うだろう。なら、今から『空間転移』の準備をしても間に合う。


 そう思っていると、プロテア陛下が俺にロープを渡してきた。


 「・・・プロテア陛下、これは?」


 プロテア陛下が渡してきたロープは、塀の下に居る兵士たちの所から繋がっている。


 「ディアが前に言っていただろ?『ついに!体に触れられなくても、人を『空間転移』出来るようになったぞぉ!おらぁ!ボケィ!!見たか!!これが、ディア・シュラストの力だ!!』って。そして、その時にロープを握っていたからな」


 「プロテア陛下!あの現場に居たんですか!?!?」


 プロテア陛下がした俺の言葉と動きは、本当に俺が言った言葉や動きと同じだった。こんなことに、その完コピの才能を使わないでくださいよぉ…


 あの時の俺は、「おらぁ!」で華麗な右いストレートをして、「ボケィ!」で華麗な左フックをした。そして、「これが、ディア・シュラストの力だ!!」で素晴らしい右手アッパーをした。誰も居ない、静かな部屋で。


 「あぁ。そして、ヒューズにだけその話をした。それじゃあ、ディア。転移を頼む」


 「は、はい!」


 なるほど…。兵士たちの並び方が縦に長い理由が分かった。・・・それにしても、陛下はチクリマンだったか。


 横では、皆の前だから笑いをこらえるために、自分の手を血が出る程まで強く握っているステナリア。


 だが、口角はすこしだけ上がっている。・・・そんなに面白いか?これ。


 このプロテア陛下の雰囲気から、兵士への言葉はないらしい。誤算だ・・・


 俺は急いで『空間転移』の準備を始めた。でも、今回は転移範囲が大きいので、時間はいつもより掛かる。


 だが、『空間転移』はどれだけ転移範囲が大きくても、消費魔力は変わらない。こういう性能を持っているのは、『空間転移』くらい。


 でも、相手だけに『空間転移』を使うことが出来ないのが、この魔法の不便な所。絶対に自分もその転移先に連れて行かれる。


 あぁ…周りからの「何してるんだ?」みたいな視線が辛い。


 でも、プロテア陛下は俺にああ言ったが、俺が『空間転移』の準備をしていないのを知っていたとしか思えない。なぜなら、プロテア陛下から「やれやれ」みたいな表情が見えるから。


 でも、ステナリアのように笑うのを我慢しているのとは違い、俺のことを見守っているに近い。


 ・・・こりゃあ、皆から尊敬されるわけだ。


 そして、二十秒でなんとか『空間転移』を準備することが出来た。俺はプロテア陛下に、準備完了の目配せをした。


 「では!武運を祈る!!」


 プロテア陛下が一歩前に出てそう言うと、兵士たちは「は!!」と言って、プロテア陛下に向かって敬礼をした。


 その敬礼には、誰一人としてズレが無く、スカシユリ王国軍の統一感が表された。


 これが、世間では少数精鋭と言われているスカシユリ王国軍だ。


 プロテア陛下はこの光景を見て頷くと、一歩下がり、元から居た位置に戻った。


 そして、次は俺の番。


 俺はプロテア陛下と同様に、一歩前に出た。すると、プロテア陛下に向いていた視線が、一気に俺の方に集まって来た。これも、統一感の一つ。


 俺は兵士たちの顔を見渡した。


 そして、兵士たちの視線を集める中、俺は『空間転移』を使った。


 ・・・ここで一つ。俺が『空間転移』を使うために想像した場所は、この百人以上いる兵士たちが転移しても邪魔にならなそうな場所。


 その場所は・・・『迷界の森』前。


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