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目の色で能力が決まる世界。この世界で俺はオッドアイ  作者: 北猫新夜
就任、そして四国最強決定戦

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117話 メアロノロス王国でのワーダスト会議

 『あぁ。そして、隙を突いて、誘拐だ』


 最後尾で五人の超人たちがそんな会話をしているのを俺は、身体魔法を掛けて、聴力を上げて聞いていた。


 俺を誘拐ね。まぁ、出来るものなら、やってみろっていう話だけどな。


 アキレア王国で誘拐された時は、『魔力失輪』のせいで、魔力が無くなったから『空間転移』が使えなかったが、聞いたところ、あの『魔力失輪』はもう手に入らないらしいので、心配はない。


 魔法が使える状態で誘拐されたら、『空間転移』で逃げればいい。


 だが、デプリーは俺が『空間転移』を使えることを知っているので、俺を普通に誘拐しても意味がないことは分かっているだろう。


 そんなことを考えていると、森の開拓地に着いた。


 着くと、森の開拓組みの指揮を執る青目の超人のインポターナという女性が、この六十人のワーダスト人員の他の人員と待っていた。


 「待たせたな。これが、全員の六十人だ」


 「おぉ!六十人か!なら、伐採も計画よりも早く進みそうだな」


 インポターナが腰に手を当ててそう言った。


 「じゃあ、俺はここで」


 「あぁ、ありがとう」


 そして、俺は『空間転移』で王城へ転移した。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 『おい!見たか!あれが、『空間転移』という魔法だ。お前ら、あいつを必ず捕らえるんだ。出来なければ、知っているだろうな?』


 超人たちのリーダー的存在であるライトは、耳に付けている小さな機械を口元にまで持ってくると、そう話し掛けた。


 ライトがそう話し掛けると、ライト含む超人五人以外の五十五名の黒目のワーダスト人員は、首を縦に振った。


 中には、泣きそうになっている奴や体を震わせている奴も居る。


 だが、これは仕方がない。これが、超人至上主義ワーダストという国なのだから。


 「よし!お前たち。私はこの森の開拓組の指揮を執ることになったインポターナだ。これから、森の開拓のため、伐採を行う!一人一つの斧を渡すから、木を切っていってくれ」


 そして、指揮官のインポターナから斧を渡されると、疑われないよう皆と同じように、伐採を始めた。


 ・・・・・・

 ・・・・・・


 『空間転移』で王城に帰って来た俺は、プロテア陛下に、「メアロノロス王国に連れて行ってほしい」と言われた。


 俺は理由を聴くと、メアロノロス王国からハウワーが手紙を持って、飛んで来たらしく、その手紙の内容は「ワーダストの大臣のマイナーが来て、貿易をしようという話をした」ということだった。


 俺はそれを承諾して、プロテア陛下とヒューズを連れて、メアロノロス王国の王城に『空間転移』した。


 王城に転移すると、王城の玄関にロウバイ陛下やルニア、他にも重要な職についている人が居た。


 「おぉ!来てくれたか!まずは会議室へ来てくれ」


 「はい」


 俺たちは転移してきて早々、会議室で会議をしないといけなくなった。


 会議は、プロテア陛下とヒューズと俺、ロウバイ陛下とルニアとメアロノロス王国大臣アセンスの三対三で始まろうとしている。


 「さて、手紙で言ったが、メアロノロス王国にワーダストの使者が来て、貿易という話になった。スカシユリ王国では、貿易の話はどうなったんだ?」


 「我が国では鉄を貿易品として出し、ワーダストからは人員を貿易品として出す、という貿易を結びました」


 「な、なるほど。貿易は結んだんな」


 そして、話は進み、メアロノロス王国も貿易を結ぼうと考えてはいるらしいが、どうにも話が進まないらしい。


 「だが、疑問に思うことがある。なぜ、友好を結ばずに、貿易だけしようとしているということだ」


 ロウバイ陛下のこの発言に皆は首を縦に振った。


 せっかく、行き来出来る街道が出来たのなら、貿易だけじゃなく、友好も結んでおいた方がお互いのため。


 だが、ワーダストは友好を結ぶ気が一切ない。


 メアロノロス王国との貿易もワーダストは鉄を貿易品に求めているらしい。


 「ワーダストは鉄を集めている。これは、最近動きが出て来たワーダストに何か関係あるだろうな」


 ワーダストに関する話は三十分間続き、メアロノロス王城の会議室で行われたワーダストに関する会議は、これにて終了した。


 会議が終わって、腕時計を見ると、時間は昼を過ぎていた。


 いつもなら、お昼ご飯を食べ終わっている時間だ。


 「プロテア陛下、お昼はもう食べたのか?」


 「いえ、まだ食べていません」


 「おぉ!そうか。なら、一緒にどうだ?」


 「はい!喜んで!」


 えっ…


 そのような会話をした後、プロテア陛下とロウバイ陛下の二人は、世間話をしながらリビングへ向かって行った。


 そして、ロウバイ陛下は俺たちの方を見て、「君たちも来い」と言っているような仕草をした。


 皆がロウバイ陛下の仕草を見て、着いて行こうとすると、俺はヒューズさんに一言「じゃ」と言って、音を立てないように離れた。


 いくら料理が上手くても、あの堅苦しい雰囲気の中での食事はしんどい。


 それなら、料理はそこそこでも、雰囲気がいい所で食事をしたい。


 俺は忍び足で王城を出ると、『ウィルド』を使ってクルミナに来た。


 クルミナには普通は、関係者以外立ち入り禁止だが、自分は学園長が特例で許可しているので、関係者ではないけど入っていいことになっている。


 俺はクルミナに到着して、校舎へ入ると、四国最強決定戦の物理戦にメアロノロス王国代表として出た、クルミナの学園長がちょうど階段を上ろうとしていた。


 「学園長」


 「ディアじゃないか!どうしてここに?」


 階段を上ろうとしていた学園長は、上るのを止めて、俺の近くに来た。


 「ロウバイ陛下とワーダストについて会議をしてたんですよ」


 「あ~、ワーダストね。最近、動き出したんだっけ?」


 「はい。・・・近いかもしれませんね。戦争が・・・」


 「・・・まっ!そんなことは起きた時に。それよりもディア。この時間、狙って来たのか?」


 「・・・偶然ですよ」


 今の時間、クルミナではちょうどお昼ご飯の時間だ。


 クルミナのお昼ご飯は、学園長が初めに食べ、その後に生徒、生徒の後に先生が食べるという順番。


 今の時間は生徒が食べている時間だが、もうすぐその時間は終わる。


 「じゃあ、食堂へ行ってきます」


 「あぁ。行ってらっしゃい」

 

 学園長は呆れながらそう言って、俺が食堂へ行くのを見送ってくれた。

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