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三題噺もどき3

カレー

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくななじゅうはち。

 


 自動ドアをくぐる。


 積み重ねられているカゴを一つ手に取り、もう一つの自動ドアをくぐる。

 ヒヤリとした空気が頬を撫で、店内放送が流れ込んでくる。

「……」

 馴染みのスーパー。

 今日はチラシを見なかったので、知らなかったが野菜が安くで売られていた。

 時間が時間だったので、もう半分以上売れてしまっているが。

 まぁ、今日買うものはここには無いのでいいか。

「……」

 あ。でも、人参は買わないといけないやつだ。

 どれでもいいんだが……これで良いか。

 適当に一袋手に取り、カゴに入れる。小さめの人参が四本ぐらい入っている。

 一本あれば足りはするのだが、他にも使えるし。

「……」

 あとは、ジャガイモかサツマイモあたり。

 正統にいくならジャガイモが欲しいが、個人的にはサツマイモが入ると甘みが出るのでそっちも捨てがたい。あとたまにカボチャも入れたくなる。

 あまり辛味が強いと食べられないのでそうやって調整したりする。

「……」

 まぁ、固形のルーで甘いものを買えばいいんだけど。

 甘口のみだと、それはそれで甘すぎて食べる気になれない。

 私は基本的には、中辛と甘口を半分ぐらいずつ混ぜて使う。

「……」

 ここまで来てから言うのもあれだが。

 今日は、なんとなくカレーライスを食べたくなったので。

 夕食用にその食材を買いに来たのだ。

「……」

 ご飯はすでに炊いてきたので、あとはカレールーの方を作っていけば完成だ。

 材料はあるだろうと思っていたのだけど、案外何も冷蔵庫に入っていなかったのだ。

 まぁ、どちらにせよ市販の固形ルーを買いに行かないといけなかったので、この際他の買い物も済ませてしまおうということになった。

「……」

 とりあえずは、人参と他のは野菜も入れつつ。

 ジャガイモ……でいいか。今日はサツマイモが欲しかったが、時期じゃないからなそもそも。カボチャでもいいけどなぁ出てないと言うか、売り切れているのかコレ。

「……」

 ゴロゴロと数個入ったジャガイモの袋を手に取り、カゴに入れる。

 ついでに、えのきとかキノコ類も買っておこう。この辺は正直いうと、苦手な食材なので食べたくはないのだが、まぁ、健康のことを考えると食べておいた方がいいだろう。

 適当に肉とかと炒めて、少々濃ゆめの味にしてしまえば気にはなるまい。

 スープに入れると、キノコの匂いなのか分からないが、何かかがものすごくするので苦手なのだ。ホントは味噌汁とかに入れて食べたいところなんだけど。

「……」

 後は豚肉と、とりあえず鶏肉も買っておこう。キノコと炒める。

 あぁそうだ。

 カレーライスには漬物がないと。

 福神漬け……あった。けど、量が多いな。こんなに食べるだろうか。

 まぁタッパーにでも入れておけばいいか。ご飯とだけでも消費できるだろう。

「……」

 そういえば、身内の家ではカレーライスを食べるときに、漬物なんてなかったんだけど。

 どうして、今はこれがないといけないなんて思うんだろうな。

 外で食べるときもあまりついていない気がする……でも備え付けだったりもするよな。

 多分初めて食べたのとか、小学校の時じゃないのか。

「……」

 カレーライスで思いだしたが、宿泊学習とかでそれぞれの班に分かれて作ったりもした気がする。その時に、福神漬けとか初めて食べたんじゃないか。多分。

 そういえば、宿泊学習とか、今もしてるんだろうか。

「……」

 私の頃は、一日目にテントを張ったりして過ごしたりもした。あの日は雨だった気がする。

 その次の日に、スタンプラリー適な事をして、私の班だけやけに教師たちに迷惑をかけた覚えがあるのだ。

「……」

 なんだったか……地図を渡されて暗号とかを解きながらやっていたはずなのだが。

 そもそも、最初の時点で道を間違えていて。かなり遠くまで歩いていたらしい。

 まぁ、せいぜい小学生の浅はかな知恵と、無駄にある行動力のせいということにしてほしい。

 どうやら、教師の想定していなかったところまで歩いていたみたいで、わざわざ車で捜索にまで来ていた。

「……」

 本人たちは迷っていると言う自覚がどこかにありながらも、とまろうとしなかった辺り何ともまぁと、今なら思える。時計も持っていた気がするが、何時までに集合とか言われていなかったか……その辺は覚えていないな。

 でも、車に乗った担任が来たのは覚えている。乗せてくれはしなかったが。

 このまま真っすぐ言ったら他の先生がいるから、その案内に従えと言う感じだったかな。

「……」

 なんだか、たいして楽しい記憶でもないが。

 こういうものは、なんかの拍子に思いだしては、あの頃はバカだったなぁなんて思うことがある。

「……」

 ここ数週間の、色々もそんな風に思える日が来るんだろうか。

 やっと、一区切りついた感覚はしているが、そこまでなるには時間がかかりそうだ。

 今日、なんとなくカレーライスを作ろうと思ったのも、実はあの子の好物だったからだったりする。

 なんだ、何も吹っ切れてないじゃないかという感じだが。これはこれで。たまにでいいから思いだして、こんなことをしてもいいのかなとは、思っているのだ。

「……」

 そもそも、あの子はいつも辛口だし。

 サツマイモよりは正統にジャガイモだし。

 肉は豚じゃなくて牛だし。

 福神漬けなんていらないって言うし。

「……」

「……」

「……」

 よし。

 買い物終了。

 さっさと帰ってご飯食べよ。






 お題:カレーライス・浅はか・楽しい

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