132話 告白
ステナリアの拳で気絶してしまったルニアをベットで寝かせて、俺はステナリアにもう一度、華麗なる土下座を披露した。
「この度は、俺の命を救っていただきありがとうございます。しかし、それだけじゃなく、俺の命を延ばしてくれたことも含め、ステナリアさんには、感謝してもしきれません!」
ステナリアは初めの方は「うんうん」と頷いていたが、途中から頷かなくなった。
「命を延ばした?」
「えぇ。昔からあなたの拳を受けて来たおかげで、あの怪我をしても身体が持ちました・本当にありがとうございます!!」
「そ、そうなんですね…まぁ、でも、本当に意識が戻ってよかった!」
あ、そう言えば、ルニアがここに居るってことは、俺は最低でも二日は眠っていたのか。
体は動くが、前のように俊敏・・・前も俊敏ではなかったが、やはり、二日以上体を動かさないと、筋肉が硬くなっているな。
俺は伸びをすると、部屋を出ようとしているステナリアが俺に言った。
「ディア、目を覚ましてすぐであれだけど、ディアが目を覚ましたら、謁見の間に来てって陛下から言われるから、自分のタイミングでいいから来てね」
「分かった。今から行くよ。ステナリアのおかげで意識は覚醒してるからな」
俺はステナリアにそう言うと、「ふんっ」と言うと、叩きつけるかのように扉を閉めて出て行った。
・・・・・・
・・・・・・
「ディア、身体の調子はどうだ?」
「はい。二日以上動かなかったからか、かなり動き辛いですが、身体の調子は良いです」
「そうか。それならいいんだ。・・・ディア、火災の件は本当にありがとう。少しだけだが、ディアがいなかったら、全ての木が使い物にならなくなっていただろう」
プロテア陛下はそう言って、一息吸って、吐くと、すごいことをプロテア陛下は言った。
「ディアが意識を失った二時間後、王城前に赤目と青目と水目の超人の三人が自首しに来た。そして、青目の超人はこう言った「俺たちを処刑してください」と」
俺はそのプロテア陛下の言葉に目を丸くした。
まず、あいつらが自ら自首しに来るとは思わなかった。俺が王城へ転移した後は、自分たちだけでワーダストへ逃げるだろうと思っていた。
しかも、自首しに来て「俺たちを処刑してください」なんて、誰もがそんなこと言うとは思わなかっただろう。
ワーダストに帰ったらよかったものを、どうして帰らなかったんだろうか?超人だから、貴族とかだろうし、絶対生きることしか考えてないと思っていた。
「そして、昨日、その要望通りにあの三人の超人を処刑した。ディアには悪いと思ったが・・・」
「まぁ、少し文句を言ってやりたかったですが、まぁ、危険人物ですからね。もう、処刑されたなら、されたで大丈夫です」
俺がそう言うと、プロテア陛下は少しだけ口角を上げた。なぜ?
「そうか。ディアがそう思ってくれているならいいんだ。・・・ディア、ステナリアにお礼は言ったのか?」
「はい。ステナリアには、いくら感謝してもしきれません。俺がこうして生きているのは、ステナリアのおかげです!」
「そうかそうか。感謝してもしきれない。ステナリアのおかげか。・・・なら、ステナリアのお願いを聞いてはくれないか?」
「え・・・あ、はい。構いませんよ」
俺がそう言うと、プロテア陛下は笑い、椅子から立ち上がると、大声で俺にこう言った。
「ディア!ステナリアと「結婚」してくれ!!」
「!?!?」
「へ、陛下!?な、何を言っているんですか!?!?」
俺は今、目を丸くして、口が空いているだろう。
プロテア陛下が俺にそう言うと、謁見の間の扉がすごい速度で開かれ、ステナリアがそう言いながら、プロテア陛下の前まで、扉が開かれてから二秒で走った来た。
そして、ステナリアは顔を赤くしながら、プロテア陛下の胸を叩いている。
「それで、ディア。ステナリアと結婚してくれるか?イタッ!痛いよステナリア」
「お兄様のバカ!!アホ!!」
「イタッ!でも、それがステナリアの本心だろ?俺は妹には、好きな人と結婚して、好きなように生きてほしいんだ」
プロテア陛下とステナリアがそう言い合っていると、プロテア陛下と目が合った。
「ディア、もう一度聴く。ステナリアと結婚してくれるか?俺たちはディアなら、ステナリアを任せられる。・・・いや、ディアだからこそ、ステナリアを任せられる」
・・・何なんだろうか。この胸の高鳴りは・・・?
胸を触っていないが、触っていなくても、鼓動が速くなっているのが分かる。
これは、息切れが激しい時になる鼓動の速さではない。俺も初めての鼓動の速さだ。
「ディアを看病している時にステナリアが言っていたんだ『目を覚ましてディア・・・神様、私からの一生のお願いです。・・・私の好きな人を救ってください』と、泣きながら言っていたよ」
プロテア陛下が似ていなくて、少し気持ち悪いステナリアの声真似を披露した。
プロテア陛下の声真似にステナリアは「そんな気持ち悪い声じゃありません!!」と言った。でも、プロテア陛下のセリフには、ステナリアは何も言わなかった。
よしっ。俺はその下手なプロテア陛下の声真似のおかげで、決心がついた。
「プロテア陛下!俺は、ステナリア・スカシユリと結婚します!いや、結婚させてください!」
俺はそう言って、ステナリアへ手を差し伸べてた。
この手を取ってくれれば、結婚だ。でも、手を取ってくれなければ、結婚はなくなる。
俺の差し伸べられた手を見て、兄妹の言い合いが止まると、ステナリアはプロテア陛下に背中を押されて、俺の前に来た。
そして、ステナリアは俺の手を見つめると、ゆっくりと俺の手を取って、俺に言った。
「はい!お願いします!!」
こうして、俺たちは、十八年の時を経て、結婚する約束をしたのだ。
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