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マン研の部室にて

「だめだめだめ~ そこベタ塗ったらおかしくなっちゃうじゃん 」


「あぁ、すいません 」


「まだまだですの 」


「子鹿先生これからもご指導お願いいたします」


少年が深くお辞儀をする


「先生かあ~ ひとつしか年違わないのに、な~んかよそよそしいのよね~ 小鹿ちゃんでいいわよ 」


「そ、そんな恐れ多いです。 小鹿先輩でお願いします! 」


「ま、いいか。あらためてよろしく 」


「えへへ 」


少年は頭を描きながら、少女の胸をチラ見する


「相変わらす、おっぱい好きなのね~ エロ空くん 」


視線に気付いた少女はこれでもかというくらいに胸をはり少年に見せつける

まるで、ダメな弟をあやす姉のようである


「いゃぁ~ かたじけない 」


「お~、青春してるね~ 」


部室のドアを開けひょろ長い眼鏡の男が入ってくる


「何を言ってるんですか、藤田先生 小鹿先輩にご指導いただいているだけです 」


顔を赤くしながら言い訳をしている少年は日吉空(ひよしそら)と言う

コミケにいた少年だ


そして、青島小鹿というのは原作を青島先生が担当し作画を小鹿先輩がしている二人のペンネームであった


「喜びたまえ、空くん。新しい部員が入ったよ。しかも、空くん好みの女の子だよ 」


藤田先生が机にすわっている空をのぞきこむ


「マジですか! 」


「マジですよ! これで、部員も三人になりました 」


向き合って手をとる男ふたり


「ふん 渚先輩達が卒業しちゃってあたしだけになっちゃったからね 」


小鹿が言い捨てる


「では、早速入ってもらおうか。南くんいらっしゃい 」


黒髪で大きな黒い瞳が印象的な美少女が静かに入ってくる

清楚と言う言葉は彼女のためにあるようだった


彼女だ!


空と門の前で言葉を交わした少女である


こ、これは運命か!

僕の薔薇色の学生生活が今から始まるんだな!

小鹿先輩もちっちゃいけどでかいし、清楚ザ清楚!

もしかして、ハーレムできちゃう?


「空くん、にやにやしているところ申し訳ないが、挨拶してもらうね。新入部員の南奈美(みなみなみ)さんだ 」


チッ


「南ですよろしくお願いします 」


舌打ちのような音が聞こえたが、清楚に南が挨拶をした


「よろしくね南ちゃん 」


小鹿がGペンを持った手をふる


「よろしくお願いいたします 」


「日吉空です! よろしくお願いいたします南奈美さん 」


チッ


「南奈美さんは、なん組ですか? 僕は3組ですよ 」


チッ


奈美は何かに堪えているように口を閉じている


「どうかしましたか? 南奈美さん 」


チッ


南がスカートの脇で拳を震わせている


「南奈美さん? 」



「だ~から、フルネームで呼ぶなっつうの! 」



「へっ? 」

「はっ? 」

「ふにっ? 」


突然の出来事にビックリする三人


「上から読んでも下から読んでも『みなみなみ』私フルネームで呼ばれるとイライラするんです! 」


「はあ 」

「ほう~ 」

「あはっ 」


唖然とする三人


「では、フルネーム禁止で・・・ 」


藤田先生が頭を描きながら宣言した


「よろしくお願いいたします 」



清楚な少女は、あらためてお辞儀をした


「父には、マン研の藤田先生に指導してもらうように言われて入部したのですが、実際に何をする部活なのですか? 」


「ふふふふ、マン研とは『森羅万象研究会』の略称なのですよ。この世の全ての謎を解き明かしますよ! 」


両腕を大きく広げ天井を見上げる藤田先生


「具体的には何をしているですか? 」


藤田先生から目をそらし、南が小鹿に尋ねる


「基本自由かな~? たまに変な実験に付き合わされるとか 」


小鹿が眼鏡の位置を直しながら答える


「実験? 」

「実験? 」


空と南が声を合わせる


「あと、部員が三人揃ったから部活戦に参加するつもりかも 」


漫画の原稿を描きながら小鹿が答える


「そうなのですよ、部活戦は最低三人から出場出来るのですよ。一回勝つごとに特典あるし、優勝すれば活動費1000万の賞金が出るのですよ! 」


拳を握り藤田先生が力説する


「渚先輩達がいたころは優勝したこともあったなぁ~ 」


小鹿が遠い目をして呟く


「森羅万象を読み解くにはお金が必要なのですよ。漫画を描いているのも資金調達のひとつですから。今年も優勝しちゃいましょ! 」


藤田先生がガッツボーズをする


「絶対無理! 」


小鹿が机を叩く


「大体、変態的に強い先輩の溜まり場がここだっただけだし、毎日修行に明け暮れてる武術部連中ににかなうわけないじゃん 」


「大丈夫! 南くんの実力は間違いない! 」


「優勝はともかく、学食ただになっり街でのお買い物割引になったり勝てば

お得なことはいっぱいあるからね 」


「そうそう、卒業後即戦力になるように学園側が全面サボートしているシステムだからね~ 」


「部活戦てどんなことするのですか? 」


空が恐る恐る尋ねる


「部活戦とは、学生達の交流と技や術を競いあうことにより高める事が目的て、各部3~5名の代表者による実戦をおこなうものですよ。トーナメントやリーグ戦色々な大会があるね

関係者が観客で来たりするから結構盛り上がるし、大会で目立てば、就職に有利だし、部活動ランキングなんかもあるからね。ある意味授業の成績よりも重要かもね 」


「自己アピールするにはもってこいだから、みんな目の色変えてるしね 」


小鹿がふたりに追加説明する


「・・・ 」


「どうした空くん? 」


藤田先生が、不安そうな顔をしている空に尋ねる


「僕、ズブズブの素人で獣知ったのも最近なんですけど? 怪我とかも心配なんですけど ・・・

戦い方なんて全然わかんないんですけど 」



「あっ、それね! 」

「なるはど 」

「えっ? 」


同時に三人が反応する


「私が策を考えてみましょう 」


藤田先生の眼鏡の奥が光った


日吉空(ひよしそら)の知識ゼロ、経験ゼロの前途多難の学園生活はまだ始まったばかりであった


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