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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
就任、そして四国最強決定戦

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127話 消化完了

 俺がこれから使おうとしている魔法は、アルスたちと別れる前に教えてもらった魔法だ。


 アルスから魔法を使うために想像の仕方を聴いた時に、アルスは「想像するのは難しい」と言っていた。


 だが、その魔法の想像の仕方を教わったら、確かに、この世界の人からすれば、難しいかもしれないが、俺には簡単だった。


 なぜなら、俺には前世の記憶があり、前世の世界で俺は津波と言う災害を何度も見て来たから。


 何度も見たと言っても、体験したわけじゃなく、過去の映像やテレビで見ていた。


 しかし、この世界では、これまでの歴史上で津波が起こったことがないらしい。


 それをクルミナで習った時は、流石に嘘だろうと思ったが、八百年以上生きているアルスも津波どころか、地震すらこの世界では起きたことがないらしい。


 でも、アルスは魔法空間で創った「魔法都市」に住んでいるので、実は起きているかもしれないとも言っていた。


 もし、地震などが起きていないなら、この大陸の下のプレートがどうなっているのか見てみたい。


 俺が今回使おうとしている魔法は、前世で言う津波のような魔法。


 なので、この世界の住民はこの魔法を想像することが難しいが、津波を見たことある俺なら、容易に想像できる。


 一回だけ、アルスに魔法空間を創ってもらい、その中で俺がこれから使おうとしている、魔力消費三百の禁忌魔法『アクアタイダル』を使ったことあるが、その時の景色は正に、前世で見ていた津波と同じものだった。


 その時、隣に居たアルスに「何で、出来るの?」と問われたが、「青目と水目のオッドアイなんで」と苦しい言い訳をしたが、アルスは俺に気遣ってくれたのか、納得してくれた。


 『皆!今すぐ、この場から遠い所まで離れろ!!!』


 俺は拡散魔法でここに居る皆に聞こえるようにそう言った。


 でも、逃げてくれている人も居るが、逃げていない人の方が多い。


 やはり、俺の言葉では難しいか。


 逃げてくれている人は、俺の実力を知っている人で、逃げていない人は、ワーダスト人員や新人魔法士などで、俺の実力を知らない人たち。


 すると・・・


 『皆!今すぐ、この場から離れろ!!じゃないと、ディアの魔法に巻き込まれて、死ぬことになるぞ!!』


 プロテア陛下がいつもの爽やかな声から一変して、ガラリが入った少し怖い声で、皆にそう呼びかけた。


 プロテア陛下がそう呼びかけると、皆は俺の時とは違い、全力で王城の方へ走って行った。


 「ありがとうございます」


 「一人でも人が居ると、ディアは魔法を撃たないからな」


 いつもの爽やかボイスに戻ったプロテア陛下は笑いながらそう言うと、皆と同じように王城へ走って行った。


 こうなると、この場には俺しかいないことになる。


 まぁ、念のため、索敵魔法を使って、全員ちゃんと逃げたか確かめる。


 ・・・!マジかいな!


 俺の索敵魔法に小さいが人の気配を感じることが出来た。この小さな気配的に子供だろう。


 俺は子供の所へ向かうために走った。


 今、『アクアタイダル』を止めてしまったら、森への被害を最小限に抑えることが出来ない。


 俺の『アクアタイダル』の準備は出来ている。だが、それを今、撃ってしまうと、子供は『アクアタイダル』に巻き込まれて、息が出来ない苦しみの中死んでしまう。


 そして、子供の気配がする所へ来ると、子供の周りには木が倒れており、その木は炎が燃え移っている。そして、その出られない中で子供は泣いていた。


 こんな所に居る子供だから、ワーダスト人員であることは間違いないが、誰も連れて行かなかったのか!?


 俺は身体魔法を掛けて、木を乗り越えた。


 「しっかり、掴まっとけよ」


 俺は左腕で子供を持ち上げて、そう指示した。


 子供が俺の首に強くしがみつくと、俺はそのまま、俺が乗って来た馬車の所まで帰って来た。


 ここから放てば、森の炎を全て消すことが出来る。


 そして、俺は炎が移っている木たちを魔力障壁で囲んだ。これは、成功するかわからないが、失敗したら失敗しただ。そこは割り切っている。


 全ての準備が完了した俺は、魔力障壁で囲んだ中に準備していた『アクアタイダル』を放った。


 『アクアタイダル』を放った十秒後、魔力障壁で囲んでいる中の一番高い所から、大量の水が流れて来た。


 『アクアタイダル』の想像の仕方は、「津波」が襲ってくるようなイメージ。


 そして、『アクアタイダル』は火を力で消化していく。

 

 「ッ!おっも!」


 『アクアタイダル』の水は、俺が何処にも行かないように魔法障壁で防いでいるが、やはり、水がこれだけ集まれば重い。


 物理的な重さを感じているわけではないが、魔法障壁を発動し続けるのが辛い。


 『アクアタイダル』の水はまだまだ出続ける。


 今の俺には、火災の消火なんかより、『アクアタイダル』が速く終わってくれと願う気持ちしかない。


 そして、『アクアタイダル』を放ってから二十秒後に『アクアタイダル』は止まった。


 森を見ると、今まで赤一色だった森が、黒一色に変わっている。消火に成功したのだ。


 そして、『アクアタイダル』が終わるとすぐに、『クリア』を使って『アクアタイダル』を消した。


 『アクアタイダル』を魔法障壁で止めて、止めている『アクアタイダル』を『クリア』で消す。これも成功だ。


 森の消化が成功し、『アクアタイダル』を『クリア』で消すことにも成功した俺は、力が抜けて、地面に倒れた。


 「終わったぁ!」


 満足感がすごい。


 今まで、疲れること、きついことは何度もあったが、こんなに疲れ、きついことは始めてだ。


 俺が寝転がりながらそう言うと、目の前に俺が連れて来た子供が居た。


 そして、「ごめんなさい」と言うと、俺の顔にナイフの尖っている先端部分が向かって来た。

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