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Airgun  作者: Ottack
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 反田 §金猫§ (ミート)――アイドルという夢を追いかけて単身上京し、今はメイド喫茶で下積みも兼ねて働いている。その傍ら曲の自作にも精を出し、自身が店で歌う際は作った曲を披露している。


 逢が勤める店の客でもある玄凪は、彼女の高い意識に感嘆した。客として接している時には一切、垣間見る事さえ無かった彼女の悩み。


 それはストーカーだった。彼女の周囲には一段と熱心なファンが多いが、それはその店へ通う者達なら知らぬ者はいない。


 側から見れば業務的で儀式めいたやり取りの、挨拶一つを取ってもそれと客に気取らせない振る舞いは、正しくアイドルそのもの。アイドルという夢が彼女に妥協を許さなかったのだ。


 垢抜けた彼女の魅力は平凡な他店員と働く中にあって一際目立つ存在である。しかしそれが禍してか客同士のトラブルが起きた事もあった。


逢「アイドル夢ってミーたん推す人知ってるの、みんな。で、コサンとか? 特別ってえっちい(悦びの意)自未知(知らないけど)


 逢は客の誰かがストーカー行為に及んでいると訴えた。これといって根拠がある訳ではなかったが、他に思い当たる節も無いという。


 相談相手が警察ならこの時点で追い返されていた。それが分かっていたからこそ、彼女はAirgunを頼ったのだ。


 玄凪は好きなメイドと二人きりという役得を堪能し、逢のファンなら皆が知るという事実を知らぬまま彼女を推していた自身に落胆する。


 私情に気持ちを右往左往させる玄凪が客から頼りなく見えてしまうのは当然と言えるだろう。少し前までの彼であればここで公私の境界線があやふやである事に気付けず、担当者の交代を頼まれていたかもしれない。


 客が訴える事は基本的に信じてかかる。たとえ何の証拠も無しに被害を訴えてこようと、その真相を突き止めるのが役目ではない為、Airgunの社員がすべき事に何ら影響は出ない。


 この場合、玄凪がストーカーをどうこうするのは現実的でなく、逢がストーカーに対してどう向き合い、どの様な対策を講じるかという方向へ仕向けるのが彼のすべき事である。


 それは特に難しいものではなかった。護身用武器の携帯や外出時は極力人目に触れない時間を作らないこと等、彼女が実行出来る手段はまだ残っていた。














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