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少年は歩み始める・・・

コミックマーケット会場

コスプレイヤー達が闊歩し、売り子の声が響いている

所々で流れる音楽が会場を盛り上げている

足を震わせ一人の少年が会場に入っていく


やった! ついに初コミケにやってきたぜ

やっぱスゲー

人で溢れかえってる


まっ、まじか


見たことのあるアニメキャラがいっぱいいる

いや、コスプレイヤーだけと


あんなに忠実に露出しちゃっていいの

ちよっと痛い格好のお姉さんもいるけど


さ、撮影会やってんのか?

あ、あんなポーズして見えちゃうじゃない

やっぱスゲー


ここは異世界か~!


こ、これだ! これが見たかったんだ!

お気に入りのキャラがあられもない肉の体を持って目の前にいるなんて


バラダイスや~!


漫画家を志す者としては一度は経験しておかねばならねばいかんな


「・・・ 」


少年はいつの間にかガッツポーズをとっていた


「ちょっと・・・ 」


即売所の女の子が少年に声をかける


「僕ですか? 」


少年が振り返る


「そ、そそ。 ちょっと見てかない? 」


髪の毛ボサボサでマスクをした眼鏡っこが手招きをしている

興味なさそうに彼女の方をみた彼は目を見張った


で、デカイ!


こ、これがちまたで話題の「ロリ巨乳」っていうやつか~


「ちょつと、あたしの胸ばかりみてないでこれ見てよ 」


ば、ばれてる

少年は出された同人誌を両手で受け取った


「は、拝見いたします 」


す、素晴らしい!


題名は「物の怪学園」作者は「藤田子鹿先生」

退魔師を養成する学園に、陰陽師の家系の少年が入学して活躍するお話

ストーリーもさることながら、藤田子鹿先生の描く女性が素晴らしい

二の腕や太股の表現がなぜかエロいのだ

先生が描く女性は、清楚な女性でもそこはかとないエロさを感じてしまう

そして、ヒロインに恋してしまうぐらいに


す、素晴らしい!


僕の求めていたものが全てそこにあった


「弟子入りさせてください! 」


少年は深々とロリ巨乳にお辞儀をした


「な、なんだと~ 」


ロリ巨乳はびっくりして眼鏡をはずしそうになる


「この作品には僕の求めていた全てが入っています。 先生の元で勉強して、僕も漫画家になりたいのです 」


「まあ、まあ、まあ、弟子入りっても、あたしまだ高校生だし、漫画描くの本業じゃないから 」


「うお~! 現役女子高生の漫画家なんて素敵じゃあないですか~ 」


少年は瞳を輝かせ両手で少女の手を握る

そして、でかいものもチラみする


「やっぱ、エロいね 」


ロリ巨乳が手を振りほどく


「青春してるね~ 」


笑い声とともに長身の女性がたっていた


「あ、小野寺さん来てくれたんですね 」


「こないでか! コミケと言えば私の癒しのもと。さすがにコスプレとはいかんが、もう20冊は買ってきたぞ 」


紙袋に入った両手一杯の本をつき出す

野球帽にサングラスとマスク、スカジャンにジーバンの出で立ちだが、いかにも私は有名人ですというオーラをかもしだしている


「少年! 弟子入りしたければ入っちゃえばいいじやないか、彼女の学校に 」


「あっ、なるほど~! 僕ちょうど高校受験んです~ 志望校そろそろ決めなくちゃって思ってたんで 」


「良かったではないか。しかし、狭き門だから励めよ! 」


野球帽の女が笑った

女性にしておくのはもったいないほどの豪快な笑い方だつた


☆◆ブギャдχガキャ★∞&ブーン*£¢∞


鼓膜が破れるような不快な音がした


誰もいないイベント会場が波うちしゅうしゅうと黒い煙が溢れている


やがて、地面が隆起し大きな口を開ける


イベントか? それにしては手が込んでるな?


少年が物思いにふけっていると、象よりも大きくなった口は、黒い獣を吐き出した


グギャキャキギャ~


耳にした人全てを不快にさせる唸り声

そして、禍禍しい臭いが立ち込めた


「けしからん! 」


さっきまで話していた女性が仁王立ちになり、吐き捨てた


帽子とサングラスとマスクを捨て去り、携帯を取り出す


「小野寺だ!魔窟出現、現在獣を3体確認。近隣から3玉小隊3分でよこせ! 」


電話の向こうの女性の声が聞こえる


『大臣、自重して下さいね~ くれぐれもご自分で殲滅しょうなど考えませんよう 』


「ふん、もう小娘ではないからな、分かっている 」


胸の拳銃を取り出し獣に向かって走り出す


「イベント会場から離れろ~! 」


叫びながら、着ていたスカジャンを獣に投げつける

両腕にある火傷の跡が壮絶な過去を物語っている


パンパンパン



一発ずつ獣に命中した

見事な腕である


「ほら、こっちだ! 」


今彼女に出来る最善の策は魔物の注意を自分に引き付けること


時間が来れば奴等が殲滅してくれる


それまでは、我が国民を守らなくてはいけない



10分後、到着した部隊により獣は倒され、魔窟の口も閉ざされていようとした


イベント会場の中央に小野寺が立っている


「あ~、防衛大臣の小野寺美貴だ。突然のイベントでびっくりしたことだろうがいかがであったろうか? 」


大衆に笑顔を振り撒く小野寺


「なあ~んだイベントだったのか~ 」


「スッゲエリアルだった 」


「でも、あの隊員さんの装備本物みたい~ 」


民衆の安堵の声を聞いて小野寺は胸をなで落とした


「このような場面でも、我が防衛軍は皆様をお守りする準備がありますのでご心配なく 」


小野寺がガッツポーズをする


「美貴ちゃんは俺らオタクの星じゃ~ 」


「応援してるよ~ 」



小野寺は、買い込んだコミック雑誌を拾い上げると会場をあとにした


『大臣まだ公にしなくてよろしかったので? 』


「ああ、まだ時期尚早だな 」


『でも、あの説明で国会のじい様がたは納得すらかしら 』


「真実を知らぬ愚か者どもは騒ぎ立てるだろ~なあ 」


『ですよね~ 』


「趣味のオタクに防衛隊披露して民衆の理解求めました~ とかで 」


『はいはい、上手くやっておきま~す 』


「よろしく頼む 」


ため息をつくと、黒髪をかきあげ空をみつめる






正義のヒーローになれなかった少女は、歴代最年少女性初の防衛大臣となっていた









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