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神喰の白蛇  作者: ミスト
魔物の主
19/40

格差

 白蛇に数百はあろうかという魔物達が一斉に飛び掛かる。

白蛇を上から圧し潰すように、積み重なり、食らいつき、それぞれの武器を白蛇に叩きつける。

あっという間に魔物の山が出来上がる。

さながら蟻が獲物に群がるようだ。


削り取るというのは、硬い相手にとって確かに有効であった。

小さな破壊を繰り返し、最後には大穴を開ける。


だが。


「は、ははは!!いいぞ!潰せ!圧し潰して殺してしまえ!!」


魔王の高笑い。ざまあみろとほくそ笑む。


「…何だと?」


しかし、次の瞬間、目を疑った。

魔物の山の上半分を吹き飛ばし、白蛇が姿を現したのだ。

天使のような巨大な白い翼を広げて。


『うるせえぞ雑魚ども…纏めて消し飛ばされてえか!!』


そして一羽ばたき。それだけで100メートル、上空へと飛び上がる。

勢いと風圧で更に魔物達が吹き飛んでいく。


「翼…!?」


空を飛ぶ魔物や竜は沢山いるが、翼のある蛇というのは見たことがない。

もはやただの魔物ではないと、いやそもそも魔物ですらないのかもしれない。

そんな考えをよそに、白蛇は魔物達を見下ろす。


『格の違いを教えてやるよ』


そう一言。もたげた頭を上に曲げ、息を大きく吸い込んで――




≪神の息吹≫(ゴッドブレス)



青い炎の息吹が放たれた!


炎は真下に向かい、大地に直撃し――

青い炎が、波のように、波紋のようにして周辺に凄い勢いで広がっていく!

燃え盛るそれに、魔物達が飲み込まれていく。


「うああああ!!」


魔王が人間へしたように、今度は白蛇が魔王へ。

一方的な力の差を見せつけた。

魔王は熱風に思わずマントで顔を隠す。

離れてみていた兵士とクルルには暖かい風と焦げる臭いが届いた。


白蛇の力か、青い炎は遠くまで広がらず、途中で前触れもなく消え去った。

そして、魔王が顔を上げた――その視線の先に。


「…!!」


大量の倒れた魔物達。

全身の至る所に焦げ跡を残し、黒い煙を上げながら。

大量の魔物の屍が散乱していた。


その中心にそびえたつ、白い大きな影。

地に舞い降りた白蛇がずりずりと魔王に近づいていく。


『さあ、観念しな…お前の駒も、魔法も技も全部打ち破った。てめーの負けだ』

「…っ!」

その言葉に、魔王のプライドが、怒りが震え立つ。


「ふざけるな!僕はまだ負けちゃいない!!」


「まだ試してない魔法は沢山あるんだ!片っ端からぶち当てて…!!」



「止めろ!」


魔王が叫ぶ、と同時に。どこからともなく声が響く。

白蛇ではない、観戦してる人間達でもない。

声の主は――


「…もう止めてくれ…マスター」


魔王の最も信頼する仲間。

悪魔の少女に支えられて立つ、竜の女性だった。





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