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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
虹目赤子争奪戦争

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134/174

134話 二次会会場へ

 あの土下座の後、俺は先に取っていた料理を食べ終わり、食後のジュースとして、酒を取ろうとしたが、ステナリアから無言の圧力を向けられてしまったので、俺は酒を取れなかった。


 俺は酒の代わりに、俺の涙に似ている透明な「ただの水」を飲んでいた。


 そして、ルニアからパーティーの終了が言われると、俺たちはルニアたちから用意されている、王城にある部屋に戻って来た。


 メアロノロス王国の王城には、「必要か?」と思うほどの部屋がある。


 俺はその用意された部屋で、ステナリアの前で土下座になっている。


 「確かに、謝れとは言ったけど、あそこまで言えとは言ってないよね?」


 「はい・・・でも「でもじゃない」・・・はい」


 クソッ!何で俺は、ステナリアに逆らうことが出来ないんだ?


 結婚してからは、前よりも更に、ステナリアに逆らうことが出来なくなり、ステナリアの言うことを聞く機械になっている。


 最後にステナリアに逆らったのは・・・いつだっただろうか?


 最近はよくというか、ほぼ毎日、「メアロノロス王国に連れて行って」とステナリアに言われるので、たとえ、魔力が少なくても、『空間転移』でメアロノロス王国に連れて行っている。


 今日も、ステナリアの無言の圧力に逆らうことが出来なかった。


 「ナノハが、「胸にあった緊張がほどけてくれたからよかった」って、言ってくれたからよかったけど、ああいうのは、本人たちが言うから、皆が祝ってくれるのよ?」


 「はい。もう、おっしゃる通りです」


 この説教はもうニ十分経っており、正座なんて全然してこなかった今世の人生。


 だからか、正座の耐性がまったくついておらず、今は足の痺れがピークを過ぎたのか、足の痛みを感じなくなって来た。


 そうなってくると、足の感覚も同時に無くなって来る。


 俺のこの「反省しています」声を聞いたステナリアは、ようやく、説教を止めてくれた。


 そして、立ち上がったステナリアは「行くわよ」と俺に言った。


 「え?何処へ行くんだ?」


 「二次会会場よ。親友として、ルニアとナノハの結婚を個人的に祝いたいからね」


 ステナリアは楽しみだからか、ルンルンで部屋を出ようとしたが、俺はステナリアを引き留めた。


 「何?・・・あ、もしかして」


 ステナリアは、最初はイラついているような表情を見せたが、次第にその表情がニヤニヤに変わった。


 ・・・ステナリアがイラつきの表情からこんなニヤニヤに変わるのは、ステナリアが何か悪いことを思いついたのかもしれない。

 

 でも、この事態は時間が何とかしてはくれるが、ステナリアに頼めば、その事態を一瞬で解決してくれる。


 しかし、この問題は時間が解決してくれる。なので、その二次会会場にはステナリアだけで行ってもらい、俺は足の感覚が戻ってから、その二次会会場へいけばいいんじゃないだろうか?」


 「ステナリア・・・お前だけでも、先に行ってくれ!俺は後で行く!」


 俺の演技派の演技でステナリアにそう言うと、ステナリアのニヤニヤがまた、イラつきに変わってしまった。


 そして、そのイラつきの表情のまま、俺に近づいて来た。


 ・・・これ以上、ステナリアをイラつかせたらだめだ!

 

 「・・・足の感覚が無くて、立てなくなった。なので、助けてください!」


 俺は分かってただろうけど、今の状況を正直にステナリアに言うと、ステナリアはイラつきの表情から、ニヤニヤの表情にまた変わり、俺の前でしゃがんだ。


 しかし、そのしゃがみは、俺を向いてのしゃがみではなく、俺に背中を向けてしゃがんでいる。


 「ほら、ディア?私が「おんぶ」してあげるから、二次会会場へ行くわよ」


 ステナリアは笑いを我慢しているような声でそう言った。しかも、「おんぶ」を一音ずつ強調して言っていた。


 ステナリアが考えていることはこうだろう。


 ステナリアが俺を背負って二次会会場へ行くことで、俺の情けない姿を皆に見せようとしている。


 しかし、ここで、ステナリアのこのおんぶの提案を断ってしまったら、ステナリアの機嫌を絶対に損ねるに違いない。でも、皆の笑いものになるのは嫌だ。


 ルニアとナノハさんたちの結婚式の二次会ということは、会場に居る者は、ルニアたちの仲の良い知り合いだろう。なら、俺たちもよく知っている人たちだろう。


 初対面の人ならともかく、知り合いなら・・・俺の情けない姿を見せてもいいかもしれない。いや、よくないのだが・・・


 俺は苦渋の決断の末、ステナリアの誘いに乗ることにし、感覚のない足の代わりに、腕の力でステナリアの背中に乗った。


 「ふふっ。じゃあ、行きましょうか。二次会会場へ!」


 「・・・「『おぉ!』は?」・・・おぉ!楽しみだな!!」


 俺はこの鬼嫁に、どうしたら逆らうことが出来るのだろうか・・・?

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