そして少年は現実を知る
富士の樹海そこに学園があった
ヘリコプターから数人の少年少女が降りてくる
いかにも不良です~って感じの奴やお嬢様って感じの中にコミケの少年が混じっていた
な、なんかすごいとこに来ちゃたぞ
樹海の中にこんな場所あるなんて
発着場の回りには街がありその奥に学園の門が見える
よく言う東京ドーム何個分とかの広い敷地だ
隔絶された都市
その言葉がしっくりする
「何を驚いているのですか? 」
隣を歩いていた黒髪の美少女に声をかけられる
黒い瞳が大きく清楚な女性だ
しかしながら、藤田先生の描く女性のようなそこはかとないエロさを感じてしまう
惚れた!
一瞬で誰でもそう思ってしまう
もちろん、少年もそう思った
藤田先生のもと漫画修行をしようとこの学園に入ったわけだけど、彼女にあって現実の恋や青春に思いをはせた
やっぱり、入って良かった!
ありがとうおじさん
入学概要調べて恐る恐るおじさんに尋ねたら
「いいんじゃねぇ」
って、あっさりOKがでた
中学校に入って、両親がなくなってから僕はおじさんと二人で暮らしている
まあ、週に一日帰ってくるだけだけど
たまに、出張でしばらく帰ってこない時もあるな
おじさんみたいなブラック企業には絶対に就職したくないし、僕は藤田先生のような漫画家になるんだ
「金のことは心配すんな。兄貴たちが残した遺産もあるし俺もだてにブラック企業につとめてるわけじゃないしな」
家ではいつもだらっと寝てばかりいるおじさんだけど頼りになるな。
「全寮制で、3年分全納1500万なんだけど・・・ 」
恐る恐るおじさんをみる。
「問題ない 」
な、なんておじさん太っ腹なんだ。
「でかくなって儲けたら、俺のこと養ってくれよ 」
にこっと笑い僕の頭を撫でる。
う~ん。落ち着く。
両親が居なくなっても寂しくなかったのはおじさんがいたからだな。
なんて、改めて思ってしまった。
「やるからには、俺を越えろよ! 」
「お、おう 」
何だか分からなかったけど、期待されてんだな、僕は
おじさんとのやり取りを思い出してにやついていると不思議そうな顔で見つめている少女に気づいた
「いやぁ~ すごいところですね~ 」
「そうね 」
既に興味がなくなったように、彼女は『蟠桃学園』と書いてある門をくぐった
門のまわりには、桜の花びらが舞っていた
あちゃー! 第一印象最悪じゃないの~
ま、いいかまだまだ始まったばかりだかんね~
体育館で入学式が始まった。
壇上で校長が話している。
スキンヘッドで白髭のおじいちゃんだ。
人の良さそうな顔だけど、鍛え上げられたマッチョな身体をしている。
「あ~。新入生の諸君入学おめでとう。みなさんも知っての通り蟠桃学園は国内唯一の魔窟の封印方法や黒き獣を退治する知識と技をを学ぶ学院です。
将来、みなさんは国の魔窟監理局やフリーのハンターになる為に入学されたことでしょう。
当校は、様々な面でみなさんをサポートし卒業後即戦力として活躍できるよう教育を行います。
しかしながら、黒き獸狩りを生業としようとするみなさんには、危険が付きまとうものであることを覚悟していただきたい。
そして、生き残る術を学んでいっていただきたい・・・ 」
な、なんだって~
あやかし学院そっくりじゃないか。
学園に入学した主人公が活躍する話。
小さい頃から英才教育を受けた主人公が養成学校に入学し学園ナンバーワンにのぼりつめる。
第一期終了して、新たな主人公で第二期始まる予告してたっけ。
壇上を見上げると、校長が男子学生を紹介する。
「元生徒会長の草薙君だ。
彼は、この春当学院を卒業した。ちなみに、在学中歴代トップの成績を残した。これからの業界の期待の星だな。草薙くん一言頼むよ 」
女性との黄色い声援の中、イケメンの生徒会長が頭をかきながら話始める。
「渚剣です。この度はご入学おめでとうございます。3年間はあっという間です。
僕も、気がついたら学院の記録を塗り替えていてびっくりしました。
これからは、新しいプロジェクトの一員として活動を開始する予定です。
僕が皆さんに期待することは、僕の記録を塗り替えていただくことです。
素晴らしい学院生活を過ごしてください。」
彼が頭を下げると、割れんばかりの拍手と声援が、体育館中に響き渡った。
僕は、あんぐり口を開けて固まった。
あ、あやかし学園そのものじゃん。
主人公の名前は、草薙剣で、学園一の努力家で人気者。生徒会副会長のヒロインとは、ラブコメみたいな関係だったな。
清楚な顔立ちなのにナイスボディな彼女とは、お互いに好き同士なのになかなかくっつかないやきもき感も魅力の一つだったな。
なんか、凄いとこにはいっちゃたなあ。
確か漫画では、みんな子供の頃から修行してる実力者揃いだったな。
僕、なんか場違いじゃないのか?
やばくない?
僕って只の一般人なのに、おじさんヤバイとこはいっちゃったよ~