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神喰の白蛇  作者: ミスト
魔物の主
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襲来

 四人は街道をひた走っていた。一人は浮いていたが。

(魔物!?大きな魔物って、ひょっとして…!!)

クルルは不安を抱いていた。あくまで可能性の一つ。


「見えたぞ、あいつか!!」


だがその不安は的中した。明らかに見慣れた大きなシルエットが西の国の巨大な門の前に居た。

門を守るように対峙する十数人の兵士や冒険者たちも見える。


「巨大な蛇だ!町の中に入れさせるな!!」

「追い払え!倒そうとは思うな!」

「魔法を撃て!危険だと思わせるんだ!」

「魔物達はどうした!!」

「駄目です、怯えて動きません!」

「魔王の手下め!俺の牧場を返せ!」

「この町は渡さんぞ!!」

兵士達は剣を構え、警戒し、魔法を詠唱している。

中には及び腰になっているものまでいる。

緊迫した雰囲気を、魔物は面倒そうな顔で眺めている。


『うるせえなあ』


「間違いないです!白蛇…倒してとお願いした白蛇です!!」

クルルの言葉に、三人は改めて魔物を見やる。

森で寝ていたはずの白蛇がここまで来ていた。


「なるほど、向こうから出向いたって訳だね…確かに巨大だ」

「面白い、探す手間が省けた」

「さっさとボコっちゃえあんな奴!!」

口々に三人が気合を言葉にする中、白蛇が気付いたようにそちらを見る。


『おっと、新しい客…いいや、勇者か。やっと見つけたぜ。お手柄だ、リス』

「クルルです。――どうしてここにいるんですか!」

『待ちきれなくてよお』


まるで子供のような理由だが、巨大な魔物が口にするそれは洒落にならない。

リクに気付いた街の人々が歓喜の声を上げる。


「リクさんだ!伝説の調教師が来てくれたぞ!」

「これで怖いものなしだ!このでかいのをどうにかしてくれ!!」

「白蛇め!ここに来たことを後悔させてやるぞ!」


「そら、マスター。彼らが期待に満ちた目でこちらを見ているぞ」

「やれやれ…しょうがないなあ」


リクが白蛇の前に歩み寄る。そして手をかざした。

『お?なんだ、自分から喰われに来たのか』

「そんなわけがないだろう…魔物は全て僕にひれ伏す」


「支配の陣」


リクが叫ぶと、魔力が溢れ、白蛇の前にその大きさに負けない巨大な陣が現れる。

同時に白蛇の周りに紫色のオーラが現れた。


『ぐおっ…こいつ、は…!!』

同時に白蛇が苦しげに呻く。


「支配の陣…マスターが最も得意とする魔法だ」

「これを受けた魔物はリクちゃんのしもべになっちゃうんだよー♪」

「す、すごい…」


二人の丁寧な解説に、クルルは感嘆の声を上げる。

凄まじい魔力が溢れているのが、魔法が苦手なクルルでもわかった。


「さあ、受け入れるんだ…そして僕の言う事を聞くんだ…さあ」

『…』


「さあ!!」

『あ…』




『って、こんなモンが効くかあああああああああ!!!』


「何ッ!!」


纏わりついたものを払うように、白蛇が体を大きくしならせた。

浮かぶ陣にヒビが入り、砕け散る!


「何だと!支配の陣を弾いた!?」

「うわあー…マジで魔物からかけ離れてるんだね」

「…っ」


ラニスと悪魔は暴れ出した白蛇から引いたリクに寄り添いながらも、驚きの声を上げる。

兵士達が驚き困惑している様子がうかがえた。

クルルもただ戦いを見守っていた。


『その程度で俺様を従えようなんざ2億年早い!供物でも持ってくるんだな!!』

平気そうに口元を歪める白蛇を見て、ラニスが前に出る。


「ならば私が行こう…マスター、許可を」

「ああ…わかった、頼む。油断するなよ」

「誰に言ってるんだ?私は…」


突如ラニスの形が変わり、巨大化し、巨大な竜に変身していく…!


「千年竜、だぞ?」



四足、鋭い牙に巨大な爪…まさしく巨大な竜と言われるそれが、白蛇と相対した。

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