予言
魔法の国・謁見の間にて―――
朱い玉座の上で王らしき厳格な老けた男が、額にしわを寄せていた。
「ああ、何という事だ。まさかこんな事が――」
「もしも予言の通りだというのなら、とても良くないという事が起こるという事だ」
「ああ、まったく、新しい予言はまだか!」
不安と苛つきが王を追い詰める。
そこに大臣が釘を刺す。
「王様、落ち着いてください。予言は時間がかかるもの」
「焦ったところで、問題は解決しませんぞ」
「わかっておる、だが、事が事だけにだな…」
そこに二人の兵士が、一人の少女を連れて入ってきた。
「王様!予言が出ました!」
「おお、ようやくか!して結果は!!?」
思わず立ち上がった王の前に、ツインテールの少女が歩み出る。
「私が見た予言は二つ。まず一つは…」
「沢山の光が見えました。七色の小さな光です」
「ですが、黒い小さな光が、その中に入り込みました」
「そして、黒い光を追って―――巨大な白い光がやってきました」
「巨大な白は、虹色の、数多の光を飲み込み、消えていきました」
「…これが最初に見た予言です」
王は顎に手を添え、考える。
「ふむ、それは――随分と抽象的だな」
「そうですね。いつもはもう少し具体的なのですが」
そこに響く、男性の声。大臣のものでもない。
「数多の光はこの世界の人々。黒い光は白い光の先導者」
「そして――白い光は、我々を食らう巨大な怪物と、私は推測します」
「つまり――この国は怪物によって滅ぶという事です」
「私たちはこれを破滅の光と名付けました」
背中に白い十字の刻まれたコートを背負い、男が入ってきた。
その声に王と大臣は顔を上げた。
「おお!この声…ソル殿か!」
「おお、勇者殿!早速解明なされたのか、素晴らしい!」
「いや、だが…何という事だ!この国が亡ぶとは…!!」
「ご安心を、王。予言は二つあります…プレシア」
男は少女に声をかける。プレシアは頷いた。
「王様、もう一つの予言―――神が白き怪物を打ち倒す姿が見えました」
「なんと!神…神か!」
「つまり、それは神の生まれ変わりであるソル殿に間違いないな!」
「その通りです、王。」
「こちらの予言は抽象的ではなく、はっきり見えたとのことです。ここから察するに――」
「この予言は、この国の二つの未来を暗示していると思われます」
「破滅の光が人々を飲み込み、国が滅ぶ未来」
「そして、神が怪物を打ち倒す未来、こちらははっきりと見えました」
「ほうほう…つまり?」
ソルと呼ばれた男が、決意を秘めた瞳ではっきりと答える。
「我々――魔法師団ラグナロクが、白き光――怪物を滅ぼし、この国を救うという事です」
「必ず、破滅の光を滅ぼしてみせましょう」
男の後ろに並ぶ、10人の男女。皆同じ服を着ている。
最強の魔法集団、その先頭を任された男。
勇者と怪物の戦いが、また始まろうとしていた。




