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神喰の白蛇  作者: ミスト
破滅の光
30/40

激突

まるでその合図を待っていたかのように、白蛇が動き出す。

ずるずると草花を潰しながら大地を蛇行する姿は威圧的。

何よりその巨体に見合わずかなり早い。


「魔弾射出!!」


ソルの手から高速で放たれる魔力の弾。

それは正確に白蛇に直撃し、土煙が吹き上がった。


「よおっし直撃だ!大した事ないぞ!」


スレッジがガッツポーズをする…が。


煙から飛び出してきた巨体は無傷だった。

先程と同じように蛇行を開始する。


「嘘だろ!?」


「…いや、想定通りだ。皆、第一作戦だ!!」


ソルの言葉を合図に、魔術師団が一斉に魔弾を撃ち出していく!!


雨のように降り注ぐ弾を、時には受け止め、時には回避しながら突き進んでいく。


「くそっ、思った以上に速い…!皆、下がれ、下がっていけ!!」


魔術師団が宙に浮きあがり、後ろへと下がりながら連射を続ける。


白蛇はそれを執拗に追い続け、少しずつ距離を縮めていく。


「団長!効いていないのではないですか!!」


「構わない、いいから打ち続けるんだ!!」


そうこうしているうちに、先頭の数人の元に白蛇が辿り着く。


「不味いぞソル!先頭が狙われる…!」


慌てるスレッジをよそに、ソルはただ観察していた。


「ぐっ、速い…しまった…!!」

「く、喰われる…!!」


そうして鼻先まで迫った数人を―――白蛇は意にかえさず、弾き飛ばしながら突き進んでいく!


「なんだあいつ――無視してこっちに突っ込んでくるぞ!!」


「そうか、やっぱり…僕が狙いなんだ!」


「奴は僕以外眼中にないんだ!!」


激しく蛇行しながらソルを追いかける白蛇。

途中途中の魔法使いをガンガン弾き飛ばし、迫っていく。


「なんてパワーだ…! ソル急げ!援護する、スピードを上げろ!!」


「くそっ、間に合うか…!?」



(こいつら…何か企んでやがるな)


白蛇が思考する。

何か作戦がある――相手の動きに感じる違和感。

何を考えているのかはわからないが。


『面白エ!作戦ごと叩き潰してやろう!』


白蛇を襲う高揚が、更にスピードを上げていく。

四方から飛んでくる魔法をものともせず、ソルの目の前まで迫ったところで、ソルが振り返った。


『なんだ、鬼ごっこは終わりかよ』


「これは驚いた…本当に喋るとはね」


『ククッ、これからもっと驚くぜ…飯の時間だ』


ぐわっと口を開き、白蛇がソルを飲み込もうとする――


「ソル!」

「ソルさん!!」

魔法師団が口々に声を上げる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


それを遠くから眺めるクルルの元へ、予言者のプレシアが近づいてきた。

「どう?心配かな?」

「…そうですね…勇者さんには、負けてほしくないです」


ああして真面目に戦っている所を見ると、やっぱり白蛇の言葉は嘘ではないかと思えてくる。


「ふふ、心配しないでいいよ。私のお兄ちゃんは、天才で最強で、無敵なんだから」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「…それはこっちのセリフさ!今だ!!」


『何!?』


がくん、と白蛇の体の位置が真下へ下がる。

地面の下まで。あまりにもシンプルな罠。

シンプルであるがゆえに気取られにくい――


『落とし穴だと!?なんつー陳腐な…!!』


白蛇を落とすほどの巨大な落とし穴。

それを勇者は見下ろして笑った。


「その陳腐にハマったのは誰かな…さあ、反撃だ!」


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