会議
こうしてクルルが連れ出されたのは会議室。
部屋の奥まで届く楕円形の長いテーブル。敷き詰められた椅子。
そこにはソルと同じ服を着た男女が10人着席していた。
クルル、ソル、プレシア、スレッジ、ネリカ。
それぞれが着席し、早速ソルが口を開く。
「さて、早速会議を――とは言っても、すぐに終わりそうだけどね」
「何だ、また一人で作戦立てちまったのか?」
「もう、これでは我々の立つ瀬がありませんわ、ソル様」
呆れたように言う二人を苦笑しながらソルはなだめる。
「いや、今回も君達の力が必要だからね」
「だけどその前に――ちゃんと予言について説明しないと」
ソルがそう言うと、皆がクルルを不思議そうに眺めた。
――――――――――――――――――――――――――
「という事だ」
省略。
今回起きた予言について、クルルに説明する。
「…ええっと、つまり黒い光が白い光を連れてきてみんな滅ぼしちゃうんだと」
「その通り、そして君がまさに黒い光というわけだ」
その言葉にプレシアもうなずく。
彼女には未来を視る不思議な力があるようだ。
「そっか、だからあんなに慌てて」
説明し終えたソルが一息ついた。
「まあ君が脅されているだけと分かって安心したよ」
そして再び会議室へと向き直る。
「それじゃあ作戦説明といこう」
「ただ、今回は勇者を喰うような怪物が相手だ。不確定要素も多い」
「恐らく今までで一番の強敵だ――皆、気を引き締める様に」
「「「はい!」」」
――――――――――――――――――――――
「以上だ、すぐ動いてくれ。もう既に怪物は来ているかもしれない」
「場所は国から少し離れた場所に広い高原があったはずだ、そこで迎え撃つ!」
その言葉を合図に魔術師団が動き出す。
コートを羽織り、皆いそいそと外に出ていく。
そうして最初の五人以外全員が部屋の外に出たころ―――
「じゃあ僕達も動こうか」
「そうだな」
「すいません、ちょっといいですか…?」
「うん?」
全員を見送った後、ソル達が出る前にクルルが声をかける。
クルルはずっと聞きたいことがあった。
「怒らないで聞いてほしいんです」
「どしたの?」
今まで以上に真剣な眼差しに、皆がクルルに目を向ける。
クルルは白蛇のあの言葉を思い出していた。
(『勇者の力は世界を滅ぼす』)
「倒されたある国の勇者は…愛する人の為に世界を滅ぼそうとしていました」
「ああ、それは――そういえばそんな噂があったね」
「その口ぶりからすると…それは真実なのかな?」
「はい、私はこの目ではっきりと見ました。それでなのですが――」
「ソルさんは…世界を滅ぼす人、なんでしょうか?」
その言葉に、皆が固まった。