122話 街道の大きな魚事件
紙には「街道へ」としか書かれてなかったので、どういう作業をするかは、街道へ着いた時に聴く。
俺は『ウィルド』で街道の真上に着くと、一か所で兵士の皆が固まっていて、その皆が投げ武器を持っていることが分かった。
そして、その周りには通行止めと書かれた
俺は皆が、何をしようとしているかを聴こうとして、皆の前に飛び降りると・・・
「敵だ!!!」
俺が皆の前に現れた瞬間、一人の男が俺を見てそう叫ぶと、計十人が俺に向かって、持っている投げ武器を投げつけて来た。
俺は物理障壁で難なく防ぐと、次第に俺に投げ武器を投げた兵士たちの顔色が悪くなった。
そして、一斉に俺に向かって、綺麗な腰、九十度を披露した。
「「「「「すみませんでした!!ディアさん!!!」」」」」
「大丈夫です。皆さん、顔を上げてください」
俺はもう、これ以上の攻撃を何度も防いできたので、俺がこんな攻撃にやられるわけない。
と思っていると、やられる可能性があるので、そんなこと思わない。
そして、俺の言葉を聞いて、顔を上げた皆に、なぜこのようなことをしていたのかを聴いた。
「ここを見て下さい」
俺はそう言われたので、兵士たちに案内された所に行くと、すごい景色があった。
「こりゃ…完全にやられたね」
俺が見たのは、街道の真ん中に大きな穴が空いているのと、その周辺も小さな穴が空いている景色。
兵士たちの話では、今朝、ワーダストの馬車がこの街道を通り終わると、急に滝から大きな魚が街道を襲ったとのこと。
そして、それが何度も来て今じゃ、こんな有様とのこと。
それにしても、「ワーダストの馬車が通り終わってから」という言葉が、気になって仕方がない。
この「街道の大きな魚事件」も、ワーダストによってされた出来事かもしれない。
「普通の大きな魚だったか?」
「はい。普通の大きな魚だったとおもいますが、俺たちも初めて見る魚だったので・・・」
兵士の一人がそう言うと、周りの兵士たちも頷いた。
・・・初めて見る大きな魚が、街道を襲って、通行できなくした。しかも、それが、ワーダストの馬車が通り終わってから。
「なら、その魚はワーダストだけに生息している魚かもな。それなら、秘密だらけのワーダストにだけ生息している魚だから、初めて見たと言える」
ただ、これは、ワーダストが通り終わってからが引っ掛かっているから、このように考えただけ。
この世界には、まだ、俺たちが知らない事や生き物などが山のようにある。
一先ず、この事件で俺がするこは、その大きな魚を倒して、この街道の臨時修理をして、通行止め状態を解除する。
俺は取り敢えず、落ちたら危ないので、穴が空いている所を土魔法で修復した。
そして、兵士たちと目的の大きな魚を倒すための話をする。
「その魚って一匹だったか?それとも、一匹以上か?」
「一匹以上ですが、それが一斉に来るのではなく、不規則に襲ってくるんですよ」
兵士の一人がそう言って、俺が魚取り作戦を考えていると、「ビュッ」という音がした。
この音は小さな魚だな。
俺がそう思っていると、兵士たちが一斉に投げ武器を投げた。
俺はその行動を見て、音がした滝の方を見ると・・・俺が思っていた魚の十五倍は大きい魚が、投げ武器を綺麗に避けて、俺の方に向かってくる。
というか、魚って、こんな綺麗に避けれるんだな。
俺はそう感心しながら、迫って来る大きな魚を倒すのではなく、捕らえるために、大きな魚の下から『ウィルド』を放ち、大きな魚は空高く飛んで行った。
そして、その大きな魚はそのまま、俺の前に落ちて来そうなギリギリで、先程よりも弱い『ウィルド』を放って、無事に大きな魚を捕らえた。
大きな魚を捕らえた俺たちは、魚の観察を始めようとしたが、また「ビュッ」という音がした。
今度こそは騙されない。俺は再び『ウィルド』を放とうとしたら・・・大きな魚の姿はなく、あったのは小さな魚の姿。
今回の「ビュッ」は、小さな魚が滝から飛んだ音だった。
「これが、俺たちの集中力を上手く削がせているんですよ。あの小さな魚が続いて、少し集中力が無くなると、大きな魚が現れ、集中している時は、小さな魚しか出てこない」
確かに、これは騙される。
先程の「ビュッ」は、大きな魚の時の「ビュッ」と同じ音だった。
それにしても・・・こんな上手いこと、意識を削がせることが魚に出来るとは到底思えない。やはり、これは、ワーダストの仕業だな。
俺はそう確信づけると、魔法空間から剣を取り出し、先程捕まえた大きな魚の頭を落とした。
「!やっぱり」
切り落とした大きな魚の頭の内部には、普通の魚には無い、回路のような物が入っていた。
頭のついでに体の内部も見ると、体の内部は空だった。
俺は体は捨てて、頭の内部を皆にも見した。
そして、大きな魚の頭の内部を見た兵士たちは、皆、同じように目を見開いた。
「こ、これは、何ですか!?」
「これは、回路だろうな。この回路があれば、人がこの魚を操作できる」
俺はそう言うと、兵士たちはさらに目を見開いた。
「ということは、この魚は、誰かによって操作されていたということですか?」
「あぁ。そして、その操作していた者は、ワーダストの連中だろうな」
そして、俺がそう言うと、また「ビュッ」という音がして、今回は大きな魚の姿があった。
「皆、全部捕らえるぞ」
「「「「「はい!!」」」」」
俺は魔法で、兵士たちは投げ武器で、「街道の大きな魚事件」の大きな魚を捕らえ始めた。




