14 破談
パソコンのスピーカーからは栗原さんのカバンに仕込まれたレコーダーから拾われた音がしっかり聞こえてくる。
「……なるほど この物件を2000万で?」
「はい、これは御社にとっても弊社にとっても有意義な取り引きだと思います」
取り引きは順調なようだ。
すっかりヤクザどもは騙されているらしい。
俺は思わず笑ってしまう。
「よし、いけるぞ。2000万ゲットだぜ!」
渡辺が青い顔で胃を押さえながら不安を訴えてくる。
「……中田くん 僕、もう心臓がもたないよ……」
「大丈夫、大丈夫! あいつら脳みそメダカ並みだぜ」
詩織は手にした○ーゲンダッツを頬張りながら嬉しそうに顔をクリームで染めている。
「○ーゲンダッツ美味しいよ! りょうくん!」
「はいはい、大人しく食っててくれよ詩織」
その時、モニターを注視していた渡辺が俺の袖を掴み何やら焦り始めた。
「な、中田くん⁈ 事務所の様子が変だよ⁉︎」
「何⁈」
モニターを見るとヤクザたちが怒りの表情で栗原さんを取り囲んでいた。
「おい! クソガキ‼︎ よくも騙そうとしてくれたなぁ⁉︎ タダじゃ済まさないぞ!」
「くそ! もう少しでだまされかけたぜ! クソガキ‼︎」
見ると栗原さんの学生証を手に持っていた。
くそ! ぬかったぜ!
俺は立ち上がり、モニターを見つめ警戒態勢に入る。
万が一があれば栗原さんを助けにいかなければならない。




